黒い館
けいもく:作

■ 16.楽しい混浴4

「ごめんね、真菜ちゃん」

裕美さんは、お館様の代わりに謝りながら、真菜ちゃんを組み敷いた手を離させました。

「どうせまだ、身体も洗ってないんでしょ。わたしが洗ってあげるから」と言って、ブラウスの前ボタンをはずしながら脱衣場に行きました。

真菜ちゃんは、すっかり、しょげてしまったお館様を見て、「よくもやってくれたなぁー。仕返しをしてやる」と言って、笑いました。

そして、両腕で抱きついて、柔らかな胸をお館様の胸に密着させながら、自分のつばを口移しに流し込みました。

「どうだ、参ったか?」
真菜ちゃんは大きく胸をそらせました。

でも、お館様は少しも参っていませんでした。それどころか、こんなにうれしい仕返しなら、いつでも大歓迎でした。

真菜ちゃんは、時々乱暴な言葉づかいをすることがあっても、本当は心根の優しい少女でした。

服を脱いでから、再び入ってきた裕美さんは素早くお館様の身体を洗い始めました。

裕美さんが洗ってくれる場合、お館様の指を何回か秘密の穴の中に入れてもらえるのですが、そのときは、急いでいたのでそうしたサービスもありませんでした。

いつもなら、手の平に石鹸を塗って、やさしく洗ってもらえるお館様のものまでタオルでゴシゴシやられました。

でも、やはりお館様も身奇麗にして愛子さんを抱きたいと思ったようで、裕美さんにされるままになっていました。今から愛子さんを抱けるのだからと思い、裕美さんの乳房に触れるのさえ我慢しました。

髭もそってもらい「これでよし。これなら、抱いても愛子さんに逃げられないかもよ」と冗談をいい、お館様を立たせて、亀頭にチュッとキスをしてくれました。

実をいうと、愛子さんはこの館から逃げることができませんでした。

愛子さんには、この館でただひとり結婚経験がありました。そして現在も戸籍上は結婚しているはずでした。

しかし、愛子さんは、夫のドメスティックバイオレンスからこの館に逃げてきたのです。

多くの人にその存在さえ知られていないこの館は、暴力から逃れようとする女性にとって、これ以上ない安全な隠れ場所といえるかもしれませんでした。

裕美さんは、お館様の肩にバスタオルをかけて「わたしたちは、もう少しお風呂に入ってるからね」と言い、真菜ちゃんは、「じゃあ、がんばってください」と頬にキスをして送り出してくれました。

真菜ちゃんは、どうがんばれと言いたいのか、わかりませんでしたが、お館様はいそいそと愛子さんが待っている自室へと戻りました。

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