哀妹:芽衣
木暮香瑠:作

■ 恥辱の体育館3

 夏だと言うのに、体育館の窓は全て締め切られていた。蒸し風呂のような暑さが芽衣を襲う。額に、剥き出しになった肩に汗が浮かぶ。撮影は、段違い平行棒をバックに、顔のアップや全身の写真から始まった。
「目線をあっちに向けて、そう、遠くを見る感じで……」
「ちょっと微笑む感じで……」
 柴田と藤原が表情の注文をしてくる。しかし、芽衣は、真由美の持っている封筒が気になってしょうがない。真由美は、写真を取り出し見ていた。男子部員は、芽衣に見とれていて写真には気が行ってない。女子部員達も、相変わらず芽衣に敵意を持った視線を投げかけている。
(真由美さん、写真を見てる……。しまって、写真……。他の人に見られちゃう)
 芽衣は、視線がつい真由美の方に行ってしまう。
「芽衣ちゃん、目線はそっちじゃないよ」
「はっ、はい」
 柴田の声に、芽衣は戸惑いながらも注文に応えた。

「芽衣ちゃん、かわいいな。脚もきれいだし……」
「ほんと、芽衣ちゃんのレオタード姿なんて滅多に見れるもんじゃないもんナ」
 男子部員たちは、露出の多い芽衣のレオタード姿を見れるだけで満足していた。腰骨まで露出する超ハイレグの姿に見入っている。手の届かないグラビヤ・アイドルでなく、同じ学校の美少女のレオタード姿に、男子たちは歓喜した。それも、アイドルと言ってもいいほどの可憐な美少女・芽衣のハイレグ・レオタード姿なのだ。普段から、週刊誌の水着のグラビアアイドルの顔を、想像で芽衣に置き換えていたそのままの姿が目の前にある。男子部員たちは、一時も見逃すまいと芽衣に視線を送った。
「おい、胸のポツンとした膨らみ、乳首じゃないか?」
「俺もさっきから気になってるんだ、やっぱ、ビーチクだよな」
 男子部員たちは、いっそう鋭い視線を芽衣に送った。
「芽衣ちゃん、そのレオタード、自分で選んだの?」
 女子部員の川田が、芽衣に訊ねる。
「いえっ……」
 芽衣は、真由美が選んだと言おうと真由美の方を見る。真由美は、芽衣の次の言葉より早く、
「芽衣ちゃんが選んだのよね。似合ってるわ」
 そう言って、封筒の中の写真を取り出そうとした。
(だめっ、写真を出さないで……)
「はっ、はい……。私が……、選びました。このレオタード……」
 芽衣は、露出の高いレオタードを自分で選んだことを認めた。
「そう、芽衣ちゃんって、意外と大胆なのね、かわいい顔して……」
 女子部員たちは、いやらしい視線を芽衣に向けた。

 羨望の眼差しを向ける男子部員たちを快く思わない川田が柴田に提案する。
「ねえ、柴田君。動いてないとこばっかり写しても面白くないじゃない? 柔軟なんかしてるとこも撮らない? 私たちもレオタードだし……」
「そうだね、手伝ってくれる?」
「芽衣ちゃん、背中を伸ばす体操をしよう」
 川田は、芽衣と背中合わせになり、芽衣の両手を取り、背中に乗せた。上向きになった芽衣の胸が強調される。窮屈なレオタードは、背中を引き伸ばされたことにより、股間に食い込んでいく。背中に乗せられ、脚をだらりと垂らしたことにより、恥丘の盛り上がり強調された。股に食い込んだ薄い生地は、亀裂の形まで露わにする。
「うおぉ…、すげぇ……」
 男子部員たちが歓喜の声をあげた。
「きゃー、見ないで……」
 男子たちの視線を股間に感じた芽衣は、膝を折り股間を隠そうとする。その足首を岡本が握り、膝を伸ばした。
「芽衣ちゃん、膝、伸ばさなくちゃっ。柔軟にならないわよ」
 岡本は、芽衣の足首をぎゅっと引っ張る。それに合わせ、川田が、背中に乗せた芽衣の両手を引っ張る。芽衣の小さいレオタードは、身体を伸ばされたことにより、股間の縦裂に食い込んでいった。柔肌が、食い込み捩れた布地の両側に盛り上がる。
「スゲー……、もう少しでオマ○コ見えそう……」
 男子部員たちは大喜びで芽衣の股間に視線を送る。柴田は、芽衣の股間に向けたカメラのシャッターを切っていく。藤原は、ビデオに持ち替え、芽衣の表情から全身、股間へとレンズを向けた。
「だめっ、見ないで……。写さないで……」
「何いってんの。見られたくて、こんなレオタード着てるんでしょ。自分で選んだんでしょ」
 川田と岡本は、芽衣の身体をさらに伸ばすように引っ張った。
(ち、違うの……。好きでこのレオタード、着てるんじゃないの……、ああ、恥ずかしい……)
 芽衣は、自分がレオタードを選んだことを認めたことを悔やんだ。芽衣は、恥ずかしさに身体を熱くした。

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