夢魔
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■ 第26章 開幕8

 山源は今度は完全に勢いに押されてしまい、[お、おう]と曖昧な返事を返す。
 だが、その美人揃いの理由を聞かされていた山源は、直ぐに体制を整え
「まぁ、お前が言うのも解るがな、お前は自分が思っている程、この学校でも下じゃないぜ…。俺自身はかなり高い評価を持ってるからな…。俺の判断じゃ、5本の指に入る」
 光の事を褒め始めた。
「大体俺はよ、[美人です]って、お高く止まってる女は嫌いなんだ、何様かって突っ込みたくなる。その点お前は、美人なのを鼻に掛けても居ないし、話もし易い。スタイルだって抜群だし、才能にも溢れてる。こんだけ揃ってれば、十分すぎる程いい女だろ?」
 山源が続けていった、光の評価は、光を上機嫌にさせる。

 光は嬉しそうに微笑むと
「山元先生にそんな風に思われてたなんて、私知らなかったな〜…。いっつも怒られてるから、嫌われてるのかと思っちゃってました」
 山源に告げた。
「はん、そんな事ねぇよ…。所でよ、くっちゃべってて良いのか? 練習するんだろ…」
 山源は照れたように言うと、光に練習に戻らないのか問い掛ける。
「あ、はい…じゃあと少し、身体を動かしますね…」
 そう言ってニッコリ微笑んで、残りのミネラルウォーターも、飲み干した。
「おお…、俺は少し見させて貰うぜ…。お前の綺麗な演技をな…」
 ニヤリと笑いながら、光に告げると
「はい、どうぞ…。何か照れちゃいますね…」
 光は恥ずかしそうに、ペロリと舌を出してペコリと頭を下げる。

 するとそこに背後の入り口から、数人の男の声がした。
「おお、山元先生ここだったのか、探したぞ…」
「山元君ソロソロ時間に成るよ…」
「早く、早く、行きましょうよ」
 入り口に現れたのは、山孝、迫田、森の3人だった。
 3人の教師の登場に、光がキョトンとした顔を山源に向けると
「ええ、もうそんな時間ですか? いや、参ったな…」
 頭を掻いて、光に視線を向ける。
「先生、ご用があったんですか?」
 光が問い掛けると、山源は頷いて
「ああ、合宿の打ち上げがてらに、一杯やろうって話しに成ってってな…」
 光に説明し、3人に向き直ると
「先生方、1人増えちゃ不味いですか?」
 勝手に光の参加を決めて、申し出てしまった。

 山源の言葉に、3人の教師は快諾すると、山源は光の方を向き
「おう、良いってよ…。練習が終わったら、飲みに行こうぜ!」
 ニヤリと笑って、光に告げた。
 光はキョトンとした表情で、自分の顔を指で指すと
「え〜〜〜、私ですか〜?」
 驚きの声を上げる。
「おう、それ以外誰が居るよ。もう頼んじまったし、俺の顔を立ててくれや」
 山源が手を顔の前に立てて、ペコリと頭を下げる。
「もう、強引なんだから…。良いですわ、お付き合いします」
 光はクスクスと笑い、道具を片付けようとした。

 すると、山源がその動きを止め
「いや、最後に1回お前の演技を見せてくれよ、通しでな…。先生方、すっげー物が見られますぜ、一緒にどうですか?」
 光に頼みながら、教師達を巻き込んだ。
「ほう、それは楽しみだな…」
「まだ、時間も有ります、見せていただきましょう…」
「わかったよ〜」
 3人が頷くと、山源の後ろに立った。
 光は困惑しながらも、棍棒を持ってフロアーの真ん中に立つと、男性教師達は四隅に移動した。
(な、何…何か試合みたい…、緊張するな〜。やだ、心臓ドキドキしてる…)
 光はほんのりと、頬を赤く染め、開始位置でポーズを決めた。

 山源は光に見えない位置で、教師達にサムズアップを作り、ニヤリと笑う。
 山源がミネラルウォーターに盛った媚薬を、光が残さず飲んだ事を示す合図だった。
 教師達はコクリと頷くと、それぞれ独特の雰囲気を出し始める。
 その目は完全に、獲物を狙うサディストの目となり、妖しいオーラを立ち上らせ始めた。
 光は何も知らず演技を始め、自分の本性を覚醒させる事に成る。

 光は演技を始め出すと、おかしな感覚に襲われる。
 自分の身体を動かす、意識はハッキリとしているのだが、何か考えがまとまらない。
 薄い幕が掛かったように、判断力が希薄になって行く。
 それにつれ、心臓の音が大きく聞こえ始め、身体がドンドン熱くなって行くのだ。
(あれ…変ね…何だろ…これ…。身体は、スムーズなんだけど…。ま、良いか…)
 光は複雑な考えがまとまらず、断片的な思考のみを、脳に送り込み始める。
(あふ…、気持ち良い…身体が動く…鼓動が大きい…身体が火照る…見られてる…)
 光は何処を向いても、確認できる男性教師の視線に、身体が熱くなって行くのを感じる。
(あ、あつい…おなかが…あついの〜…オ、オッパイが…ジンジンする〜…)
 ドンドン快感が膨らんで行く、自分の身体に戸惑いすら浮かばず、ただ快感に浸り始めた。

 山源達は真っ赤に紅潮し、演技を続ける光をニヤニヤ笑いながら見詰めていた。
 そしてその性癖を隠そうとしなくなると、独特の視線が光に絡みつく。
 迫田の刺すような冷徹な目線が、光の意識をひれ伏させ、山孝の獣のような目線が、光の気持ちを怯えさせ、山源の恫喝するような目線が、光の身体を萎縮させ、森の粘つくような視線が、光の心を恥辱に染めた。
 光は言いようのない、快感と敗北感に染まりながら、快楽に身を灼いている。
 ハァハァと荒い息を吐きながら、演技を終え光はしゃがみ込み項垂れた。
 説明の付かない快感に、目を潤ませながら茫然とする光に、4人のサディスト達が近付く。

■つづき

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