桃香
木漏れ日:作

■ 24

私達は建物に近づいた。
ガレージには白い車が停まっていた。
建物の扉に鍵を差し込んだ。
扉を開けて中に入る。
内部はかなり広い。
一階にはキッチン、居間、バス、トイレ、など。

二階は寝室など。
「すごい…。」
桃香がため息をついた。
「ねぇ…。」
「ん?」
「脱いでもいい?」

「ああ、そうだな……。」
桃香は服を脱いだ。
裸のまま外に出る。
暫くすると、
「ねぇ! ちょっと来て!」
と呼んだ。

私も外に出る。
「ほら、あれ!」
桃香の指差す方を見るとプールがあった。
長さは25m。
本格的なものだ。
傍らに小屋がある。

見てみるとシャワールームと機械室だった。
良く手入れが行き届いている。
すぐに使えそうだ。
机の引き出しを開けると説明書が出てきた。
読んでみると温水プールにもなることが分かった。
私は桃香に、

「ここ泳げるぞ!」
と言った。
桃香の顔が輝いた。
「わーい、やった!」
私達は部屋に戻った。
「お腹空いたね…。」

桃香が言う。
そう言えば昼を食べていない。
腹が減るのも当然だ。
「桃、そこらを探検しながら飯行こう!」
「うん!」
私達は車でそこを出た。

別荘を左折してやや広い道路に出る。
人家はほとんどない。
あたりは鬱蒼とした森林だ。
一応服は持ってきた。
しかし桃香はハダカのままだ。
「これなら散歩できるかも…。」

そう桃香が言った。
私もそう思った。
もちろんハダカで。
誰にも会わなかった。
街に着いた。
人影は疎らだ。

車を駐車場に停める。
桃香に服を着せた。
ミニのワンピース。
色は淡いグリーン。
大型のショッピングセンターがある。
その前に食事だ。

ショッピングセンターの最上階にレスランがあった。
そこに入った。
窓際の席に座る。
眺めは素晴らしい。
桃香が、
「ここなら誰も見てないよね…。」
「高いからな……。」

桃香は窓に向かって立ちスカートを捲くった。
「こら!」
「えへへ……。」
桃香は嬉しそうに笑う。
食事が済んで中をぶらぶら歩く。
「ねぇ…。」

「ん?」
「夕飯作ってあげる…。」
「出来んの?」
桃香が言った。
「あ、ばかにした…。」
その目は怒っていなかった。

早速食品売り場に移動する。
何かメニューを決めてあるらしく迷わず買っていく。
「帰ろ!」
桃香がそう声を掛けてきた。
車に戻る。

別荘に着くとシャワーを浴びた。
私は居間に寝転んで雑誌を読んでいた。
桃香は台所に入ったままだ。
雑誌に飽きて台所に行くと、
「あ、何かのむ?」
と聞いてきた。

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