黒い館
けいもく:作
■ 20.亜紀ちゃんの興味1
亜紀ちゃんは、きっとそういう仕組みについて真菜ちゃんより敏感だったのだと思います。言葉でなくとも、香子さんやお館様の態度から、感じるものがあったのだろうと思います。そして、香子さんがお館様の部屋でどんなことをされているのかに興味を持ってしまいました。
『できることなら、わたしも香子さんみたいにされてみたい。そして、わたしの身体がどれだけ耐えられるか試してみたい』と思いました。
だけど、現実の亜紀ちゃんはお館様の夜伽さえさせてもらえませんでした。香子さんのように責められるわけがありません。
そこで、亜紀ちゃんは考えました。そして、ある日お館様に頼みました。
「わたしにお館様と香子さんが過ごすところを見せてもらえないでしょうか?」
お館様には、亜紀ちゃんが何を言っているのかわかりませんでした。
「いつも見てるじゃないか」
「そうじゃなくって、夜にふたりでお館様の部屋にいるところ」
そこで『そんなもの見せられない』とすぐに突っぱねてしまえばよかったのかもしれません。だけど、お館様は眼をまるくして「なぜだ?」と聞きました。
「わたしなりたいんです、香子さんみたいに、されたいんです。今はまだ魅力がないからダメかもしれないけど」
そして後ろ髪に手を入れ、首をかしげ、開いた唇に微笑を浮かべました。それは亜紀ちゃんにとって精いっぱいの悩殺ポーズでした。
お館様は亜紀ちゃんを見つめました。思わぬところで、亜紀ちゃんの色気に心をときめかせてしまった自分を隠すように、顎をつかんで、引き寄せてから唇にキスをしました。
「いや、亜紀には魅力があるよ。でも、亜紀と香子は違うんだ」当たり前のことでした。でも、それ以上の説明の仕方が見つかりませんでした。
『香子には気を使わないで責めてもいいんだ』と言ったところで『じゃあ、わたしにも遠慮しないでください』と言われれば返す言葉がないと思ったからでした。
「わたしも女です」亜紀ちゃんの眼差しは真剣でした。
「香子にも聞いて見なければならない。返事は少し待ってくれ」亜紀ちゃんにまじまじと見つめられたお館様は、それだけ言うのが関の山でした。
そこで、以前愛子さんと見た、香子さんをロウソクで責めたビデオを見せようかと考えました。
あの香子さんが、乳房にロウソクをたらされて泣き叫んでいるビデオを見せられれば、亜紀ちゃんも納得してくれるだろうと思ったからでした。愛子さんでさえ驚いたほどの激しい内容のものを、亜紀ちゃんに見せた場合の受ける衝撃も考えました。それぐらいは、やむ得ないことかもしれません。
でも『亜紀を部屋に入れてビデオを見たとすると、おれは亜紀にしてはいけないことをしてしまうのではないか』と思いました。そちらのほうが気がかりでした。
お館様が、愛子さんとビデオを見ようと思ったのは、興奮を愛子さんの身体で処理しようと思ったからでした。燃えたぎった欲望を愛子さんにぶつけようと思ったからでした。
だから、最初から裸にした愛子さんの身体を舐めながら見たのでした。愛子さんの身体のにおいを嗅ぎ乳房の柔らかさを確かめ、もだえる声を聞きました。わざと乳房が痛くなるように弾き、膣に指を入れかき混ぜました。
身体をベッドの縛り付け、目隠しをして、香子さんにしたように乳房にロウをたらしました。そこでひとしきり、愛子さんを泣かせ、グッタリとしたところを犯しました。遠慮のない気持ちのいいセックスでした。
でも、それは愛子さんだからできたことでした。とても、亜紀ちゃんにしていいことではありませんでした。
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