狂牙
MIN:作

■ 第5章 血の連鎖12

 息を切らせて、千佳がコントロールルームに入ると
「3日間どこに行ってた…」
 低く響く声で、良顕が千佳に問い掛ける。
 千佳はギクリと顔を引きつらせて、良顕の顔を見詰め
「あ、あの…、その…。お、お友達の…所です…」
 震える声で、良顕に答えた。
 すると、良顕は千佳の予想しない言葉を問い掛ける。
「[お友達]って、この女性か?」
 良顕は、ジッと見詰めていたモニターに顎をしゃくった。

 千佳は急いで、身体を回転させ背後を振り返り、モニターに視線を向けると
「ひっ! み、美由姉!」
 身体を硬直させ、思わず悲鳴のような声で美由紀の名を呼んだ。
 モニターの中の美由紀は、あからさまに怪しい行動で、葛西家の中を窺いながら、家の周りをうろついていた。
 そしてサブ画面には、小夜子がニヤニヤ笑いながら監視モニターを見ている映像が映っている。
「で、この不幸な女性は、どこの誰だ?」
 良顕は苦虫を噛み潰したような顔で、千佳に問い掛けた。

 千佳は、顔を引きつらせながら
「こ、近藤さんの…。奴隷の1人です…」
 ボソボソと良顕に美由紀の正体を答える。
 その瞬間、コントロールルームが凍り付き
「い、いかん! 直ぐに、対処させろ! バレても構わないから、監視員に掠わせろ!」
 良顕が乙葉に指示を飛ばし、乙葉が頷いてコールホンを手にした時、事態は最悪の結果を迎える。
 画面上の美由紀が、葛西家の中に侵入してしまったのだ。

 ゲーム中に第3者に危害を直接加える事は、ルール上禁止されている。
 だが、[マテリアル]の性質上、その存在は秘匿性を維持しなければならない。
 どこかの組織が、探りを入れてくる場合が有るからだ。
 不審者の場合は、第3者と認められず、身柄を確保され組織の尋問を受ける。
 尋問は本部が行う事になっているが、その権利をプレーヤーが手にする事も出来、プレーヤーが手にした場合は、その不審者はゲーム内の景品として扱われた。

 そして、美由紀の場合は明らかに不審者としての条件を満たし、小夜子は啓一に嬉々として指示を飛ばす。
 リビングで控えていた啓一は、小夜子の指示を聞いて風のように庭に消えて行った。
 良顕の見ている前で、美由紀は啓一の一撃で昏倒する。
 グッタリと横たわる美由紀を、啓一は襟首を鷲掴みにして荷物のようにぶら下げ、リビングに戻って行った。
 カチャリとコールホンを戻す音が、コントロールルームに流れ、良顕の大きな溜息が響いた。
 モニター内では、小夜子が美由紀の顔を見て、身体に触れて首を傾げ
『この子のメイクを落としなさい』
 晶子に指示を飛ばす。

 晶子が頷いて、クレンジングで美由紀のレベルダウンメイクを落とすと、小夜子はニヤリと笑って携帯電話を手にした。
 ボタンを押し終えると、顔を上げてリビングの監視カメラに目を向け、真正面からモニターに顔を写すと
『ご主人様、不審者を捉えました。素材的にはSクラスです。尋問権をお取り下さい』
 ニヤニヤ笑いながら、余裕たっぷりの声で天童寺に依頼する。
『ほう…、思わぬ収穫だな…。解った、直ぐに手配しよう』
 天童寺の通話内容が、スピーカーから流れて数秒後、[ピンポロン]と間抜けなチャイム音が鳴り
『天童寺様から、不審者の[尋問権]が申請されました。ポイント上権利は、天童寺様の物と成ります』
 女の声が、本部の決定を良顕に告げた。

 モニター内の小夜子の携帯電話が鳴り、小夜子に尋問権の獲得を天童寺が告げる。
 小夜子は、ニヤリと笑い晶子と啓一に指示を出した。
 この時点で、葛西家のリビングは以前と比べて、大きく変わっている。
 床には一面ビニールシートが敷かれ、大型の責め具があちこちに置かれていた。
 吊りを行うための天井クレーンや三角木馬、開脚台や棘付き椅子、水攻め用の巨大水槽や磔台など様々な物が隠す必要も無いと並べられている。

