夢魔
MIN:作

■ 第25章 胎動11

 旧生徒会室には、稔と狂と絵美が控えていた。
 ディスプレィをジッと見つめ、それぞれの脳波をモニターする。
「やん、これ早くて、わかんない…。え〜ん…この、この、この〜…」
 絵美がソフトを操作しながら、文句を言っていた。
「おい、マニュアルじゃ追いつかねぇだろ…、オートを使え…。ほら、そこをクリックしろ…」
 狂が絵美に指示を出すと、途端に絵美のディスプレィに拡がっていた、ウインドウの動きが落ち着く。
「お〜…凄い、凄い〜。ご主人様もっと早く教えて下さいよ〜」
 絵美がニコニコと笑いながら、狂に話し掛けると
「お前な、書いて有るだろ[AUTO]て…。読めよ…」
 狂が呆れながら絵美に言った。

 稔は無言でひたすら、プログラムを操作していたが
「好い加減に集中しませんか? 遊びじゃないんですよ…」
 冷たく低い声で、2人に告げる。
(やべ、稔の奴、本気で怒り出した…)
 狂が首を竦めて、人差し指を立て、絵美にディスプレィを見ろと、合図した。
 絵美も狂の仕草に、顔を引きつらせディスプレィに向かい、ソフトを操作する。
 脳の3D映像が画面に無数に現れ、3人は黙々と、操作を続けた。

 暫くすると、稔の口から
「良し、全員安定しました…。後は、狂は音響を操作して指示と意識の方向を、絵美さんは脳波のコントロールをして下さい。僕は、何番を操作するか、指示を出します」
 狂達に対する指示が流れ、狂達が返事をする前に
「狂、20番の横列、音圧が低い。絵美さん5,8,17,30,37,42それと44番も、次のステージOKです」
 稔の細かい指示が飛ぶ。
 狂は、稔の指示に対し、的確な行動を取るが、絵美はどうしても遅れがちになる。
「絵美、お前は指示される方向の色を送れ、俺がチョイスしてお前のディスプレィに、ウインドウを開いてやる」
 狂はそう言うと、自分のパソコンを操作し、絵美のパソコンまでコントロールすした。
 絵美は目の前に現れる、映像を見てそれに沿った配色を作り、エンターキーを押すだけになり、3人の動きが噛み合った。

◆◆◆

 教頭はジッと窓の外から覗いていると、48人の女教師達は次々とインターネットに接続し、SMのサイトを開き始める。
(な、何だ? 何だ…? 彼女達は何をして居るんだ…)
 教頭が目を細めて、ディスプレィに映っている物を覗こうとするが、教頭の位置からだと全く、判別できない。
 ディスプレィに視線を合わせていた、教頭の視線が何か動く物を認識し、そちらに目を向ける。
「おお〜! こ、これか…彼らが言っていたのは…おほー、壮観だなこりゃ…」
 教頭が覗き込んだ室内は、モソモソと身体をまさぐり、全員がオナニーに耽って居た。
 それぞれ、思い思いの箇所に触れ、手指を動かし、身体をモゾモゾとさせる程度のオナニーだったが、教頭は興奮で眼をギラギラとさせている。
 女教師達はそれから2時間モソモソと、身体を動かしオナニーを続けた。

 興奮で顔を真っ赤にして、その様を見入る教頭の携帯が、突然鳴り始める。
「おわぁ! な、何だ…。こんな時に一体誰だ!」
 教頭は驚きながら、携帯を取りだし着信番号を確認した。
 サイドディスプレィには[非通知]と出ている。
 教頭は携帯電話を開き、通話ボタンを押す。
『もしもし、どうだ壮観だろ?』
 ノイズ混じりの音声で、狂が教頭の思った事を、ズバリと言い当て、問い掛けてきた。
「う、うん…これは凄い…」
 教頭は素直に認め、次の言葉を出せなかった。

 狂はそんな教頭に、笑いで返事をすると
『これは、日増しに強くなるんだぜ…。4日後の最終日は、普通のオナニーが見られる筈だ』
 教頭にこれがまだまだ、序の口である事を告げる。
「ほ、本当か? この女教師達が…全員…? そ、それは凄い…。それは、中に入って見られないのかね?」
 教頭がその話しに食いつき、狂に問い掛けると
『何回言やぁ気が済むんだよ…。中に入ったら、お前の場合、立派な性犯罪者になっちまう…』
 狂は呆れた声で、教頭に告げる。
 教頭は狂に告げられ、ガックリと肩を落として項垂れた。

 そんな教頭に、狂は口調を変えて
『おう、そんな事より、次のお仕事だ…。医務室に行って薬棚から、P−4ってボックスを持って来て、そいつらに配れ。名前が書いてあるから、その通りに渡して、必ず夜眠る前に飲むんだと注意しろ』
 教頭に指示を飛ばす。
 教頭は頷いて、PC教室を名残惜しそうに見つめ、クルリと踵を返すと医務室に向かう。

 教頭が薬箱を持って、PC教室の前に戻ってくると、女教師達のオナニーは終わり、始めの時のようにユラユラと揺れていた。
 ガックリと肩を落とした教頭の耳に、狂の声が飛び込んで来る。
『おい、緊急事態だ! おっさん中に入って、霜月の服を何とかしろ! 出来るだけ、お前の周りの音波を弱めてやるから、意識をしっかり持っていれば、影響は出にくい筈だ! だが、弱めてる分騒いだりするな! ソッとするんだぞ、じゃないとお前の周りの女が目覚めちまう』
 狂の緊張を孕んだ声に、教頭は顔を引き締め
「わ、解った…。で、服を何とかするって…どうするんだ?」
 小声で狂に問い掛ける。
『入ったら、一目で意味が解るよ。だから、気付かれずにお前は、服を直すんだ』
 狂は教頭にそう告げ、薬箱を持って中に入るように指示した。

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