夢魔
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■ 第23章 絶頂19

 稔は金田に命令を告げると、後を任せてサッサと帰ってしまった。
 ポツリと残された金田に、美香と美紀が平伏し、金田に向かってリードを差し出している。
 だが、魂を飛ばしてしまった金田には、その姿が見えていなかった。
「旦那様…美香と美紀をご覧下さい…」
 梓が堪りかねて、金田に促すと、金田は慌てて視線を2人に向ける。
 2人は平伏した顔を蒼白に染め、小刻みにお尻が震えていた。
 稔が居る時は、絶対に見せまいとしていたが、実際限界はとうに過ぎていたのだ。
 金田は慌てて立ち上がると、2人のリードを持つ。
 すると、2人はスッと高足の四つん這いになり、前を向いた。

 梓が素早く2人の前に、スチールの餌皿を差し出すと、2人はそれを咥え金田の側に進んだ。
(な、何だこのスチールの餌皿は…まさか…)
 金田が疑念を抱きながらも、2人を引いて歩き出す。
 2人はそのまま金田の後に付き従い、リビングを出て行った。
 金田は廊下に出て、トイレと書いて有る扉の前で止まると、2人は切なそうな顔でフルフルと首を横に振る。
(ここじゃないのか? しかし、トイレと書いてるぞ…。まさか、いや…この子達なら有り得る…)
 金田は直ぐに理解し、足を奥に向けた。
 数歩歩くと、洗濯機とその向かい側に、バスルームの扉が見え、金田はそこに入る。
 2人の少女は大人しく、金田の後に続いた。
(やっぱりか…ここが、この子達のトイレなんだ…)
 金田はいたたまれないような顔をして、風呂場の扉を開く。

 美香と美紀は風呂場に入ると、床に餌皿を起き、その上にお尻を置いて、位置を測ると真っ直ぐ上にお尻を持ち上げ、フルフルと振り始めた。
(これは、許可を待っているのか…。何処まで徹底して居るんだ…この子達は…)
 金田が呆然と見つめて居ると
「旦那様…もう限界を超えています。ご指示を…」
 金田の耳元に、梓が囁いた。
 金田は我に返り、美香と美紀に
「出しても良いぞ」
 指示を出すと、2人のお尻はピタリと止まり、一斉に排便した。

 ピューと薬液が放物線を描き床を汚すと、ボトボトと固形物が、餌皿の上に落ち始める。
 バスルームに異臭が立ちこめ、排便が続いた。
 2人の美少女は、身体を起こし揺さ振って、薬液を体外に出し終える。
 餌皿の上には、こんもりと3日分の排泄物が、堪っていた。
 少女達は身体を反転させ、顔をその餌皿に近づけ、口に咥えようとする。
 その時、金田の声が少女達の行動を止めた。
「止めなさい! それは、間違ってる。君達は、それを稔様に見せた事が有るか?」
 金田の甲高い声が、美香と美紀の上に降り注ぐ。
 2人は動きを止めて、顔を上げお互い見つめ合って、金田に視線を戻すとフルフルと横に首を振った。

 金田は真剣な表情で美香と美紀を見つめ、首をユックリ左右に振ると
「君達の主人は誰だ? あの稔様だろ? 稔様が君達を必要以上に穢すと思うか? 犬のような忠誠も良いだろうが、犬に成ってしまえば、それだけ、あの方から遠ざかる。俺には、解る。梓を責めたからだ、梓に奉仕されたからだ。梓の反応は、決して獣のそれではないし、梓の奉仕は汚辱にまみれては居ない! 汚辱にまみれた生活をすれば、それが日常に成る、そうなれば奉仕の時に、その下品さが出てしまう」
 金田は強い口調で言いきって、2人をジッと見つめる。
 美香と美紀はジッと押し黙って、金田の顔を見つめていた。
「そんな下品さが…稔様に合うと思うか? 稔様が望むと思うか? 俺は思わない、断言出来る! 何故なら、稔様が大切にされている梓を預かって居るからだ、梓を見ているからだ。梓には、そんな下品さは微塵も無い。出来る事と、慣れる事は違うんだ…。君達はこんな事をやりつづけては駄目だ…、もっと、稔様にそぐった行動を取るべきだ…」
 金田は優しく微笑み、2人の餌皿に手を伸ばし、持ち上げると浴室を出て行った。

 美香と美紀は真剣な表情で、金田の出て行った扉を見つめ、梓は呆然とした表情で、扉を見つめていた。
「ママ…あの方は…何…?」
 美香が梓にポツリと問い掛ける。
「ママ…私達…間違えてるの…」
 美紀が梓にポツリと問い掛ける。
「あの方は…稔様の信望者…。そして、サディストでマゾヒスト…多分あの方の言う事は、的を得ている。貴女達は、道を間違えかけたのかも…私も今のような生活はしたけど…あの方の言うとおり、日常にした事は無かった…」
 梓が呆然と言葉を紡いだ。
(あの方は、サディストとマゾヒストのバランスが取れてるんだわ…きっと…。それで、このタイミングで、2人の管理を任せた…。稔様なら有り得る…恐らく、こうなる事が解ってたんだわ…。だって、今日の対応が凄く早かったもの…フフフッ…)
 梓は1人心の中で微笑み、稔という人間の考えの深さを再認識した。

 金田はトイレに便を流し、餌皿を綺麗に洗って戻って来た。
「う、うむ…。少し強く言い過ぎた…すみません…」
 金田は入って来るなり、美香と美紀に謝罪した。
 美香と美紀はその変わりようにも、驚いたが、その素直さに一番驚いた。
(え、普通こんな大人の人って、私達みたいな子供には、絶対に頭を下げないのに…)
(あはっ、この小父さん素直で可愛い…。でも、悪く無いのに謝るって、凄いかも…)
 美香と美紀は目を丸くして、金田の謝罪を受け取った。
(もう、旦那様…甘いんだから…。でも、そこも可愛いのよね…)
 梓は眼を細めて、金田を見つめている。

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