狂牙
MIN:作

■ 第3章 転換の兆し13

 リビングに着いた時点で、2人は足元も覚束なく成って居たが、それでも表情と姿勢は、平静を保って居た。
 昌聖はリビングのソファー迄来ると、2人の股間から手を放し、ソファーに腰を掛ける。
 2人は、この時[耐えきった]と安堵したが
「美咲、鞄は後で良い。2人ともがに股で、立って…」
 昌聖の静かな命令で、終わって居ない事を理解する。
 美咲が、一人掛けのソファーに鞄をソッと置き、美由紀の横に立つと
「失礼します」
 2人は昌聖に一礼して、足を大きく開き、真っ直ぐ腰を落とす。
 上半身は背筋を伸ばし、下半身はがに股で、股間を晒す姿勢を取った2人に、昌聖は両手を伸ばした。

 先程と同じように、秘裂とクリトリスをなぶり始めた昌聖は、優しい微笑みを浮かべ
「美咲は、本当に可愛いね」
 擽るような甘い声で話し掛ける。
 この一言で、美咲は昌聖の意図を理解した。
(昌聖様! これは、惨すぎます…。昌聖様の囁きを聞きながら、快感を我慢するなんて…地獄です。それに、お答えを返す為に、歯も食いしばれ無い…)
 昌聖の過酷な責めに、内心愕然としながら
「ありがとうございます。ご主人様にお褒め頂けて、幸せです」
 はにかんだ微笑みを浮かべ、嬉しそうに答える。
 昌聖の言葉で、大きく開いた股間から、ジュブッと音を立て、愛液が溢れ出しフローリングを濡らす。

 昌聖は、ニッコリと微笑み頷くと顔を美由紀に向け
「美由紀も本当に綺麗に成ったね」
 美由紀にも、優しく微笑み話し掛ける。
「あ、ありがとうございます。ご主人様に言われると、は、恥ずかしいです」
 美由紀は照れた微笑みを浮かべ、昌聖に答えた。
 美由紀の秘裂は、ビクビクと震え、大量の愛液を美咲と同じように、フローリングに撒き散らす。
(アッ、駄目…。今、軽く逝っちゃた…。あ〜ん、こんなの拷問です〜…。昌聖様〜、もう許して下さい〜…)
 美由紀は、最初の責めで直ぐに内心泣きを入れる。
 昌聖はスッと目を細めたが、何も言わず美咲に向き直った。
 美由紀は、昌聖の視線の変化に気付き
(駄目! こんな事で、どうするの…。昌聖様のガッカリする顔は、もう絶対嫌だ。私だけ、みんなに置いて行かれるのは、絶対にヤダ!)
 自分を奮起させ、必死に快感を押さえつける。

 美由紀は、奴隷達の中では、一番堪え性が無く、こう言った[快感を押さえつける]躾が苦手だった。
 快楽主義者だった美由紀に取って、この種の躾は拷問以外の何物でもない。
 昌聖はその事は十分に理解しているため、今も美咲と美由紀には与えている快楽に差をつけている。
 美咲の場合は、的確にウイークポイントを刺激しているが、美由紀の場合は微妙に外していた。
 美咲達の身体を隅々まで熟知している昌聖が、本気で愛撫すれば10秒掛からず昇天させられるのだ。
(ん〜っ、美咲はまた伸びたね。以前だと逝ってるレベルの責め何だけどな。それに対して、美由紀は駄目だなぁ〜…。進歩が見られない…。方法を考えなきゃ…)
 昌聖は優しく二人に語りかけ、それぞれの反応を分析する。

 やがて、2人の身体が逼迫し、ブルブルと抑えようのない震えに満たされ始めた。
 顔を真っ赤に染め、優雅な微笑を浮かべながら、涙がボロボロと零れ始める。
 心と身体を満たす快感を押さえ込む2人に、限界が近づいた。
 その時リビングに、パタパタと小さい足音が近づく。
(んっ、あの足音は…。歩美も終わったようですね)
 昌聖は足音の主に気がつき、2人に視線を向けると、美咲も歩美の接近に気付き、意識が向いていた。
 だが、美由紀は快感を押さえ込むのに精一杯で、それに気付いていない。
 昌聖は内心溜息を吐いたが、おくびにも出さなかった。

 全裸の歩美が、資料を片手にリビングの入り口に平伏し
「申し訳有りません、ご主人様のご帰宅にも気付かず、挨拶に遅れてしまいました」
 床に額を押し付けて、必死な声で謝罪する。
「良いよ。歩美がそうなったのは、多分それだけの情報が有ったんだろうからね」
 昌聖は美咲と美由紀の股間から手を離し、両手を2人に差し出す。
 美咲は、歩美の登場で、躾が終わるであろう事を予期しており、即座に昌聖の前に膝まづき、差し出された手をおしいだき、舌を這わせる。
 しかし、歩美に気付いていなかった美由紀は、歩美の言葉で振り返り、昌聖の手が離れた事に驚き、あたふたと醜態を晒す。
 何とか取り繕って、昌聖の前に膝まづいて、手を沿え口に含んだ。

