夢魔
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■ 第24章 実験10

 春菜はニンマリ笑うと、思いっきり振り抜き、自分の身体に打ち付けた。
 バシーンといい音が鳴り、春菜の身体にタオルが巻き付く。
「あは〜ん…ああぁ〜ん…。これ良い〜…もっと〜…」
 春菜は身体をくねらせ、何度も身体を濡れタオルで打ち付ける。
 見る見る春菜の身体は赤く染まり、所々薄く内出血をさせる程、打ち付けた。
 だが、その打擲も感覚が慣れてくると、飽きてきたのか手からタオルをうち捨て、また両手でオナニーを始める。

 春菜は場所を湯船に変え、ザブリとお湯に浸かりながら、嬌声を上げオナニーに耽る。
「あふ〜ん…きもちいい…きもちいいの〜…。オ○ンコも、オッパイもきもちいいの〜…。でも…まだ…まだなの〜…うふふふっ…。もっと…きもちよくなりたいの…」
 湯船に浸かりながら、春菜は誰に言うでも無く、真っ赤な顔で悪戯っぽく笑いながら、視線を宙に漂わせ、ソロソロとアナルに指を伸ばす。
 春菜は人差し指をアナルに押し当てると、グイッと力を入れて飲み込ませる。
「あふぅ〜…ふ〜…。あはぁ〜…なんだ…簡単に…入る〜…」
 春菜はニヤニヤ、いやらしい笑いを浮かべると、中指をアナルに添えズリズリと押し込む。
「くふぅ、くふぅ、くふぅ〜…い、いや〜ん…。指…2本…ふつうに…はいちゃった〜…」
 春菜は嬉しそうな、ウットリとした表情で独り言を言いながら、アナルに指を突き立てる。

 春菜はアナルに突き立てた2本の指を、グニグニと蠢かすと、その甘い感覚に痺れ始めあっと言う間に、虜になってしまう。
「あはぁん、ふん、はぁ、はあぁ〜ん…なんか…きもちいい…いやん…おしり…いいの…。ウンコ…するところ…きもちいいの〜…。春菜…春菜…ここ、すき〜〜〜っ…あはぁ〜〜〜ん…」
 湯船の中でふやけた状態とは言え、初めてアナルに2本の指を突き入れ感じるままに、オナニーをする春菜。
 春菜は強く、甘く拡がる感覚に、乳房に添えた左手をアナルに添え、右手の2本に加え、左手の人差し指も差し込み、激しく出し入れさせる。

 アナルは限界まで拡げられ、2本の手が抽出する不規則な動きのため、湯船には、指で突かれ崩された便が浮き上がっている。
 湯船のお湯を薄く茶色に染め、春菜は夢中でアナルオナニーを繰り返し、何度も何度も絶頂を迎えた。
 十何度目かの絶頂を迎えた春菜は、とうとうアナルから1週間溜まっていた、糞便を湯船に放出し、盛大に果てて湯船に沈んで行った。
 何度も迎えた絶頂のため、その湯船のお湯の中には、大量の愛液も失禁した小便も混ざっている。
 春菜は、そんな自分のあらゆる体液を放出した湯船に、快感の中沈んで行った。

 数秒経ち糞尿が混じった湯船の中で、溺死しかけた春菜は、大きく息を吐いて覚醒する。
 汚物の混ざったお湯を、大量に飲み込んだせいで、春菜は激しく咳き込み、飲んだ物を口から吐きだす。
 喉の奥に詰まっていた、固形物がようやく口から溢れ、湯船に落ちた。
 喉に詰まっていた物は、自分の硬便だった。
 口の中いっぱいに拡がる臭いと、苦みの残る舌を差し出し、ゼーゼーと激しい息を繰り返す。
 春菜は危うく溺死仕掛けた自分が、ゾクゾクと鳥肌を立たせていることに気付き、身体を抱き締めそれを受け止める。
 春菜は死の寸前の苦痛さえも、快感に変えてしまったのだ。