 美由紀は気絶したまま、全裸に剥かれて開脚台に固定された。
 小夜子は美由紀の全裸を見て、訝しげに顔を歪める。
 美由紀の無毛の恥丘はスベスベで、両乳首とクリ○リスにはリングピアスが輝いていたからだ。
 小夜子は、携帯電話で美由紀の顔と身体を真正面と真横から写し、クルリと身体の向きを変えリビングの隅に移動すると、連絡用の端末を操作する。
 連絡用端末は、完全に小夜子の個体情報が揃っていないと、使用出来ない仕組みになっていた。
 起動させ終えると、小夜子は携帯電話のメモリーから、美由紀の写真を取り込み、[マテリアル]内のデーターベースを検索する。

 十数秒の検索の後、結果が[該当無し]と出た。
『このデーターベースで[該当無し]が出たって事は、この子、このレベルで私達関係じゃ無いの…。[マテリアル][紳士会]双方のデーターにも含まれて無いって事は…一般人?』
 ブツブツと呟きながら、美由紀の素性を推察する。
 小夜子の使ったデーターベースには、[マテリアル]内の奴隷データーは勿論、[紳士会]のリークデーター迄網羅されていた。
 しかし、昌聖達に関するデーターは、優駿に厳重に管理され、優駿の息の掛かった者しか閲覧出来ない状態だった。
 これが功を奏し、美由紀はこの場で殺される事がなかったのだ。

 手首と足首、肘と膝、腰と首をベルトで固定され、足が180度近く広げられる。
 だが、奴隷として身体を開発している美由紀には、その程度の事は造作も無かった。
 痛みを伴わないため、美由紀は開脚しても失神から目覚めない。
 その反応に、小夜子は真剣な表情で
『随分、身体が柔らかいのね…』
 ボソボソと呟き、大きく広げられたオ○ンコに、右手の人差し指と中指を差し込んだ。

 美由紀のオ○ンコは濡れて居らず、小夜子の指の侵入に抵抗を見せるが、直ぐにツルリと呑み込む。
 小夜子は、直ぐに薬指と小指を増やして四本にすると、美由紀のオ○ンコは直ぐにそれも呑み込んだ。
 小夜子の顔が再び訝しげに歪み、そのまま右手を押し込んで、親指を入れ手の甲を押し込む。
 少しの抵抗の後、その手がズルリと奥に入って行った。
『この子何者…。普通、濡れてない状態で、フィストファックなんか出来ないわよ…。これで、失神から醒めないなんて、痛みを感じてない…』
 小夜子の表情は、驚きに染まってる。

 小夜子の指が更に奥に入り、子宮口に触れると美由紀が目を覚ます。
『あら、おはよう』
 小夜子はオ○ンコに腕を入れたまま、美由紀に語り掛けると
『えっ! 何? ここどこ! や、やだ。離してよ! あっ、か、葛西君お願い、これを外してー!』
 美由紀は驚きながら、固定させた身体を暴れさせ、大声で怒鳴った。
 小夜子は、そんな美由紀の反応を見ながら
『静かにおし!』
 低く静かな声で、美由紀に命じる。
『ぎゃぁ〜〜〜〜〜っ』
 その途端、美由紀の口から張り裂けんばかりの大声で、悲鳴が上がった。

 小夜子が子宮に爪を立て、強く握り込んだのだ。
『ほ〜ら、こんな状態で暴れるから、粘膜に爪が当たったじゃないの』
 小夜子は酷薄な微笑みを浮かべ、美由紀に告げる。
 美由紀は怯えた表情で、首を左右に振りイヤイヤをした。
『痛いのが嫌なら、従順にしなさい…。解った? 子猫ちゃん』
 小夜子は美由紀に告げると、子宮口に指を当てグッと力を入れる。
 美由紀の眉根に皺が寄り、美由紀は痛みから逃れるために、子宮口を開いた。
 ヌルッと小夜子の指が3本、子宮内に呑み込まれると
『どこで、こんな技を覚えたの…? これは、相当のマニアに仕込まれなきゃ、出来ない芸当だわ…』
 静かに美由紀に問い掛ける。

 この時、小夜子は完全に美由紀を一般人だと思いこんでいた。
 それは、データーベースに美由紀の情報が無かった事が原因で、小夜子は組織の力を過信し、何ら疑いの気持ちを持たなかったのだ。
 しかし、それも仕方が無い事で、それ程[マテリアル]のデーターベースは充実していたのだ。
 今まで、検索して出た結果に、一度も狂いが無ければ、誰も疑いは持たない。
 小さな亀裂が発生し、歯車が狂い始める。
 絡み合ったシナリオは、偶然により変化して行く。
 だが、その結果は必然が招くのだった。

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