夢魔
MIN:作
■ 第25章 胎動23
教育会は、7日目に突入していた。
本来は5日で終わる筈だったが、余りに全員の反応が良く成り過ぎて、そのまま放置すると、サディスト組を覚醒させた時のように、暴走が始まる恐れが有り、コントロールのために続けられたのだった。
「いや…まさか、ここまでの結果に成るとは、思いも寄りませんでした…。素晴らしい成果です…」
稔はディスプレィを見つめ、女教師達の脳波を見つめている。
「へへへっ…、まぁ一番のお手柄は、絵美だ…こいつが居なけりゃ、このプログラムは出来なかった…」
狂は絵美を見つめ、嬉しそうに言った。
「いえ、私なんて…。凄いのは、やっぱりご主人様です…」
絵美は照れながら、狂に身体を擦りつけて、嬉しそうに甘える。
稔は狂と絵美の熱々振りに、ウンザリすると
「真さん…そろそろ、出番が近く成って来ました。今日、合宿組が帰ってきたら、始めますよ」
真に向き直り、静かに告げる。
だが、真は別の方を向いて、ボーッとしており、稔の話を聞いていない。
稔は大きく溜息を吐くと、声を大きくして真の名前を呼ぶ。
「え、あ、ん? …あ、稔君どうしたんだ? …え、えっと、何の事だったっけ?」
真は稔の大声で驚きながら、稔の方を向いて慌てて、聞き返してきた。
稔は頭を抱えると
「大丈夫ですか? どうしたんです?」
真に問い掛けた。
真は項垂れ、肩を落とすと
「面目ない…。解って居るんだ…。解っては居るんだが…、どうにも気持ちが落ち着かなくて…」
ボソボソと稔に呟いた。
「弥生の事ですか…?」
稔が問い掛けると、真は子供のようにコクリと頭を縦に振る。
稔はそんな真を見つめ
「真さん…。これから、真さんは多くの女教師、生徒達と肌を合わせなければ、成らないんです…。その事にかまっている時間は、無いと思うんですが?」
静かに問い掛けると、真は更に項垂れ
「そうですね、始めの約束通り、私は性技を教え込まなければ、成りませんよね…。それなのに、まだ途中の状態で、心を移してしまうなんて…私は、我が侭を言ってるんでしょうね…」
ボソボソと呟いた。
稔は少し呆れながら、弥生の使役の件を本気で考えなくてはいけないと、思った時狂の携帯電話が着信を知らせる。
狂が電話に出ると、2・3英語で話し直ぐに通話を切った。
狂は携帯電話をポケットに入れながら
「稔、道具の数は揃ったぜ。今日の午後搬入される。倉庫に入れとくよう指示も出した」
稔に告げる。
稔は頷いて、再び真に向き直ると
「真さん、貴男の力が必要なんです。しっかりして下さい…」
真に向かって、稔は真剣な表情で依頼した。
真が力無く頷くと、旧生徒会室の扉が開き、庵が姿を現せる。
「稔さん、戻りました…。勝手を言って済みません」
庵は姿を現すなり、稔に向かって深々と頭を下げた。
稔が庵に視線を向けると
「お帰り庵。あれ、何か良い事でもありましたか?」
庵の雰囲気の変化に敏感に気付き、問い掛ける。
庵はボリボリと、頭を掻き
「解りましたか…。ええ、俺は悩みが1つ消えました…」
稔に向かって、経緯を説明した。
庵の話を聞いた狂が
「良かったじゃねえか! 庵…。俺の言った通りだったろ? 頭を柔らかくしてよ、ちゃんと行動すれば、結果はついて来んだよ」
庵に笑いながら、言った。
庵は狂に深々と頭を下げながら
「狂さん、本当に感謝しています。狂さんのアドバイスが無かったらと思うとゾッとします…」
狂に感謝した。
狂は嬉しそうに笑うと、庵の背中をペシペシ叩く。
庵は照れたように、微笑みを浮かべながらガシガシと頭を掻いた。
その笑顔はどこか、暗さの有った以前に比べ、明るく晴れ晴れとした物に変わっていた。
そんな庵が改まって、稔の顔を見つめ
「稔さん、実はお願いが有るんですが…」
稔に向かって口を開くと、稔は真剣な表情で
「庵…、何の話しかは解ります。解りますが、その話しはせめて、教師達の目処が付いてからにして下さい…。今は、気を引き締めなければいけない時期だと、僕は思うんですが」
庵に告げた。
稔の言葉に、庵は頷くと
「解りました…、稔さんの言う事は尤もだと思います。俺も少々、浮かれてたのかも知れません…」
稔の言葉に従った。
「そんなに、先の事では有りませんし、真さんも庵も今迄通り、振る舞って下さい」
稔がそう言って、真に向き直ると、真は稔を恨めしそうに見つめ
「私は、会えて居ないんですけどね…」
ボソリと呟いた。
稔は真に、玉置の相手を弥生から、美香と美紀に変える事を計画していると話し掛けた時再び、携帯電話の着信で邪魔をされる。
稔が電話口に出て、言葉をやり取りする。
稔は通話を終え、携帯電話をしまうと
「後30分程で、合宿組が帰ってくるそうです。暫くは、彼女達はこのままで良いでしょう。合宿組が帰ってきたら、直ぐに始めますよ…。僕達は今回サポートに回りますが、流れで調教の必要性が出来てしまったら、各自の判断で行って下さい」
真、狂、庵に宣言した。
3人はコクリと頷き、緊張感が走る。
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