 春菜は自分の姿が映る、鏡に目を止めそれを覗き込む。
 春菜の身体には、所々便が絡み、茶色い色を身体に付け、髪の毛にはいくつもの小さな、兎の糞のような物が絡みついている。
 その姿を見た春菜は、ウットリとした表情で、鏡を見ながら一つ一つ潰して、髪の毛に擦りつける。
「あはぁ〜…きたならしい…わたしに…ふさわしい…。どんなことでもする〜…どんなことでもしたい〜…。だれか〜おかして〜…むちゃくちゃに…して〜〜〜っ…」
 鏡の中に映る自分に向かって、媚びへつらった笑いを浮かべながら、話し掛ける。
 湯船のお湯は、もう完全にぬるくなり、時間は11時を回っていた。
 春菜の瞳から、ツーッと一筋の涙が流れる。

 それは、春菜の理性の唯一の抵抗だったのかも知れない。
 しかし、如何に己が禁忌を完全に麻痺させられ、只快楽を貪るためだけの、薬を飲んだ事が原因でも、自分の中にその願望が有った事は、誰よりも春菜本人が知っている。
 そしてこの薬は、どれだけ性感を貪ぶらせようとも、理性はガラスの殻に綴じ込められた状態で、ジッとその様を記憶する。
 この薬は性感を自分の欲望のままに爆発させ、その自分の乱れる様を、理性有る自分に見せ付けるそんな薬なのだ。
 誰に命令される訳でも無く、自分の願望を、自分の深淵に有る本質を、良識の中で仮面を被り、追いやっていた本人自体に見せ付け、自覚させる薬なのであった。

 春菜は快感を満たし、夢見心地で浴槽から上がろうとしたが、春菜の体力と精神力は限界を迎え立ち上がる事が出来ず、浴槽の縁に上体を預け突っ伏してしまう。
 春菜はそのまま、全てを忘れ快楽の安心の中、寝入ってしまう
 快楽のままに自分の身体を、苛み、陥れ、辱める。
 それらを自らの意志で行い、自らが強く感じてしまう。
 薬が切れ意識が覚醒した時、理性が主権を取り戻した時、その行為は強く強く自分の心を苛んで行く。

 春菜の理性は知っている、自分が行った事を。
 春菜の理性は知っていた、自分が何を求めていたかを。
 春菜の理性は知りたく無かった、自分が変態だと。
 だが、春菜の理性は知ってしまった。
 それが、自分の本質だと。
 春菜は自分の理性が主導を握り本質を認める時、考えなければならない。
 自分がどう生きるかを。

 平穏な日常。
 常識的な、快楽。
 それは、凡庸だが安寧である。
 しかし、春菜は不安に負け、用法以上の薬を飲む事で、それを生涯手放してしまった。
 薬を飲まず、不安と戦っていれば、常識の檻の中で、安寧で平穏な快楽に浸っていられた。
 だが、春菜は自我を解放して、本質の快感を得てしまった。
 弥生にあれだけ注意を与えられながら、自分で選んでそれを知ってしまった。
 春菜はもう、決して離れられない。
 本質の快感程、人を酔わせる物は無いのだ。

 本来公平な状態で立つ、本質か凡庸かを自分の魂に問う、場所がある。
 春菜にはその選択の場所は、無意味に成ってしまった。
 どれ程、人の意志が強かろうと、目の前に置かれた甘美な果実に、手を伸ばさずに居れる人間はいない。
 ましてや、稔に選ばれたマゾヒストが、本質の快楽に触れ、凡庸な道を選ぶ事など出来る筈も無かった。
 春菜は決まった道に足を踏み出し、屈辱と矜持の中で自分の位置を選ぶ。
 被虐の快感に目覚めた、春菜に残された選択は、唯一それだけだった。
 加虐者達の屈辱に満ちた慰み者か、矜持で選ぶ迷える子羊たちの教材か、春菜はこの数日後、自らの意志で選ばなければ成らなかった。

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