清めの時間
ドロップアウター:作

■ 44

「北本さん」
 先生の声に、はっとしました。
 いけない……しっかりしなきゃ。あと少しだから、ここで倒れちゃダメ……恵美ちゃんだって、みんなだって、耐えたんだから。わたしも、最後までがんばらなきゃ……
「『清めの時間』はね……」
 わたしの胸を揉みながら、先生は話を続けました。
「けがれを祓い落とすことだけが目的じゃないの」
「えっ……あふっ、じゃあ他にも……んくっ」
「ふふっ、無理してしゃべらなくていいわよ」
 そう言って、先生はにこっと微笑みました。
「この風習はね……女の子が、自分の体のことを知る学びの機会でもあるのよ。思春期を迎えた体の発育具合とか、仕組みとかね」
「そ、そうなんですか……あっ、くふぅ……」
 先生の手が、乳首にも触れました。
「ほら、こうするとね……」
 指先で乳首を刺激しながら、先生は耳元でささやくように言いました。
「乳首が立ってきて、膣の奥からぬるっとした透明な液がにじみ出てくるのよ」
「あぁ……んひゃっ」
 敏感なところを弄られて、変な声を出してしまいました。
「ふふっ、やっぱり最初はびっくりしちゃうわよね。でも驚かないで。健康な女性としての、正常な反応だから」
 そう言って、先生は……今度は、乳首を親指と人指し指で強くつまみました。
「あぁ……」
 少し痛いような感じがして、涙が出ました。
「儀式の時は、みんな裸になって、体の敏感なところを刺激されたりするんだから……乳首が隆起してきたり、股間が濡れてくるのは、むしろ自然なことよ。北本さんだけじゃなくて、どの子もそうなってしまうの」
「はい……」
「北本さんは真面目だから、知らなかったでしょう? おっぱいを揉んだり、乳首を弄ったりしていると、体がこんなふうに反応するんだって」
「あっ……んくぅ……」
 本当は、全然知らないわけじゃありませんでした。浴室で恥毛を剃った後、時々……股間のワレメに指を入れて、ちょっと弄ったりしているから……
 そういえば、プールで水着を脱がされた時、いじめのリーダー格の子がわたしの股間をのぞき込んで、「いやらしい。愛液まで出ちゃってる」って言っていました。あの時は分からなかったけれど、たぶん膣からにじみ出てくる液のことを、愛液っていうんです。
 でも、知っているなんて恥ずかしくて言えないから、何も言うことができませんでした。
「この地方ではね、女の子は『清めの時間』に参加することで、自分の体がこんなふうになっているんだって知っていくのよ」
 そう言って、先生はまた乳房を揉み始めました。
「裸にされて体を触られて、恥ずかしい思いもするけれど、そういう思いをすることで体を大事にしようって気持ちも生まれるし……女として生きていくということを考える、いいきっかけになるのよ」
「はい……んあっ、あぁ……」
 わたしは唇をかんで、いやらしい声が出そうになるのをこらえました。
「だから、心配しないで。北本さんのことを、誰もいやらしい子だなんて思ったりしないから。あなたが真面目で純情な子だってことは、みんな分かってるから」
「は、はい……んくっ」
 先生の話を聞いて、少しほっとしました。こんな格好でいるから、みんなの視線がどうしても気になってしまうんです。自分が本当に純情なのかどうかは、分からないけれど。
「それにしても……北本さんは、本当に可愛らしい体をしているわね」
 わたしの顔の傍で、先生はそう言って笑いました。
「乳房はまだ膨らみかけだけど、それでも十二歳という年齢にしては十分な発育具合よ。乳首の薄いピンク色が、あなたの陶器みたいな白い肌によく似合っているわ」
「は、はい……」
 体のことを言われて、また恥ずかしくなりました。
「乳輪がそんなに大きくないから、ちょっと幼い感じもするけれど……もう少し成長すれば、すごくきれいな体になれるわよ」
「あ……んふっ、ありがとうございます……くふぅ……」
 また少し息が乱れて、言葉が途切れ途切れになってしまいました。

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