狂牙
MIN:作

■ 第2章 ゲーム18

 数秒で反り返り、その全貌を顕した啓一の凶器に、毬恵の表情が初めて大きく変わったわ。
 その目は大きく見開かれ、思わず息を呑む毬恵。
 毬恵の目は、啓一のギンギンに成ったチ○ポを見て、ウルウルと滲み初めて、頭を落としガックリと項垂れる。
 毬恵の肩がプルプルと震え、ポタポタとリビングの床に、涙が落ち始めたわ。
 フルフルと震えた毬恵が、頭を上げて初めて感情を顕わにした。
「ゆ、由梨様…酷いです…。私を…私をこんな風にしておきながら…」
 毬恵はそこまで言って、あまりの感情の高ぶりに、苦しそうに言葉を句切り、ブルブルと震える。
 晶子も啓介も、流石に神妙な面持ちで、毬恵の次の言葉を待っていたわ。

 だけど、私は毬恵の次の言葉が、どんな物に成るか分かっていた。
 2人の子供が見守る中、毬恵は私に身を切るような声で、それを告げたの。
「私1人を仲間外れにされたんですね…。どうして、私には奴隷としての証を…下さらないんですか…」
 毬恵は私の顔を必死の目で見詰め、涙を流しながら、尋ねてきた。
 毬恵の言葉を聞いて、晶子と啓一が目を見張って驚いてたけど、私には判ってた。
 だって、毬恵が啓一のチ○ポを見た時に、目の中に浮かんだ感情は、明らかに羨望だったもの。
 晶子のピアスの時には、多分我慢したんだと思うけど、啓一の時には無理だったみたい。
 私は毬恵の無表情の意味を知って、思わず吹き出しそうになったわ。
 毬恵は、実の子供達に嫉妬してたの。
 私から何も与えられてないのが、自分だけだと知って、子供のように涙を流して、私に訴えたのよ。

 毬恵の泣きじゃくる姿を見て、啓一と晶子は呆気に取られていたけど、私は[最下層の物]が偉そうに、抗議するのを許さなかった。
 私は組んでいた足を、そのまま伸ばして毬恵の顔を正面から蹴り込んだ。
 私の足の裏は、綺麗に毬恵の顔面を捕らえて、毬恵は仰け反って床に倒れる。
 私の行動に、全員が驚きその場で固まったけど、やっぱり晶子が一番最初に反応して、毬恵を叱り付けた。
「ママ! お姉様に、なんて口の利き方をするの! ママは、[最下層の物]なんでしょ? それが、お姉様に意見するなんて、どう言うつもりなの!」
 晶子は怒鳴りながら、鼻血を流す毬恵に近付き、何度もお腹や顔を力任せに踏みつける。
「ひぃ〜っ! や、止めて晶ちゃん! ママを蹴らないで!」
 毬恵は必死に顔を庇いながら、晶子の足から逃げようとした。

 すると、啓一が毬恵の身体に這い寄り、毬恵の両手を掴むと毬恵の頭の上に両手を上げ、その両手を足で踏み押さえ、毬恵の頭を挟み込んで固定する。
 毬恵の顔が床に固定され、驚愕に染まった。
 晶子は啓一の行動を見て、ニンマリと酷薄に微笑み、容赦無く踵を毬恵の顔に落とし込む。
 ガスッ、ボクッっと鈍い音を立て、晶子の足が毬恵の顔を変形させて行く。
 最初は足をばたつかせて暴れていた毬恵だけど、5回程踏まれると大人しくなったわ。
 私は暫く見てたけど、10回も経てばちょっと飽きちゃった。
「晶子」
 私は一心に母親を踏みつける晶子に声を掛けると、晶子は弾かれたように私に向き直り、直ぐに正座しそうに成った。
 私は座り掛ける晶子に向かって、自分の部屋の鍵を放り投げ
「赤いシャネルを持っておいで」
 部屋からバッグを持ってくるように命じた。

