夢魔
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■ 第21章 暗躍7
佐山は沙希に洋服を着させると、枕元に有るボタンを押した。
すると、館にブザーが鳴り響く。
ブザーが鳴ると佐山の自室の扉が開き、次々と美女達が集まり始める。
総勢24人の美女達が、佐山の座るベッドの周りに集まると、佐山が口を開く。
「沙希ちゃん。この人形達は、全部小父さんの玩具だ。沙希ちゃんには、この玩具で遊ぶ権利を上げよう。鞭で打とうが、殴ろうが、何をしようと構わない」
沙希にそう告げると、使用人達に向かい
「眠れ」
静かに、告げる。
使用人達は、一人残らず目を閉じ、ユラユラと揺れ始める。
催眠状態に落ちた使用人達に
「沙希の言葉は、俺の言葉だ。俺が言った言葉と、同じ効果をお前達に与える」
佐山は告げた。
使用人達はコクリと頷き佐山の暗示を受け入れ、脳に焼き付ける。
佐山は沙希に向き直ると
「これで、こいつ達は沙希ちゃんの言う事は、何でも聞く人形に成った。いつでも遊びに来て、気持ち良く成りなさい」
この指示の意味を教えた。
沙希はコクンと頷く。 頷く沙希を見て、佐山はニヤリと笑う。
(そうだ。何度も、何度も今の状態を経験すれば、俺の催眠はどんどん強く成る。そうすれば、こいつも直ぐに俺の玩具だ。決して逃げられない)
一連の沙希に対する処置は、佐山の陥計だった。
全ては、沙希自ら催眠を強め、自分にかしづくようにする為の布石だったのだ。
沙希は何も知らず、佐山の懐に取り込まれようとしていた。
佐山は指を鳴らし、使用人達の催眠状態を解くと、解散を命じる。
使用人達は、命じられたとおり、持ち場に戻った。
佐山の自室で家具をしていた者達も、同じ位置で同じポーズを取り、動きを止める。
ただ一人明日香だけが、床の清掃を終え平伏し、指示を待っていた。
「腹が立ったり、嫌な事が有ったら、いつでも、あれに電話しなさい。直ぐに迎えに行かせるから」
佐山は明日香を顎で示し、沙希に告げた。
沙希は呆然とした表情のまま、コクンと頷く。
佐山は沙希を自分の方に向かせると、最後の仕上げに掛かる。
沙希を再び、深い催眠状態に導くと暗示を掛け始める。
「良いかい…。柳井稔はとても頭が良い…、だから沙希ちゃんが小父さんの事を話したり、連絡を取ったりすると直ぐに邪魔をしようとする。沙希ちゃんは小父さんと会えなく成るのは、嫌だろ…」
佐山の言葉に沙希は、ゆっくり顎を引き頷いた。
「だから、普段は小父さんの事を忘れてしまうんだ。小父さんの事を思い出すのは、そうだなトイレの個室に入った時と、周りに一切人影が無い時だけにしょう。そうして、小父さんを思い出したら連絡をして、報告するんだ。留守番電話に繋がっても、メッセージを残すんだよ…ちゃんと小父さんが聞いて上げるから」
佐山は沙希に健忘催眠を掛け、条件付けを与える。
「この屋敷で有った事も、この屋敷以外では、決して思い出さない。そうすれば、誰に話す事も無い。誰にも話さなければ、誰にも邪魔され無い」
佐山はニヤリと笑い、沙希を見詰める。
沙希は意志の無い、人形のように頷いた。
「勿論、明日香は別だよ…、こいつは友人として覚えて置けば良い。そうして、呼び出して使えば良いんだ。こいつ達は沙希ちゃんには、一切逆らわない」
佐山は優しく、沙希の耳元に囁く。
その囁きは、まるで甘い毒のように、沙希の脳をとろけさせて行く。
佐山は沙希の催眠を解いた。
沙希は、キョトンとした表情で、目を覚ます。
ゆっくり首を巡らせ、部屋の中を見渡す。
人が家具に成る、異様な部屋。
沙希はその部屋の中で、薄く笑うと佐山に向き直り
「佐山の小父さま。マメに電話するね」
佐山の首にしがみつき、頬にキスしながら言った。
佐山はその反応を見て、ニヤリと笑い
「もう、帰るのかい? もう少し、明日香と遊んで行かないか?」
沙希に鞭を差し出し、問い掛ける。
沙希はその鞭を見詰め、驚いた表情を浮かべる。
佐山は一瞬ギクリとして
(掛かりが、甘かったか)
ヒヤリとした。
だが、沙希の次の言動で胸をなで下ろし、笑いが込み上げる。
「遊んで上げても良いけど、小父さまちゃんと責任取ってね…」
頬を染め、佐山にすり寄った。
佐山は頷きながら、沙希に鞭を手渡す。
鞭を受け取った沙希は、クルリと明日香に向き直り、平伏する明日香の頭を鞭の先でペシペシと叩いた。
明日香が顔を上げると、沙希は驚いた表情を浮かべる。
「あらあら、凄い事に成っちゃてるね。私ちょっと遣り過ぎちゃったね」
沙希の感想は、正直な物だった。
明日香の身体には、全身にミミズ腫れが走り、血が滲んで所々裂けている。
そして、最も酷い傷は顔面に大きく走る、クロスした傷だった。
明日香は沙希を正面から見ているが、その目は恐怖に濁っている。
沙希は明日香の前にしゃがみ込むと、大きく舌を伸ばし、こそぐように舐め上げた。
「明日香さん。まだ、鞭を受けたい?」
沙希は明日香に、微笑みながら問い掛ける。
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