夢魔
MIN:作

■ 第26章 開幕15

 居酒屋の片隅で、ヒソヒソと顔を寄せながら、話し込む女性3人。
 学校の国語科の3教師、主任の大貫と古典の奈々と現国の直美は、他人に聞かれては不味い類の話をしていた。
「私はSEXに関しては、タブーを持っていないの。そう、気持ち良ければ、何でもOKなの…。勿論、合法的な範囲でよ…幾ら気持ち良くても、犯罪性の有る事は、駄目。だから、色んな事を経験してきたわ…、人から変態扱いされる事もね…」
 厳格な雰囲気を持った、国語主任教師の大貫がそう言うと、部下の2人は驚きに目を見開く。
「え〜! じゃ、外でエッチとか、した事有るんですか…」
 直美の驚きながらの質問に、大貫はニッコリ微笑み
「野外プレイね…。有るわよ、勿論…、それだけじゃなく。全裸で歩いた事も有るわ…」
 直美に答える。
「え、え〜…! じゃぁ、酷い事を強要されたり、命令に従わされたりとかもですか?」
 奈々の質問に、大貫はコロコロと笑い
「当たり前よ、一通り経験したって言ったでしょ…、アナルも犯された事があるわよ…」
 奈々の質問に答えた。

 2人は大貫の言葉に、驚きの顔でゴクリと唾を飲み込み、質問を浴びせ続ける。
 大貫はその質問に答えて行き、その時の感想まで加え始めた。
 直美と奈々の質問は留まる所を知らず、ドンドンエスカレートして行く。
 大貫はその質問に答えながら、2人の反応に目を向ける。
(うふふ、そろそろお薬が効き始めたのね…。あんなに足を摺り合わせちゃって…)
 2人は興奮した顔で、腰をクネクネと振りながら、モジモジと足を摺り合わせていた。

 大貫の与えた薬は、興奮剤と催淫剤の効果を持つ媚薬で、興奮が高まれば高まる程、催淫効果を現す薬だった。
 大貫は頃合い良しと見切り、2人にソッと囁く。
「貴女達…そんなに質問するのは、興味が有るのかしら? この近くに、私の知ってるお店があるんだけど、覗いてみる? そこは、会員制で一般の人は絶対に入れないし、ショーも有るわよ…。どんな世界か、じっくり見てみる事も経験よ…」
 大貫の言葉に、2人は頬を赤く染め、お互い見つめ合いながら、コクリと頷き合い
「お、お伴します…」
 大貫に同伴を告げた。
 大貫は表で薄く、心の中で残虐に笑うと
「じゃ、行きましょうか…」
 スッと席を立ち上がり、スタスタと歩き始める。
 直美と奈々は、慌てて席を立ち、大貫の後ろについて行った。

 居酒屋を出た3人は、駅の方に向かって歩いて行き、少し外れのスナックやクラブが建ち並ぶ辺りに向かった。
 大貫は更に無言で歩いて行くと、1棟の雑居ビルに入って行く。
 地下に向かう階段を下りると突き当たりに、何の表示もない覗き窓が有る大きなノッカーの付いた、重厚な木製の扉が1つだけポツリと有る。
 大貫が前に進み扉のノッカーを打ち付けると、覗き窓が開き丁寧な言葉で会員証を要求してきた。
 大貫がその窓にカードを見せると、木製の扉が重い音を立て、内側に開く。

 扉の内側に黒服を着た男が立ち、頭を下げている。
「大貫様、いらっしゃいませ…」
 大貫が黒服の前を通ると、黒服が低く渋い声で、挨拶した。
「3人よ…。今日はショーは有るのかしら?」
 大貫が問い掛けると、黒服の男が
「ショーの第1部は終了しました。第2部は12時からに成っております、その間お客様にステージが開放されますので、どなたかのプレイはご覧頂けるかと…」
 丁寧に説明した。
「あら、残念ね…。誰か。ステージに上がれる方は、いらっしゃってるの?」
 大貫の質問に、黒服が名前を挙げると
「あら、じゃあ、暫らくしたら見られるわね…。さぁ、行きましょ」
 大貫は直美と奈々に声を掛け、黒服を促した。

 黒服が頭を下げると、スッとカーテンを指し示し、素早く移動してそのカーテンの奥にある扉を開けた。
 店内に入ると、大貫は辺りをスーッと見渡す。
 店のフロアーは80坪程の広いラウンジ形式で、C型のボックス席が整然と列び、4つのボックスでワンブロックを形成している。
 中央正面には半円形のステージが有り、今はスポットライトが消えていた。
 入って右手にはバーカウンターが有り、スツールが妙に高く、奥行きの有るカウンターの裏側に、それぞれ鉄の輪が埋め込まれている。

 大貫は店内の位置関係をさりげなく、理解すると
(へーっ…良い店じゃないの…。初めて入ったけど、気に入ったわ…)
 店の雰囲気を、一発で気に入った。
 実は、大貫自体、この店は始めて知ったのだ。
 稔に、学校以外で道具が充実していて、調教場所に向いている所を相談した結果、この店を紹介されたのだった。
 だから、入り口での黒服とのやり取りも、全て口から出任せのハッタリで有る。
 恐らく黒服は、稔に指示されていたのであろうか、アドリブで話しを合わせていたのだ。

 だが、そんな事は後ろで手を取り合いながら、キョロキョロと辺りを見回している2人には、窺い知る所では無かった。
「貴女達…、こんな所で、そんな事をするのは、失礼よ…」
 辺りに目を向け、指を指して囁き合う2人を、大貫は注意する。
 大貫に注意された2人は、慌てて手を引っ込め、顔を真っ赤にして俯いた。
 黒服は3人をボックス席に通すと、一礼して席を離れる。
 暫くすると、その席に1人のウエイトレスが、やって来た。
 直美と奈々はそのウエイトレスを見て、固まってしまった。

 ウエイトレスは、黒の革製のバニースーツを着ているが、トップレスで乳房を晒し、乳首にはピアスが付いていて、その2つの肉芽をシルバーのチェーンが繋いでいる。
 首には黒の犬の首輪をはめて、鎖のリードがぶら下がり、頭には犬の耳飾りが着いていた。
 跪いて頭を下げると、お尻に尻尾が付いているのが解るが、その尻尾の根本はアナルに消えている。
 メニューを差し出し、オーダーを聞いていったウエイトレスは、クルリと背中を向けると、股間は剥き出しになっていた。
「黒の首輪は何をしてもOK、赤の首輪はアナルはOKでオ○ンコはNG、緑の首輪はその反対、黄色の首輪は口まで犯して構わない、青の首輪はお触りだけ、ピンクの首輪は見るだけよ…。それと、番号が付いているのは、席が決まっている子だから手を出しちゃ駄目よ。ここの決まりだから、気を付けてね…」
 大貫がメニューに書いてあった、ルールを口にすると、直美と奈々が驚いて辺りを見回す。
 すると、フロアーのボックス席の至る所で、ウエイトレスが組み敷かれているのが目に入った。
 どのウエイトレスも、先程と同じような格好で、様々な形の耳飾りを着けており、6色の首輪のうちのどれかを嵌めていた。

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