 晶子は私の投げた鍵を受け止め、直ぐに反応すると
「はい、お姉様。お部屋に入らせて頂きます」
 スッと立ち上がり、深々と頭を下げて断りを入れ、一目散に駆け出して行った。
 私は視線を啓一に向けると
「どんな風になったの?」
 啓一に静かに問い掛ける。
 啓一は私の問い掛けに、大きく首を縦に振って立ち上がり、毬恵の髪の毛を掴んで引き起こした。
 毬恵の顔は、頬と鼻と瞼が腫れ、唇と鼻から血を出している程度で、大した怪我ではなかった。
 ダラリと手足の力を抜いて、うめき声さえ上げていない。
 まあ、目線に力がないのを見ると、多少なりともショックだったみたいね。
 でも、まだまだよ、本番はこれから。

 私がニンマリと微笑んでいると、トタトタと足音を立てて、晶子がリビングに戻ってきた。
 その胸には、大事そうに私の赤いバッグを抱え、嬉しそうに微笑んでいる。
「お姉様、これで宜しいでしょうか?」
 晶子は私にバッグを差し出して、問い掛けた。
「ええ、それよ。じゃぁ、それの中身で、晶子と啓一が毬恵に教育して上げて。お前達とあの屑の違いをね…」
 私が艶然と微笑むと、晶子は途端に頬を紅潮させて目が蕩けたわ。
「あっ…、は、はい…、お姉様…。判りました…、お姉様に気に入って頂けるように教育します〜…」
 鼻に掛かった掠れ声で、晶子は私に答え、イソイソとバッグを開いて中身を確認する。

 バッグを覗き込んだ晶子の動きがピタリと止まり、数秒中身を見詰めて頭が跳ね上がった。
 跳ね上がった晶子の顔は、蒼白で大きく開いた両目が、驚きを顕していたわ。
 そりゃそうでしょ、あのバッグの中身は、誰がどう見ても使い道が判るし、その効果も一目瞭然。
 晶子は恐る恐るバッグに手を入れて、中身を1つ取りだした。
 晶子が取り出したのは、一番長いタイプのヤツで、45pの物。
 銀色に光り輝く針の両端には、保護用のソフトビニール製のキャップが嵌められている。

 キャップは半透明だから、針の先端がどれだけ鋭いか、一目で判るわ。
 晶子が選んだのは、[痛くない方]ね。
 もう一つのタイプは、数は少ないけどかなり効くわよ。
 晶子が抱え込んだバッグの中には、長さが4種類で2タイプの針と2種類の釘、それとハンマーと蜜蝋が入ってるの。
 針は100本を越えてる筈だし、釘は20本ぐらいかな? 蜜蝋はまだ10本は残ってた筈だし、責めるには十分な量よ。
 驚きを見せる晶子が、どこまで母親を虐められるか、見物だわね。
 私はサド性に目覚めた、晶子の行動を楽しみにニンマリと笑顔を作った。

 だけど、私は笑った顔から、徐々に微笑みを消して行く。
 だって、晶子ったらバッグの中を覗き込んだまんま、呆然としちゃって動かないんだもの。
 晶子が、私の表情の変化に気付かず、固まっていると
「はひほはは!(晶子様!)」
 啓一が私の表情に気が付いて、晶子に声を掛けた。
 晶子はビクリと震えて啓一を見て、啓一の視線に気付いて、私を振り返り、蒼白な顔を更に蒼白に変え、慌てて頭を下げ
「す、直ぐに行います。お許し下さい、お姉様!」
 私に謝罪して、毬恵に向き直ったわ。

 私はソファーに背中を預けて足を組み、苛立った気持ちを鼻から吐き出すと、気持ちを抑える為に腕組みをした。
(最近駄目ね、良いSEXしてないから、私自体が欲求不満よ。こう言う時、ご主人様の偉大さが判るのよね)
 愚にも付かない事を考えながら、視線を晶子と啓一に向ける。
 啓一は正座しながら、晶子が開いた鞄の中を覗き込み、晶子と同じように固まっていた。
 私は溜め息を吐いて、頭を抱えたが、一旦気持ちをリセットさせるつもりで
「晶子、お茶を頂戴…」
 晶子にお茶の準備を命じる。
 晶子は私の命令にビクリと跳ね上がり
「は、はい。ただいまご用意致します」
 あたふたと立ち上がり、キッチンに駆けて行った。

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