夢魔
MIN:作

■ 第25章 胎動13

 教壇に着いた教頭は、茫然とした表情で目を力無く開き、フラフラと揺れている女教師達の姿を、驚きの表情で見つめる。
『全員の目が開いたら、手を叩いて大きな声で注意を引け。意識が全員戻る筈だ』
 狂は教頭に指示を与え、教頭はその指示に従う。
 教室内の女教師達全ての顔を見つめ、目が開いてるのを確認すると、教頭は手を打ち鳴らし
「はい、注目!」
 大きな声で女教師達に話し掛ける。
 女教師達は、一様にビクリと震え視線を、教壇に立つ教頭に向けると、何か違和感を感じながらも、教頭の言葉を待った。

 教頭は再び女教師達の顔を1人1人見つめ、その反応の違いに目を見張る。
 頬を染め俯く者、スッと瞳が潤む者、怯えるような瞳に変わる者、様々な反応を見せるが、教頭にとって、見慣れた視線が一つも無かったのだ。
 それは、侮蔑の視線であり、嫌悪の視線だった。
(おいおい、こいつら…何が有ったんだ…。いや、頭の中を弄られるとは聞いていたが、それでこんなにも変わるのか? ただ、オナニーさせていた訳じゃないんだ…)
 教頭はその変化に、興味津々になり、今すぐ何か試したくて仕方がなかったが
『おい、ろくでも無い事考えんなよ…。てめぇ、只じゃおかねぇぞ…』
 狂の声にドキリとし、直ぐに俯いて考えを引っ込めた。

 教頭は女教師に向き直ると、口を開き始める。
「はい、皆さん注目。ここに、ある薬が有ります。この薬は、とても強い薬ですが、不安を抱えた場合とても、効果を発揮する薬です。皆さんは、今日この薬を家に持ち帰って貰います。飲まなければ、飲まないで構いませんが、その場合明日の朝私に提出して下さい。飲む時は必ず眠る前、お酒を飲んでない状態で服用して下さい」
 教頭は薬箱を空け、その包みを上に翳して説明した。
 その包みを見て、春菜は顔を強張らせる。
(あ、あれは…上郷先生が出したお薬…。みんな、あれを飲んでは駄目! 駄目よ!)
 心の中で強く発言しようとする春菜だが、それを口に出す事は出来なかった。

 春菜は昨夜、自分が使った時の事を思い出し、項垂れてしまう。
(いえ…でも、もしかしたら、上郷先生の言うとおり、不安を消す作用があるのかも…。そう言えば確かに、私の時も不安は消えていた…。ただ、私は服用法を無視して、飲んだのが原因かも…そう…私は、使い方を間違えただけ…)
 春菜は自分の中で、理由を付けてグッと言葉を飲み込む。
 だが、春菜が口を開けなかったのは、本当は別の理由だった。
 春菜がその服用した結果を、女教師全員に告げる事になるからだった。
 自分が薬を飲んでどう成ったか、何をしたのかを、全て告白する事に成るからだった。
 春菜は自分のプライドを守るため、同僚47人を死地に追いやる。
 この時春菜には、そんな思いがうっすらと芽生え始めていた。

 教頭は全員に1包ずつ薬を配ると、解散を命じる。
 女教師達はフラフラと覚束無い足取りで、PC教室を後にするが、ポツンと1人春菜だけが、席に残っていた。
「霜月先生? 何をしているんですか…早く帰りなさい」
 教頭は春菜の横に立ち、言葉を掛ける。
 その言葉に驚いた春菜が、顔を上げ辺りを見回すと、ポツリと1人だけに成っている事に気付く。
「あっ! す、すいません…直ぐに、直ぐに帰ります…」
 春菜は慌てて立ち上がり、躓いてよろめいてしまう。
 バランスを崩した春菜が、目を閉じ小さな悲鳴を上げながら、床に倒れかかると、その身体を思わぬ速さで、教頭が支えた。

 倒れかけた春菜は、自分の身体に衝撃が来ず、ある部分をしっかり何かに支えられている事に気付き、ソッと目を開ける。
 教頭の左手は、背後から春菜の柳腰に巻き付き、右掌はしっかりと左の乳房を握り、右の乳房は教頭の二の腕に押しつぶされていた。
 春菜がその状態を認識するより早く、身体が強く反応した。
 ビクリと、抱えられていた腰が跳ね、子宮が痺れドロリと体液を吐きだす。
「んあっ…」
 思わず洩れた、鼻に掛かった甘い吐息に、春菜自体が驚いた。
 春菜は慌てて教頭から身を離し
「す、済みませんでした…。あ、有り難う…御座います…」
 ペコリと頭を下げて、教室を飛び出して行く。
 教頭はその後ろ姿を、茫然とした表情で見送った。

 春菜は教室を飛び出し、手近のトイレに駆け込むと、スカートを捲り、パンティーをズリ降ろす。
「あ、ああぁ…」
 春菜は自分のオ○ンコを覗き込み、ガックリと項垂れ嗚咽を漏らす。
(ど、どうして濡れてるの…しかも、こんなに溢れさせるなんて…)
 春菜は、教頭に抱き止められた事で、自分の身体が強く反応し、愛液を溢れさせた事に、深い屈辱感を感じた。
 ガックリと項垂れながら、春菜は自分のオ○ンコをトイレットペーパーで拭い、パンティーを引き上げようとする。
 その時、春菜の手がピタリと止まり、ワナワナと震え始めた。
(ど、どうして…どうして、ナプキンが前後ろ反対なの? い、いつ変わったの…)
 春菜のナプキンは、PC教室で床に落ち、それを教頭が付け直したのだったが、前後を反対に付けてしまったのだった。
 春菜はトイレの個室で、自分が自分で判断できない、大きな不安に駆られ震え始める。

 しかし、それは春菜だけでは無かった。
 47人の女教師達も、皆一様に底知れぬ不安と戦い始めていた。
 それぞれが、元から抱える不安が増大し、そして共通の快感に対する、不安が込み上げる。
 47人と1人は、自宅に戻り就寝前に、頓服の包みを開いて、坂道を転がり始めた。
 二度と戻る事のない、退廃と快楽の坂道を。
 こうして、マゾ教師教育の初日は幕を閉じる。

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