狂牙
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■ 第3章 転換の兆し14

 歩美の身体が膝立ちになると、昌聖の右手が乳首の鈴を離し、歩美の股間に伸びる。
「一度逝かしてあげる…」
 昌聖が笑いを含んだ声で、歩美に囁くと股間に伸ばした手が、クリ○リスを転がす。
「あきゅ、あきゅ、くん、くふぅ〜っ、い、いきまふっ、あゆみいくぅ〜〜〜〜っ!」
 歩美は昌聖に奉仕を続けながら、全身を硬直させてビクビクと身体を震わせる。
 歩美の膝の間に、ドボドボと音を立てて、愛液が水溜まりを作った。
 昌聖は優しく微笑みながら、堅く目を閉じブルブルと震える歩美の瞼に、優しい口吻を与えると
「さあ、今日はよく頑張ったね、これはご褒美だよ…。好きなだけ感じなさい…」
 歩美の身体から手を離し、肩をトンと押した。

 歩美の身体は、そのまま後方にゆっくりと倒れて行く。
 だが、歩美の両手は背後で、堅く組まれたままだ。
 そのまま、腕を組んでいると、間違いなく後頭部を床に打ち付ける。
 しかし、倒れて行く歩美は、そんな事微塵も心配していない。
 いや、歩美にはそれでも良かった。
 後頭部を床に打ち付けようが、何だろうが、主人の取った行動に毛程も疑念を抱いていない。
 もし、後頭部を打ち付け、のたうち回ったとしても、それが昌聖の望みであれば、歩美には満足だった。

 勿論昌聖は褒美を与える者に、そんな仕打ちはしない。
 倒れて行く歩美の身体が、ピタリと止まり、足を持ち上げられ股間を昌聖に差し出す。
 倒れて行く歩美の身体を美咲と美由紀が両側から支え、足を持ち上げて昌聖に差し出したのだ。
 昌聖の目の前に、歩美の無毛の恥丘が晒される。
 恥丘の真ん中に[昌聖]の入れ墨が入り、磨き上げられた親指大のクリ○リスにはリングピアスが光っていた。
 入れ墨は歩美自身がご褒美として、昌聖に懇願し、昌聖の手で入れられた物で、歩美の誇りである。
 何故なら、歩美は昌聖の奴隷になった経緯が最も特殊で、昌聖の持ち物としてしか生きていけないからだ。
 そのため、他の奴隷には入れ墨は入っておらず、歩美だけに赦された物だった。

 昌聖は歩美の股間に手を伸ばし、ソッと恥丘を撫で、クリ○リスに触れる。
 歩美の身体がビクンと跳ねて、鈴が音を立てた。
「歩美は、これが好きだったね」
 昌聖はそう言いながら、道具箱から細いチェーンの束を取り出す。
「あぁ〜っ…、はい…。でも、それを付けられますと…」
 歩美はチェーンを潤んだ目で見つめた後、直ぐに自分を支える美咲と美由紀を見て、小声で呟く。
 歩美はこのチェーンで敏感な肉芽を拘束されると、あられもなく嬌態を晒す。
 快感が強すぎて忘我の域に達し易く、身体をくねらせ、捩り、暴れてしまうのだ。
「構わないよ。思う存分乱れて、僕の目を楽しませて。美咲と美由紀がしっかりと、歩美を支えて気持ちよくしてくれるから」
 昌聖はにっこりと微笑み、歩美に許可を出すとY字に成ったチェーンで、両乳首とクリトリスのピアスを繋げる。

 美咲達のこの行動は、昌聖が強要した物では無い。
 基本的に昌聖は、自分自身でルールを作らない。
 奴隷達の自主性に任している。
 その分、奴隷達は合議制で自分達に厳しいルールを布いていた。
 今の場合、昌聖に対する奉仕は、第1優先権が歩美、次に美咲、最後に美由紀と成っている。
 第1優先権は、自分の思った場所に奉仕を行え、次に第2優先者、と順次権利が落ちて行く。
 そして、美由紀のようにご褒美が貰える達成者は、昌聖の許可無く自由に達する事が出来、ご褒美を貰えない達成者は、許可が貰えれば逝け、未熟と感じた者は、命令でなければ逝けない。
 未達成の場合は、この輪の中に入る事も出来ないから、逝く以前の問題である。

 こう言ったルールは、まだ無数に有り、守らなくてもペナルティーは無い。
 しかし、後悔は強く残ってしまう。
 昌聖は常々[プライドの無い奴隷は、必要ない]と言い聞かせている。
 言ってみれば、それが昌聖の決めた数少ないルールの一つで、奴隷達には絶対無二の物だった。
 奴隷達は、昌聖の側に居るために[求道者]のような戒律を決め、それを守り、己を磨き上げる。
 必然、美咲達はそこら辺に転がっている、肉欲奴隷とは格が違っていた。
 美しさ、気品、優雅さ、身体能力、性技、耐性、妖艶さ、色気、どれを取っても一流で有る。
 だが、彼女達は普段はそれをひた隠している。
 野暮ったい衣装に身を包む理由は、それらの物は全て、昌聖一人のために有ると思っているからだ。
 昌聖の指示が無い限り、それらの磨き上げた物は人目に付く事は、決してなかった。

