桃香
木漏れ日:作

■ 23

「はぁはぁはぁ……。」
桃香の息が荒い。
「桃、席変わろうか?」
「うん…。」
桃香はのろのろと立ち上がる。
見ると太股まで濡れている。

元の席に戻った桃香に言った。
「イった?」
「うん…。」
どうやら軽くイったようだ。
「濡れてて気持ち悪くないか?」
「すこし……。」

私はハンカチで桃香の股間と太股を拭った。
「あん…。」
桃香が声を漏らす。
スカートの裏にべっとり粘液がついている。
「こりゃ駄目だ! 取替えないと…。」
「え? ここで?」

桃香が驚いた顔をする。
「イヤか?」
「ううん…。」
そう言った桃香の顔が赤い。
「いいんだな?」
「うん…。」

私はカバンの中から桃香のスカートを出した。
「桃は子供だよな?」
「うん…。」
桃香は不安気に小さな声で返事を返した。
「じゃあタオルで隠さなくていいよな?」
「でも…。」

「でも? なんだ?」
「恥ずかしい……。」
小さな声でそう言った。
「桃、好きなんじゃなかったっけ?」
「そう、だけど…。」
桃香は下を向いた。

私は突き放すように言った。
「じゃあやめた!」
「え…やめるの?」
「嫌なんだろ?」
「イヤじゃないけど…。」
私はイライラしたように、

「どうするんだ?」
と聞いた。
「着替える……。」
桃香は小さな声でそう答える。
「いいんだな?」
「はい…。」

私は服を桃香に渡した。
桃香は回りを不安そうに見回した。
私達の席は4人掛けの席だった。
平日のせいか人の数は少なく回りには誰も居ない。
「車内販売が来ちゃうぞ…。」

桃香がビクっと動いた。
のろのろと服に手を掛ける。
そしてゆっくり脱いだ。
私は素早くカメラに収める。
桃香は着終わった。
瞳に涙が滲んでいた。

「俺を恨んでる?」
「ううん…。」
桃香は言って微笑んだ。
車内にアナウンスが響いた。
私と桃香の下りる駅だ。
私と桃香は下車の用意をすると出口に向かう。

ホームに立つと、風が違った。
私達は駅の外に出た。
一人の女が近づいてきた。
「〇〇さんですよね?」
「そうですが?」
「お待ちしていました……。」

「〇〇さんから依頼された者です…。」
「ああ、どうも…。」
女は私達を車に案内した。
「お乗り下さい…。」
車は静かに走りだした。
女は口を開かない。

30分程走ると建物が見えてきた。
女は一度車を降りた。
私に二つ鍵を渡す。
「こちらが車の鍵でもう一つはお部屋のです」
「どうも…。」
「あさっての朝お迎えにまいります…。」

そう言い女は去って行った。
門を入ると鬱蒼と樹木が生い茂っていた。
ここは桃香の母の伝で借りた。
詳しい事は聞かされていない。
ただ、
「素っ裸で過ごせる」所だとか。

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