狂牙
MIN:作

■ 第1章 籠絡17

 私が舌舐めずりしながら、計画を練って実行に移ったのは、指示を受けてから1ヶ月後。
 1ヶ月掛かったのは、潜入用の身元を作る為。
[一人娘が居る裕福な家庭]ぐらいの手頃な条件の家族を見つけて、騙して追い込んで、首が回らなくなった所で両親には首を吊らせて、天涯孤独の可愛そうな女を作った。
 で、その女には、借金取りに拉致されていた噂と、借金取りが探している事実を作ってやれば、はい[身元を隠したがって居る、不幸な女]の設定が出来上がり。
 そう、それが今の私、黒川由梨よ。

 本物の黒川由梨? その女も今頃、幸せに成ってるわ。
 結構、綺麗な顔と良い身体してたから、組織の調教センターに送ってあげたの。
 今頃は何も考えずに、快楽にドップリ浸かった[肉人形]に成ってる筈だわ。
 まぁ、その後、本当の行方不明に成るんだけどね。

 で、3月に入って行動を起こしたんだけど、これが馬鹿みたいにデーター通りの家でさ、薬を使って一芝居打っただけで、嫁さんと娘は簡単に私を家の中に入れちゃう始末。
 本当、警戒心とか、猜疑心とかゼロで、手間暇掛けて作った身元なんか、必要無かったんじゃ無いかって本気で思ったわ。
 まぁ、その分ターゲットが抜かり無かったけどね。
 報告した時に聞いたけど、3っつ用意してた[証言ライン]を全部見つけられてたわ。
 一つはメイン、もう一つはサブラインで、比較的探しやすいようにはしてたけど、最後の補填ラインも見つけるなんて、良い情報網を持ってるみたいだし、私の身形や持ち物から推測して情報を集めさせる何て、中々頭も切れるわ。

 でも、自分の力を過信しすぎ。
 苦労して見つけた物を[真実]って思いこんじゃう所は、まだまだ甘チャンね。
 私を黒川由梨と思い込んで信用しちゃうし、自分から家に取り込んじゃうんだから。
 まぁ、お陰で全く無関係なのに、両親を殺されて、人間を廃業させられた本物も浮かばれるわ。
 そうした、私が言うのも何か変だけどね。
 取り敢えず潜入は成功、熱を出してる間に、隠しカメラも全部屋の至る所にセットした。
 これで準備OKよ。

 私は自分の部屋を宛がわれて直ぐ、組織に連絡を入れ、必要な物を調達した。
 まぁ、潜伏初日で出来る事って少ないから、初めは様子見のつもりで、食事に蓄積性の媚薬を混ぜてあげたわ。
 このお薬は、身体の中にドンドン溜まって行って、身体を常に興奮状態にするの。
 思考は拡散して纏まらず、いつでも欲求を満たしたく成る。
 この薬の怖い所は、個人差が有るし、決して効果が消えない事。
 投与量を間違えると、あっと言う間に色情狂が出来ちゃうわ。

 勿論、過剰な投与は人格破壊を起こすし、致死量が規定されてるから、人が死んだ事例も有る。
 まぁ、その殺した事例の二割程は、私の仕業だけどね。
 色々失敗もしたけど、その分、組織で使う薬に関してはエキスパートよ。
 今じゃこの薬に限らず、どんな薬も使いこなして、希望の人格に作り替える。
 それが私。
[ドラッグウイッチ]の異名は、伊達じゃないわ。

 と、無駄話はこれくらい。
 先ずは、薬を投与して5日目、そろそろ効き目が定着してきたわ。
 奥さんは性欲が薄いのかしら、オナニー一つしない、今一効きが悪いわ。
 僕ちゃんは、あらら、若いのね、オナニー三昧。
 お嬢ちゃんは、うふふ、可愛い、自分の身体の変化に戸惑ってるわね。
 さぁ、皆さん良い子になる様に、お薬を処方して上げましょうねぇ〜。

 奥様はうふふ、皮膚の感覚神経を敏感にするお薬。
 これで、夜の夫婦生活が、別物に変わりますわよ。
 坊ちゃんは、精巣の働きを強くして、腎機能も活性化させて上げましょう。
 精力絶倫、何度でもオナニー出来る様にして上げるわね。
 お嬢様は、少し前頭葉の働きを抑制して上げましょうね。
 私の言う事を、疑い無く受け入れられる様に成るわ。

 暫くの間、個人別の薬をそれぞれ投与して、様子を見た。
 奥様は…、まぁ、お盛んだ事。
 それに、旦那も頑張るじゃ無い、あんなに喜んじゃってさぁ。
 でも、あの調子じゃ、いつまで持つか疑問ね。
 あ〜あっ、早く来ないかな〜、[超高吸収美容ローション]。
 アレが来たら、速効でこの奥様の肌、ピチピチにして上げるのに。
 でも、マジでご主人様が許可を呉れるとは思わなかったなぁ〜、あんな高い薬品。
 確か1本で、Sクラスの奴隷1人分のポイントが必要な筈よ。
 まぁ、それに見合う効果は有るんだけどね、にしても、今回奮発してるわご主人様。

 坊ちゃんはと…、またオナニーかよ。
 こいつは猿? それも、決まって人の名前呼びながら、逝きやがって…、何が[由梨さ〜ん]だ、キモいんだよ。
 こいつは、アレだな…。
 草食獣と一緒、攻撃性の欠片も無い。
 きっと今まで、告白された事は有っても、した事は無いんだね。
 ったく、情け無い…、お姉さんは、情け無いぞ青年! それじゃ、私を押し倒すなんて、億万年早いぞ。
 と言う事で、この坊ちゃんには、攻撃性を上げるお薬を少々、あんまりやると犯罪者まっしぐらに成るから、量は気を付けてっと。
 あらあら、お嬢ちゃん1週間目にして、可愛らしい反応しちゃって、これはお姉様が、正しく指導しなければ。

 私は監視モニターを見て、ニンマリ笑いながら、腰を上げたわ。
 さってと、準備する物はっと、ワンタッチの拘束テープと…、後ローターぐらいで良いか、初日だしあんまハードにするのも考え物ね、今日の所はこれで様子見しましょ。
 さて、ジュースでも持って、行きましょうかね〜。
 キッチンでジュースを用意すると、ムクムクと私の悪い虫が騒ぎ出し、ジュースの中に利尿剤を入れちゃった。
 この利尿剤も特性。
 普通に腎臓を働かせて、利尿作用を高めるけど、薬が効いてる間は、有る条件が揃うまで排泄信号を遮断するの、だからオシッコは十分に溜まるけど、オシッコに行きたいと思わないのよね。
 じゃあ、いつオシッコをしたく成るか?
 それはね、子宮が有る程度以上収縮すると、それを合図に放尿が始まるの。
 つまり、逝った瞬間にお漏らししちゃうのよ。

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