 美咲の優雅さが際立ち、美由紀は泣きそうな顔で、昌聖の手に舌を這わせる。
 この時点で、奴隷にとって昌聖の躾は失敗では無い。
 失敗の場合は、昌聖自身が途中で止めるからだ。
 そして、ここから奴隷達に取って、最も重要な自分との戦いが始まる。

 昌聖の手を清めていた美咲が唇を離し、優雅に一礼すると、美由紀は拭い終えぬまま、手を引き上げられた。
[同時に差し出した手は、同時に引き上げる]それが、昌聖の鉄則であった。
 多頭飼いをする場合、理由無く奉仕の時間を延ばすのは、破綻を生んでしまう。
 それは、信頼関係や、奴隷達の関係、果ては主従関係にも影響してゆく。
 特に自発を重んじる昌聖の主従関係では、たとえ婚約者でも例外にはしなかった。
 その徹底で、奴隷達は必罰必賞の元、努力を惜しまないし、妬みや嫉妬を生まなくなる。

 昌聖は、歩美に視線を向け
「何が解ったの?」
 右手を差し出しながら、問い掛けた。
 歩美は、直ぐに立ち上がり昌聖の元に移動して、正座すると資料を差し出し
「1月に新しい家政婦が雇われ、そこから少しずつ、周りに些細な変化が起きています。それと、家政婦の身元なんですが、訳有りのようなので、少し突っ込んで調べましたが、微妙に作為の影が見え隠れします」
 昌聖に報告する。
 昌聖は報告の内容を聞きながら、資料に目を通すと
「ふ〜ん…。気に成るね…。特に、この周辺に現れ始めた痴女の話し…。情報を見る限りでは、露出プレイだね…。それに、身体的特徴が、啓一君のお母さんに酷似している。この家政婦怪しさ満点だけど、この情報操作の仕方は、かなり大掛かりだね…」
 ブツブツと呟きながら、真剣な表情で分析した。

(ふ〜っ…。僕の感は当たってたね…、かなりきな臭い…。これは、大掛かりな事に成りそうだ…)
 昌聖は嫌な予感に襲われながら、資料を歩美に差し出し
「うん、引き続き調べて。ただし、絶対に近づいちゃ駄目だよ」
 歩美に調査の続行と注意を与える。
「はい、畏まりました。逐次報告いたします」
 歩美は資料を受け取り、平伏して答えた。
「よし、歩美おいで」
 平伏する歩美に、昌聖が差し出した手を引かずに告げると、歩美は嬉しそうに微笑み
「はい、ご主人様」
 資料を置き、昌聖の足元ににじり寄る。

 昌聖の手が、スッと歩美の頬を撫でると、歩美の目がウットリと蕩け、表情から力が抜けた。
「あふぅ〜…」
 思わず零れた吐息には、熱く甘いものが含まれている。
「綺麗だよ歩美…」
 昌聖は歩美を引き寄せながら、優しく口吻し唇の中に囁きを送り込む。
「んくぅ…、あふぅ…、ちゅぱ…、あん…、ちゃぷ…、ん…、ぬちゅ…」
 囁きの後差し込まれた舌に、口腔内を蹂躙され、それに自分の舌を絡め応える。
 激しい呼吸で歩美の乳房が揺れ、乳首のピアスに付いた鈴がリンリンと小刻みに存在を主張し、微妙な振動が起立した乳首に快感を送り込む。

 昌聖は、蹂躙していた舌をゆっくりと口腔内に戻すと、歩美の舌がそれを追うように伸ばされ、昌聖の唇や口腔に奉仕を始める。
 それは、口吻などで無く、唇を使った奉仕だ。
 口の全てで、昌聖を感じさせようとする奉仕は、時に唇で啄み、押しつけて柔らかさを堪能させ、歯列で擦り、舌先で刺激し、唾液を啜り上げる。
 昌聖は唇を歩美に預けながら、両手で乳首の鈴を持ち、倒していた上体を起こす。
 昌聖の上体が起きあがるに連れて、歩美の身体が奉仕を続けながら、伸び上がって行く。
 床に着いた手がフローリングから離れると、優雅な動きで背中に回され、自ら戒め合い動きを封じる。
 全てを捧げるという歩美の心は、自然とその姿勢を取ってしまう。

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