 奉仕の場所は、ベッドルームに移り、歩美は昌聖に貫かれ、その日最大の絶頂を極める。
「歩美。可愛かったよ…」
 弛緩し昌聖に抱き留められた歩美が、蕩けた視線で昌聖に微笑みかけ
「ありがとう…ございました…」
 激しく弾む息を整えながら、心からの感謝を口にする。
 昌聖の残滓を美咲が啜り上げ、歩美のオ○ンコを美由紀が舐めあげる。
 歩美の膣に注がれた、昌聖の精液を美由紀が啜り上げると、それを口移しで歩美に渡す。

 精液を嚥下出来る権利は、使用された歩美の物で、他の誰にも無い。
 歩美は一瞬美咲と美由紀に視線を向けると、二人とも目線を外す。
 二人の心には[私には資格が無い]と言う言葉が、浮かび上がっていた。
 二人の心中を察しながら、歩美は渡された昌聖の精液を飲み下す。
 昌聖は身体から力を抜き
「少し眠るよ」
 美咲達に告げると、歩美は昌聖の胸に手を添え、優しく撫で始め、美咲と美由紀は退出していった。
 眠る昌聖に添い寝できるのも、ご褒美を貰えた奴隷だけで、特に指名が無ければ他の奴隷達は、それぞれの仕事に就く。
 これも、奴隷達が決めたルールの一つだ。

 ベッドルームを辞した美咲の顔に、思い詰めた表情が浮かぶ。
 その顔に、落ち込んでいた美由紀が気付き
「美咲お姉様…、申し訳ありません…。お姉様は完璧に出来ていたのに、私のせいで…」
 廊下の床に頭を擦りつけ謝罪する。
「あっ、良いのよそんな事。あれは、昌聖様が私に身体を触れさせ無いようにしただけだから。一番悪いのは、全部お兄ちゃん。多分ね…」
 美咲は考え込んでいた顔を、パッと明るく変え美由紀に答え、眉根に皺を寄せながら呟いた。

 美由紀が意味も分からず、驚いた顔で小首を傾げると
「今日、昌聖様が入ってきた時、雄の気が強かった。あれは、昌聖様が何かを決めた時…、それも、危ない橋を渡る時に見せる雰囲気。それに反応した私たちに、躾してあの状態で褒美をくれないのは、多分私が身体に触れるのを避けた」
 美咲が呟くように、今までの流れを推理する。
 美由紀は廊下に正座して、ポカンと口を開けながら美咲を見つめた。
「そう、歩美のご褒美にしても、アレは破格…。だとしたら、やっぱり答えはお兄ちゃんにしか行き着かない…」
 美咲は尚もブツブツと呟いている。

「あっ、あの〜…。美咲お姉様…、どうして昌聖様が、そんな事をすると思われたんですか?」
 美由紀が美咲におずおずと問いかけると
「えっ? だって、昌聖様が私の身体に触れたがらない理由は、ただ一つだもの。それは、隠し事をしている時。私、肌を合わせれば、昌聖様の感情、手に取るように分かるんだもの。だから、この推測は7割から8割、[当たらずとも遠からず]ってとこね」
 美咲はあっけらかんと、美由紀の答えた。
 美由紀はこの時初めて、昌聖と美咲の関係を理解し、自分に足りない物に気が付いた。
(私、今までそんな事、感じた事無かった…。ううん、昌聖様の表面しか見ていなかったんだわ。追いつける筈無いわ…心構えが違う…)
 美由紀は躾を満足に出来なかった事より、強く落ち込む。
 そんな、美由紀に美咲は笑いながら
「落ち込んでても先に進めないわよ、さあお仕事に掛かりましょ。私は、お料理作るから、美由紀はリビングの後かたづけお願いね」
 明るく美由紀を促し、キッチンに向かう。

 美咲のこの言葉は、美咲の言うとおりの物で、その推測率まで的中させていた。
 美咲がもしもこの時、歩美の資料を読んでいたら、ほぼ100%の内容で、昌聖の心中や状況を理解したであろう。
 ただ、いかんせん美咲には、葛西家の情報が入っていなかった。
 必然昌聖の置かれた環境も、その分の誤差が生じている。
 そして、その誤差は思わぬ結果となって、昌聖達に降りかかるのだ。
 昌聖達も、こうして歯車に組み込まれ、物語を織りなして行く。
 変えられぬ運命の舞台は、着々と整い始める。

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