緑色の復讐
百合ひろし:作

■ 第三話10

確かに体力勝負なら霞が希美に勝てる要素は無いし攻撃が完全に入っても希美を一撃で仕留める筋力は無いだろうが、以前「まともにやりあえばあたしでも一撃でやられる」と言ってた霞の事だから、一撃入れれば希美に認められると思ったのだろうか?遥は今の戦闘からそう考えた。
希美は戻って来ると、
「難しいでしょう」
と乳房を揺らさずに歩く事の難しさについて霞との戦闘等無かったかの様に聞いてきた。遥は、
「あ……はい。正直疲れました……」
と顔を上げると下側から見上げると、いつも通りの桜色でフロントには模様が入っている可愛らしいパンティ姿が目に入った。それを見て、あの面の下の顔は実は落ち着いた声とは全く違う可愛い顔なのでは、とかまだ見た事の無い顔を想像したりしてしまった───。
パンティから出てる太股は汗一つかいてないが、その間の、クロッチには濡れて染みがついていた。遥はさっきの格闘で希美が回し蹴りをした時、その染みが目に入ったが気のせいというか、近くから見た訳でもなく一瞬だったので何かの加減でそう見えたのかも知れないと思っていた。しかし近くで改めて見ると明らかに濡れていたので、希美は闘う事で快感を得るタイプなのだろうか、と思った。それで顔を赤くして視線をそらしていると希美は、
「……濡れてるのが気になるの?」
と聞いた。遥は恥ずかしそうに、
「あ、はい───だって……」
と言った。すると希美は、
「全てが気持ちいいからよ、自然な事だわ───」
とだけ答えた。

「……う…………っ」
霞が目を覚ましたのは日が暮れて夜の闇に覆われてからだった。小屋の中だったので、希美がここまで運んで来たのだろう。体を起こしてハンガー掛けを見ると服が掛っていて、机の上には桜色のブラジャーが置いてあった。それは希美はまだ帰っていない、ということだった。
希美の蹴りを受けた所がズキズキと痛み、肋が折れたのではないかと思えた。
「全っ然勝てない───!」
霞は悔しそうにそう呟いたが、悔しさはとりあえずそこに置いて小屋から外に出た。何とか痛みを堪えながらも桜流の歩きで音を立てずに歩いた。しかし希美は霞の気配を感じて霞の所に来た。そして、
「寝てなくて大丈夫?」
と聞いた。霞は、
「……もう大丈夫だよ。それより、九時回ってない?」
と聞き返した。希美は、
「恐らく回ってるわね。ただ、青山さんが一寸時間を下さい、って言って来てね……」
と答えた。それから風を確認した。霞は、
「何で?」
と聞いた。希美は一呼吸置いて、
「霞も大人になれば解る事よ」
とだけ答えた。


遥はいつも修行している河原の様な所から少し離れた草むらの少しだけ、丁度人間が一人か二人位寝転がる事が出来る場所で仰向けで空を眺めていた、とはいっても面を通して見た空なので、今空を覆っている天の川は見えず、山の陵線と空がギリギリで区別出来る程度だった。全身に浮いた汗に柔らかい風が当たりヒンヤリとして気持ち良かった。
立てていた左膝を動かした。その感覚が膣に伝った。しかし、遥はもう満足していたのでもう指を膣に入れている必要もクリトリスに当てがっている必要も何も無くなっていた。
指をゆっくりと抜いた。生暖かい液体が指だけでなく手の平、そしてパンティにたっぷりと染みていた分が手の甲にまとわりついた。
右手をパンティからも出し、腰を持ち上げて、左手でサイドから尻、そしてクロッチと指を伝わせて直したが、尻の所まで来た時点で既にグッショリと濡れていた。直し終わると腰を落とし、左手は下腹に置いた。人指し指が丁度リボンに掛った。
そして右手を目の前にやって眺めた───。指を覆うようにまとわりつく液体は外の空気に晒されて熱を失い冷えていった。
「堕ちちゃった……な」
遥は僅かな光を受けて輝く右手を見て自嘲気味に笑いを浮かべた。この日はブラジャーを外した時から恥ずかしさと火傷の痕を晒した屈辱と、そして心地好い風に撫でられる快感が入り混じる不思議な感覚だった。
師範の希美が霞を叩きのめしたのを見て、最初は霞を心配する気持ちだったが、その後修行の続きをやっていると、その時の希美の姿を小夜子を叩きのめす自分に重ね合わせる様に段々記憶が書き替わって行った。
そうしたらふつふつと沸き上がって来る"更に別の快感"を抑えきれなくなって来た。希美が濡れていたのもきっとそういうもので、自分が小夜子を叩きのめす時もきっと快感でパンティを濡らすのだろう───。今ある遥の姿はその結果だった。
右手をそのまま下ろし地面につき砂利を掴んだ。上半身を起こした。そして両足とも曲げて丁度三角座りから足を広げた様な格好になった。そして股間を見てみると、水を掛けた様に濡れていた。
遥は一回頷いた後立ち上がり、その時股間から足へ一滴伝わったが、その濡れ具合いに凄いなと思った。川の水で手を洗った。それから希美と霞の所に戻ったがそれからの事はあまり覚えていなかった。服を着て霞と一緒に山道を歩き、初老の男性が待つ車に乗った後は泥の様に寝てしまった。その位疲れていたからだった───。

■つづき

■目次

■メニュー

■作者別


おすすめの100冊