緑色の復讐
百合ひろし:作

■ 第四話1

一年半余り過ぎて五月───。留年した者を除けば青山遥の同級生は三年生になっていた。
「真由羅、中村を呼び出しなさい。場所は保健室よ」
斉藤真由羅は同級生であり、この高校だけでなく市内の同級生までをも牛耳る女王様───新潟小夜子に命令を受けた。真由羅は、
「はい……」
と返事をしたが、その顔には生気が無く、命令通り動くロボットの様だった。しかし真由羅はそれで良かった。
真由羅はかつて小夜子のグループに凄惨ないじめを受け、その影響で心が半分壊れてしまった。小夜子の下にいれば守られる為に小夜子の忠実な下部として働いていた。
遥との出会いで遥に火傷を負わせた時に涙を見せる等して一部心を取り戻しかけた部分はあったが、もうそれは過去の話───。遥と友達になれなかった事が逆にトラウマになり完全に心を閉ざしてしまい、今はもう誰を傷つけても何も感じなくなってしまっていた。

真由羅は命令通りに中村和歌子の所へ行き、小夜子の命令を伝えた。和歌子は諦めた様な表情を見せて席から立ち上がり、真由羅についていった。
中村和歌子は遥とは違い、小夜子に関わった訳では無かった。本人にとってはある日突然ターゲットになった様なものだった。

小夜子にとってターゲットは誰でも良かったのだが、三年生になってクラス替えした時に目についたツインテールが気に入らなかった。
ツインテールは下部となったいた真由羅の髪型だったのと、自分より背が高く、自分と同じ様にやや勝ち気に見えるかわいい顔が気に入らなかったので、言い掛かりを付けてそれ以降いじめを繰り返していた。
「最後には髪を半分焼いてやろうかしら───」
小夜子は時々そう呟いていた。髪なら焼いても証拠は残らない。本人も焼かれた髪は見られたく無いだろうからその後短く切ってしまう、といった具合いだった。

保健室に着くと小夜子達グループが待っていた。そして真由羅は和歌子を突き飛ばし、和歌子はグループの円の中央で這いつくばった。
「分かってるわね?制服脱ぎなさいよ」
小夜子は和歌子に言った。和歌子は何時もの事なので、仕方なく脱ぎ、薄い空色の上下セットの下着姿になった。床に散らばった制服を真由羅は拾い集め、丁寧に畳んで机の上に置いた。それが逆に恥辱を受けた気持ちになる───。
「センスあって可愛いじゃない。好きよそういうの」
小夜子は和歌子の下着姿をぐるっと一周観察して言った。和歌子は唇を噛んで下を向いていた。
次に、グループのメンバーに指示をして和歌子を無理矢理ベッドの上にうつ伏せにさせた。それから膝を立たせて尻を突き出す姿勢にさせた。
「フフッ……天国に連れて行ってあげるわ」
小夜子はそう言ってハーフバックのパンティを穿いている和歌子の尻をピシャッと叩いた。それからは一歩下がり隣のベッドに腰掛けて、そこから指示をするだけだった。
「う……くっ……」
和歌子は顔を枕に埋め両手で枕を掴み苦しそうに声を出した。ツインテールの髪がだらしなく左右に放り出されていた。小夜子はその姿を見て、
「きちんと顔は枕に埋めてないと顔が今日から一週間は痛いわよ。多少息が詰まっても我慢した方がいいわ───フフフ」
と言った。その言葉の意味は和歌子本人は勿論、真由羅もグループの他のメンバーもわからなかったが、直ぐに理解することになった。
「確か貴方───それだけ可愛い顔してて柔道か何かやってるのよねぇ?」
偏見もいい所である。そして、副リーダーに和歌子の太股を軽く叩く様に指示をした。痛くない程度に、である。痛みを与えるのが目的ではなく恥辱を与えるのが目的であり、下手に痛みを与えたりしたらこれから先に支障が出て面白く無くなってしまうからだった。副リーダーは小夜子のやろうとしている意味が解らなかったが、小夜子は更に副リーダーに靴下を脱がせる様に言った。
「一体何を───?」
副リーダーは疑問に思いながらも和歌子の靴下を右、左と脱がせてベッドの脇に置いた。それを真由羅は回収してきちんとまとめてから和歌子の制服の横に置いた。
小夜子は真由羅が自分の隣に戻って来たのを確認した後、もう一度副リーダーに和歌子の太股を軽く叩く様に指示した後、
「中村さん───膝伸ばして尻を高く上げなさいな。あと足は開いた方が楽よ」
と言い、口に手を当ててクスクスと笑った。和歌子は言う事を聞くしか無かった。今保健室には自分の他には小夜子とそのグループが十五人もいるのである。逆らう事は出来なかった。
「う……ぐっ……」
両手の支えが有るにしても上半身の重量が首と顔に掛って枕に押し付けられた。和歌子は苦し気に声を上げながらも足を開いて膝を伸ばし、尻を突き出した。それを見て小夜子は、
「人間テントね……真上から見たら綺麗な三角よ」
と言った。小夜子の言う通り、和歌子は上から見ると尻を頂点として一辺を上半身と頭、残りの二辺を両足で支える綺麗な三角形になっていた。
「このままじゃ中村さんは苦しいだろうから気持良くしてやりなさい」
小夜子はそう指示した。そういう指示ならやる事は決まっていた。尻を突き出し足を開いているので後ろ側に対して股間は無防備───どうぞ好きなだけ攻めて下さい、といった感じだった。

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