夢魔
MIN:作

■ 第22章 教師12

 狂は切れた携帯電話を見つめ、机の上に置くと
(あ〜あ…何でみんな、こんなに意固地なのかねぇ〜…。美香達を他人に任せるのが嫌なら、そう言や〜良いのに…。その点俺は素直だぜ、こいつを絶対人に預けるなんて、しねぇもん…)
 一生懸命奉仕する絵美を見下ろす。
 一心にフェラチオをする絵美が、愛おしくて堪らなくなった狂は、スッと目を閉じる。
 数秒後目を開けた表情は、純に変わっていた。
 純はフェラチオをする絵美の頬に、ソッと手を添え
「おはよう絵美ちゃん…」
 顔を持ち上げ、ニッコリと微笑み口吻した。

 絵美はキョトンとした顔で、純の口づけを受けると、純に抱きつき
「純君…純君? 純く〜ん!」
 何度も純の名前を呼び、身体を擦りつける。
「え、絵美ちゃん…ちょ、ちょっと、待って…うわ〜っ」
 純は絵美に抱きつかれ、擦り寄られてバランスを崩し、床に転げ落ちる。
 絵美は純の身体の上に、馬乗りになりながら
「えへへへ…純君だ〜」
 その身体に、頬擦りしながら満足そうに笑っていた。
 この後、絵美は愛する恋人の胸で、思う存分官能を満足させる。
 絵美の夜はこうして、甘く更けていった。

 夜が明け、太陽が真上に昇る少し前、学校の正門に5台のワンボックスが次々と横付けされる。
 そのワンボックスの窓にはスモークが貼られ、中からも周りの景色が見えないようにされていた。
 先頭車両に乗った稔が、合図をすると5台全てのスライド扉が開く。
 扉が開くと、正門前で荷物を持って待っていた13人の教師達が、予め指定された車に乗り込んで行く。
 学校自体はまだ授業中だったため、生徒達にこの集団が目撃される事は無かったが、皆キョロキョロと辺りを警戒しながら、それぞれの車に乗り込んだ。
 13人が乗り込むと、正門にポツリと教頭1人が立ち、肩を落として恨めしそうな視線を向けている。
「さぁ、行きましょう…」
 稔が運転手に告げると、先頭の車が走り出し、次々に他の車も後を追って発車する。
 教頭は学校の外に立ち、いつまでも恨めしそうな顔を向けて、見送った。

 車は何事も無く都内に入り、目的地のビルに向かう。
 そのビルの地下駐車場に、次々とワンボックスが入り、最も奥まで進んだ。
 車が止まりスライドドアが開くと、教師達が降りてくる。
 その顔には、一様に不安が拡がっていた。
 何故なら教師達には、ここが何処なのか、全く解って居なかったのだ。
「済みません、保安上の問題でここに入る方は、会員以外全て情報を遮断するように成って居るんです。当然、携帯電話も通じませんので、外部とも連絡取れません」
 稔がにこやかに話すと、教師達は更に顔を強張らせる。
 ようやく、自分達の置かれた状況が、ただ事では無いと理解できた様だった。

 稔が踵を返し、前に進み始めると黒服を着た、黒人とメキシコ系の大柄な男達が音も無く現れる。
 稔がポケットから財布を抜き取りカードを取り出すと、同じく黒服を着た美しい女性が現れ、恭しくカードを受け取りリーダーに通す。
「柳井様ですね…。失礼いたします」
 カードのデーターを確認した女性は、そのまま一歩前に進むと、稔の顔にその機械を翳す。
 稔の眼球を走査線が走り、網膜をスキャニングする。
「ご本人確認取れました。ようこそいらっしゃいました」
 女性は一歩後ろに下がって、深々とお辞儀をした。

 稔は後ろを振り返り
「さぁ、行きましょう…」
 教師達に声を掛ける。
 だが、教師達は困惑していた。
 稔が示すその先は、壁しかない、行き止まりだった。
 女性が頭を上げると、黒服の男達がいつの間にか消えており、女性が手を壁に差し出すと、壁がスライドして入口が現れる。
 その大仰さに、教師達は開いた口が塞がらなかった。
 稔は教師達に背を向けると、スタスタと歩き始める。
 教師達は、歩き出した稔の後ろを、慌てて追い掛けていった。

 真っ白い壁に囲まれ、踝まで埋まりそうな、真っ赤な絨毯が敷き詰めてある通路を進むと、重厚な木製の両開き戸が現れる。
 黒服を着た女性が、扉の横に付いたセンサーに手を翳すと、その扉が重々しく奥へ開く。
 扉が開くと、そこには30人程の女性が、あられもない衣装を身に着け、平伏していた。
 その中で唯一赤いドレスを着た女性が、艶然と微笑み立っている。
「稔ちゃ〜ん、いらっしゃ〜い。待ってたわよ〜」
 その女性は、しなを作りながら稔の元に進み、胸に飛び込もうとする。
「キサラさん…それは、良いです」
 稔がキサラの前に手を差し出して、抱擁を止める。

 キサラは膨れっ面を作り、地団駄を踏んで
「んもうっ! けちんぼ! 本当につれないのね」
 稔に文句を言った。
「そんな事より、この方達がサディストコースの生徒達です。宜しくご教授お願いしますね」
 稔はキサラの不満を完全に無視し、さっさと教師達を紹介した。
 キサラは無視された怒りをぶつけるように、教師達を一瞥する。
 その目の迫力に、13人全員がたじろいで、竦み上がる。
「彼女は、この館の主人キサラさんです。僕の知る中で、最高の女王様です」
 稔が教師達に、キサラを紹介すると、キサラは身体を震わせ喜び
「嬉しい〜! 誰に言われるより、稔ちゃんに言われるのが、一番嬉しいわ! よ〜っし、ビシビシしごいて上げる! ここを出る時は、死体か調教師よ! それ位の覚悟をしなさいね!」
 教師達を睨め付け、震え上がらせた。
 13人の教師達は、こうして一週間地獄を見る。
 校長と指導主任は、一週間[儂は、違うんだ〜]と叫び続けた。

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