夢魔
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■ 第26章 開幕1

 稔達が視聴覚教室を出ると、教師達は各グループに別れ始める。
 黒澤の元に訪れた、大貫がスッと会釈し
「黒澤先生…本日は如何致します? もう、教育をお始めとお聞きしましたが、そちらを優先されますか?」
 黒澤に礼儀正しく問い掛けて来た。
「いや、私は構わないです。あれは、置いているだけでも、十分な効果が有りますから。私は先生方にお付き合いしますよ…」
 黒澤がニッコリと笑って、大貫に答えると
「有り難う御座います…。でわ、私達のサポートをして頂けませんか?」
 大貫の背後から、大城が頭を下げながら現れ、依頼する。
「イヤですよ、私は仲間外れですか?」
 井本が垂れた目を細めながら、刺すような視線で輪に加わった。

 大貫がスッと頭を上げると、井本を見つめ
「別に、貴男に手伝って頂かなくても、私は一向に構いません…」
 冷たく切り捨てるような声で、井本に言葉を返す。
 大城はいつの間にか、井本が近付いて来た場所を離れ、大貫の後ろに佇んでいた。
 その状態を見て、黒澤は頭を押さえながら
(おいおい、仲間割れは勘弁してくれ…。この男、一体何したんだ? 大した嫌われ様だな…)
 チームの内紛に、溜息を吐く。
「まぁまぁ…、ここはチーム一丸となりましょう。妙な、軋轢は計画に破綻をきたしますよ…」
 黒澤は周りを宥め、チームをまとめようとした。

 大貫は黒澤の方を向き、何か言いたげだったが、言葉を飲み込んで頭を下げ
「はい、黒澤先生…。承知しました…」
 黒澤の言葉を了承した。
 井本はニヤニヤと笑い
「そう言う事で、宜しくお願いしますね…」
 黒澤に向かって、右手を差し出した。
(こいつ…。顔は笑っているが、目は笑って無い…。それに、手の体温も低すぎる…、常に緊張して、周りを伺う習性か…。後ろから、一突きするタイプだ…気を許すのはタブーだな…)
 黒澤は井本の顔を見つめ手を握り、その性格を確信する。

◆◆◆◆◆

 京本の元に、小室と光子が集まっていた。
 その集団に、白井がユックリと近付くと
「今日のご予定は?」
 高慢さを隠す気もない態度で、3人に問い掛ける。
 3人は白井を見つめると
「別にまだ、決まっちゃ居ないよ」
 光子が口火を切って、白井に答えた。

 小室が右手の中指で、眼鏡を押し上げ
「今、どれを狩り始めるか、相談していた所です…」
 白井に答えると
「今現在、誰が残っているかで、決めようと話していたんだ」
 京本が小室の言葉を補った。
 すると、白井がクスクスと笑い始め
「でしたら、今日は私に付き合ってくださらない? オモチャを取りに行こうと思ってますの…。そのオモチャで、遊んで下さいませんか?」
 3人に提案する。

 小室が訝しそうな顔で
「オモチャ?」
 白井に問い返すと、白井は大きく頷いて
「ええ、オモチャ…。そう、昔のオモチャですわ…」
 酷薄な笑みを浮かべて、3人に笑いかける。
「ほ〜ぅ…。解った…、それは、あれだね…。君の特別理由だ…」
 京本が理解し、薄く笑うと
「な、何? 全然話し見えないんだけど!」
 光子が、京本と白井の会話に割り込んでくる。

 すると、小室がソッと光子の肩に手をあて、引き戻すと
「山基先生…、白井先生の獲物の事ですよ…。白井先生は、何らかの事情で、既に手なずけて居るから、それを私達に調教しろと言ってるんです」
 光子に解りやすく説明した。
 光子は小室に触れられ、ドキリとした目線を向けると
「そ、そうなんだ…、回りくどい言い方するんじゃねぇよ…」
 白井に向き直り、歯を剥いて吐き捨てた。

◆◆◆◆◆

 迫田の周りには、男達が密集している。
「どうします? 俺、回りくどいの苦手何すよ…」
 [山源]事、山元源治がしゃがみ込んで、迫田を見上げながら訴えた。
「源治、その姿は失礼だぞ! 迫田先生すいません、後できつく言っときます」
 山本孝三が、迫田に頭を下げる。
「構いません。それは、スタイルとして認めましょう。貴方達のスタイルを崩してしまっては、私達の合宿も意味をなさない。それに、うちのチームは男所帯です、多少態度が荒いのも、それはカラーでしょう」
 迫田は山孝に淡々と話す。
「はははぁ〜、良いですね〜。迫田先生は話せるじゃないですか〜」
 森が素っ頓狂な声で、迫田を褒めるが、迫田は森の言葉には一切答えず
「うちはさっきも言いましたが、男所帯です。その上、陵辱系が得意な方が2人も居て、私自身支配を好みます。このシフト上方針としては、貴男方が恐怖を植え付け、私が支配を教え込む形が、ベストだと思いますが?」
 自分のチームの方針を話した。

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