夢魔
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■ 第25章 胎動14

 2日目の朝が明け、学校に登校して来た教頭は、いつものように席に着く。
 そして、三々五々女教師達が登校してくると、皆一様に疲弊していた。
(何だ? この倦怠感は…。皆、目の下に隈を作ってるじゃないか…。昨晩何か有ったのか?)
 不思議そうに職員室を見渡す教頭は
「皆さんお揃いですね。でわ、お薬を飲まれなかった方は、私に提出して下さい…」
 女教師達に告げた。
 だが、女教師達は誰も席から立ち上がらず、皆一様に俯き項垂れていた。
 皆、就寝前に頓服を飲み、オナニーに耽ってしまった証が、目の下の隈だった事に教頭は気付き、ほくそ笑む。
 そんな状態が、次の日も続いて、3日目が過ぎた。

 3日間の試験期間が過ぎ、生徒達の登校しない学校に、48人の女教師と、3人の男性教師が登校していた。
 男性教師の内の、1人は教頭であり、もう1人は黒澤で、最後の1人は真だった。
 教頭はこの3日間の変化を自分も手伝い、一部始終を目の当たりにし、理解していたが、黒澤は日増しに態度が変わる女教師達に、戸惑っていた。
 女教師達の大部分は、初日の様子と比べると、皆肌艶が良く成り、色気が滲み出している。
 中には服装や化粧の好みも、ガラリと変わった教師までいた。
 しかし、一部にはまだ、目の下に濃い隈を作り、焦燥している教師も、存在している。

 黒澤は教頭に目配せをすると、会議室に入り
「教頭…これが、柳井君達が言っていた、教育の効果ですか…。驚くべき物ですね…」
 素直に賞賛を上げ、驚いて見せた。
「ええ、彼達は本当に恐ろしい存在ですよ…。これだけ短時間に、あれだけの人間を変化させたんですから…」
 教頭はユックリ頷くと、腕組みをして何か考え込む。
 すると、教頭と黒澤が話している会議室の扉が突然開き、狂が立っていた。
「お、居た居た。おっさん達に話が有って来たんだ…。ちょっと、やって欲しい事が有ってな」
 狂はそう言うと、ズカズカと会議室に入って来る。

 黒澤はその傍若無人な態度に表情を消し、教頭はムッと顔を険しくした。
「悪いけど、礼儀とか文句を言うなよ…。これが、俺のスタンス何でな」
 狂は笑いながら2人に話し掛け、それぞれに紙を渡す。
「この2人ちょっと虐めてくれ…。出来るだけ、みんなの見ている前で、虐めて欲しいらしい」
 教頭と黒澤は渡された、紙を見つめ[ほぅ]と小さく声を上げた。
「工藤君…虐めてくれと言うのは…どう言う具合にだい?」
 黒澤が狂に問い掛けると
「そうそう、陵辱しても構わないって事か?」
 教頭が付け加える。

 狂はユックリと、首を振り
「それは、まだ早いぜ。取り敢えず性交渉は無し! それと、あからさまに、地位を脅かすのも、今は勘弁だ…。それに抵触しなきゃ、大概OKって条件なんだけど…この話乗るか?」
 狂が2人に問い掛ける。
「かなり面倒臭そうな条件だな…。当然、犯罪に成るような、強引な事は禁止なんだろ?」
 黒澤の質問に
「鋭いね。解ってる大人は、話が早い。勿論、2人が警察に訴えられる様な事は、勘弁して欲しい。黒澤さんは、大事な手駒らしいんで特に注意して欲しいらしいんだ…」
 狂が歯切れの悪い言葉で、黒澤に依頼すると
「柳井君がそう言ったんだな?」
 薄く笑って、頷いた。

 完全に無視された教頭が
「私も、気を付ける事にするよ…」
 そう言うと、狂は呆気に取られた表情を浮かべ
(馬鹿かこいつ? お前の名前なんか、一つも出してないだろ…)
 心の中で呟いた。
 それを見ていた黒澤は、狂と教頭の間に身体を入れると
「解った、やってみよう…」
 狂に返事を返しながら、真面目な顔で小さく首を横に振る。
 その仕草に狂が気付き、一瞬訝しげな表情を浮かべたが、教頭の顔を見て直ぐに理解した。
(ありゃ、教頭拗ねてるぜ…。あっ、俺のせいか…、で、黒澤のおっさんがフォローしてくれたんだ…)
 全てを理解した狂は、黒澤の顔を見て、ペコリと頭を下げた。

 狂が立ち去った会議室で、教頭と黒澤は狂に渡された紙を見つめながら
「教頭は、誰をあてがわれたんです?」
 黒澤が問い掛けると、教頭は
「黒澤先生こそ、誰になったんですか?」
 黒澤に問い返した。
 黒澤は、紙を教頭に見せながら
「部下の藤田です…。私は、あの手の女は、苦手なんですがね…」
 教頭に告げると、教頭は
「私は社会の叶です…。まあ、私の相手はかなり好みだよ」
 ニヤニヤと笑って、黒澤に告げる。

 2人は紙に書かれたデーターの文字を、目で追った。
 No.11藤田由香(ふじた ゆか)年齢24歳、身長146p体重42sB76W56H78。
 性格:明朗な性格ながら、意志が弱く甘えん坊、やや自己中心的。
 経歴:15歳まで、イギリスに住んで居た、帰国子女。
 傾向:被虐欲が強く、支配を好み肉欲には疎い。
 備考:フリルやレースと言った華美な服装を好み、何度か指導主任に注意を受けている。

 No.25叶志保里(かのう しほり)年齢25歳、身長160p50sB88W61H82。
 性格:自己顕示欲が強く、気が強くプライドが高い。
 経歴:修道院系の孤児院で育ったため、厳格な教育を受けたが、それに強い反発をもっている。
 傾向:羞恥心と服従願望が強く、性欲も強いが、それらを強く抑圧している。痛みに弱い。
 備考:シスターに育てられたため、性交を罪と教えられたが、強い性欲のため反発するも、未だ処女である。

 データーを見つめ、黒澤は頭を抱え、教頭はほくそ笑む。
 今日の研修開始時間まで、2時間半有った。
 2人はそれぞれの表情を浮かべ、会議室を後にする。
 2人の頭の中は、それぞれどうやって、指示を実行するか考えられ始めていた。
 教頭と黒澤は、女教師達がテストを採点している、職員室に入っていった。

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