夢魔
MIN:作

■ 第25章 胎動25

 校長室に呼ばれた教師達は、自分の席から立ち上がり、ゆったりとした歩調で校長室に向かう。
 その歩き方は、皆余裕と自信に満ちあふれた、優雅とも言える歩き方だった。
 黒澤は教師達全員が、挙措から叩き込まれた事を感じながら、机の下に手を差し込んだ。
 [ピチャ]と湿った音がし、続いて黒澤がチャックを上げる。
 その動作を見ていた、京本と迫田が[オヤッ]と言う顔をした。
 2人が気づいた事に、黒澤も気づき
「先生方が合宿中に、私は柳井君達の手伝いをしていましてね、それで先に1人割り与えられたんですよ…」
 黒澤は2人に向かって、説明しながら立ち上がると、椅子を後ろに引き、足を机の下に差し込むと、何かを足でたぐり寄せる。

 ガラガラと机の下から出て来たのは、台車に乗った1人の女性だった。
 女性は皮の拘束服に全身を締め付けられ、台座の上に載せられている。
 乳房は根本で締められ歪に縊り出され、足は大きく開いた状態で、折り曲げられて固定されていた。
 両手は背中でクロスする程、ねじり上げられ、その拘束の先は首に嵌められた、幅広の首輪へと続く。
 首輪は15p程の幅で、顎先から後頭部の下の方まで覆い、常に首を伸ばした状態を強要する。
 その首輪の後頭部部分から、真っ直ぐ伸びるベルトは、額を通り鼻に掛けられたフックへと続く。
 口には口枷が付いており、キャップを取ると大きく開いた口腔が、晒されるタイプの物で、ゴーグルのような完全密閉型のマスクをされている。
 左の耳には何も付いていなかったが、右の耳には完全密閉する、半卵形のヘッドホーンのような物が、付いていた。
 女性の乳首には、鰐口クリップが付いたチェーンが付いており、そのチェーンは台車に飲み込まれ、反対側はクリ○リスに伸びている。
 腰から伸びた皮ベルトが、女性のお尻を台車にピッタリと押さえつけ、身動き一つ出来ないようになっていた。
 そんな雁字搦めの状態で、台車の上に載せられた女性は、由香だった。

 黒澤が髪の毛を掴み揺さぶると、口枷の奥からくぐもった、苦鳴が漏れる。
「これは、私に教育を依頼して来たんですが、どうにも動物としての躾の方が先のようで、調教している最中なんです」
 黒澤は由香の口枷のキャップを外すと
「ほら、挨拶しろ…」
 由香の髪の毛を揺さぶり、指示した。
「はひ…ろうぶふのゆはれふ…」
 由香は大きく口を、開かれた状態で、やっとそれだけを口にした。
「調教して、4日目何ですが、一睡もせずに責めてますから、これだけがやっとでしょう…」
 黒澤は、口枷のキャップを戻すと、足で机の下に押し込み、椅子を戻した。

 黒澤は2人に視線を戻すと
「皆さん、きっと驚かれますよ。柳井君が用意している道具は、どれも独創性に富み、効果は絶大です。貴方達が合宿させられた意味が良く分かりましたよ。あれは素人には無理だ…」
 ニヤリと笑って、2人に告げた。
「いえ、多分分かりますよ…。まあ、合宿で覚えたんですがね…」
「ええ、あそこのクラブでも、特別な責め具の殆どは、この学校の垣内君の作った物らしいですからね…」
 2人は頷き合って、黒澤の言葉を認めた。
 いつの間にか職員室には、3人だけに成っており、3人は校長室に向かった。

 3人が校長室に入ると、校長以下全員の合宿組と教頭まで揃っている。
 遅れて入って来た3人に校長は、厳しい視線を向けたが、何の文句も言わなかった。
(何だ? 嫌みの一つでも言うかと思ったが…。それに、他の教師達の視線も気になる…)
 黒澤がぐるりと、視線を向けると他の教師達は、明らかにへつらうような眼差しを向けている。
 黒澤達はそれぞれ、自分の位置に座ると、沈黙が落ちた。
 黒澤は何か無性に気に成ったが、京本と迫田も黙って座っているのを見て、気にするのを止めた。

 暫くすると、扉が開き稔達4人が現れる。
「皆さんご苦労様です。お疲れの所申し訳有りませんが、合宿の成績でそれぞれのランク分けをさせて頂きます」
 稔は封筒を片手に、席に着くと純のまねをした狂と庵と真がその背後に立つ。
 全員が校長室に入ると、迫田と京本と小室が席を立ち、背後の教師達の中に混ざる。
 京本が狂達に顔を向けると
「どうぞ、座って下さい」
 ソファーを指して、狂達に勧めたのだ。

 稔は暫く京本達を見つめると
「純、庵、真さん…。お言葉に甘えて下さい…。そうしなければ、先生方の気が済まないんでしょう」
 3人にソファーを勧めた。
 3人は稔の言葉に頷いて、ソファーに座ると成績発表が、始められた。
 稔が怪しげな封筒から、ファイルを取り出すと
「主席、京本先生。次席、迫田先生と成りました。このお二人には、黒澤先生と同じポジションで、他の先生方を監督指導して頂きます。それと、お二方には、キサラさんからこれを預かっています」
 稔はそう言うと、京本と迫田に1枚ずつシルバーのカードを手渡した。
「お二人は、一般会員としてメンバーに選ばれました。後は、この中を読んで、カードを返す返さないを決めて下さい」
 稔はそう言って、黒い封筒を2人に差し出す。

 京本と迫田は震える手で、そのカードと封筒を受け取り、大切そうに握りしめた。
 他の教師は、そのカードと封筒を羨ましそうに見つめたが、自分の努力が足りないとばかりに、うなだれる。
 そんな中、稔の声が次の名前を告げた。
「でわ、大貫先生、小室先生、便宜上呼ばせて頂きます山孝先生。このお3方は、チームリーダーをサポートして下さい。後の方は、この6人に従って、懐柔を行って下さいね…どう言う分かれ方をされても構いませんが、3チームに分かれて下さい」
 稔が告げると、先ずリーダーとサブリーダーが、分かれる。

 黒澤の元に大貫が進み出て
「黒澤先生…私は先生とバディを組んでみたいですわ…」
 艶然と微笑むと
「ふっ、先生は確か羞恥系がお好きでしたね…。私には、余り無い知識ですから、お願いしますかね…」
 黒澤は快諾する。
 そして、京本の元に小室、迫田の元に体育主任の山孝が進み出て、チーム編成の基は出来上がった。
 そのチームにそれぞれ、2名の教師が入り、組分けが終わる。

■つづき

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