黒い館
けいもく:作

■ 13.レイプ パートU2

 きっとわけのわからないうちに手首を縛られていたからだと思います。気がつけば紙袋で視覚が奪われていました。

 お館様は香子さんの顔だけ紙袋で隠された身体を仰向けにして、さらに、乳房の上と下に縄をかけ、上半身をベッドに固定しました。

 香子さんは、「やめて」と言い、後は、「フンガ、フンガ」と紙袋に言葉をさえぎられ、よく聞き取れませんでした。お館様は、あえて無視することにしました。

 太ももの間に手を入れ、腹部に向けてなぜてみました。少しの湿り気があれば十分でした。お館様は、香子さんの股間をなぜた手のにおいをかぎ、舌で舐め、装着可能と判断しました。

 前戯は、真菜ちゃんの身体で気のすむまで堪能していました。すでに猛っている自分のものを見つめました。

 これが、レイプである以上、お館様だけが勝手に快感を味わえばいいのでした。

 香子さんの身体は、ただ、使用するだけでした。香子さんが苦痛しか感じなかったとしても、それは仕方のないことでした。

 素早く、コンドームを装着し、両手で股間を広げ、強引にお館様のものを押し込ませました。

 香子さんが紙袋の中で、「痛い」と言い、もがいているのがわかりました。

 腰を前後させ、顔の隠された香子さんを見つめながら、力ずくで、一方的な射精でも、得られる快感は変わらないと思いました。いえ、のたうつ香子さんの裸体に普段以上の興奮を覚えたのかもしれませんでした。

 お館様は、「ほっ」とため息をついてから、香子さんの後ろ手に縛った縄をほどき、紙袋をはずすと、あごをつかんで唇を吸いました。

 それは、お館様が女性によって、満足できるセックスができたと思ったときに、よくする仕草でした。

 香子さんは、お館様の背中に手を回し、自らの胸をおやかた様の胸に密着させて、『うれしい』と思いました。自分を犯すことでお館様が喜んでくれたのがわかったからでした。

「おどろかせた?」
 お館様は、香子さんを抱いたまま、唇だけを放して聞きました。

「始めは」
 香子さんは素直でした「でも途中から、だれかわかった」

「おれ以外にいるわけがないだろ」

 お館様の言うとおりでした。香子さんは寝込みを襲われたので一瞬の判断力を失っただけでした。

「ほら、こんなにたくさん」

 お館様は、コンドームをはずし、香子さんに見せつけました。

「飲んであげようか?」

「いいよ、そこまでしなくても」

 いつもは、自分のものから直接香子さんに飲ませ、少しでもこぼすと機嫌の悪くなるお館様でしたが、さすがにいったんコンドームに入れた精液を飲ませて喜ぶほどマニアックではありませんでした。

「でも、それ使わなくてもよかったのに」

「えっ?」
 お館様は、咄嗟に声を上げていました。香子さんが言ったのは、たぶん、今日は安全日という意味だったと思います。

 もちろん、お館様には、香子さんを妊娠させるつもりはありませんでした。

 いえ、微妙に違うかもしれません。本心をいうなら香子さんを妊娠させたかったのかもしれません。

 お館様の生活は、まさしくハーレムでの生活でした。傍目には人もうらやむように見えるかもしれません。でも、お館様は、『本当にこれでいいのか』という気持ちを絶えず持ち続けてきました。

 それは、平凡な生活への憧れとでもいうのか、たとえば、夫婦と子供がいて、つましくても幸福な家庭を築きたいと思いました。

 本当は裕美さんに子供を産んでもらうのが最良の方法でした。それができればと思いました。かなわぬことを願っても仕方がありませんでした。

「香子を孕ませよう」と思ったのは、そんな時でした。

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