夢魔
MIN:作

■ 第26章 開幕34

 歩き出そうとした山孝の足がピタリと止まり、ユックリと恵美に視線が向けられると
「何のつもりだ…」
 ボソリと、恵美に問い掛ける。
 恵美の右手がリードを持ったまま、山孝の服の裾を掴んでいた。
 恵美は涙で潤んだ瞳を、山孝に向けながら
「ごめんなさい…。申し訳有りませんでした…、私は嘘つきで…どうしようもない馬鹿です…。今に成って初めて理解しました…。皆さんの行為を…愚劣だと決めつけ…どこかで、嘲笑っていました…。暴力で押し切り、言う事を聞かせるだけの…低俗な行為だと思い込んでいました…。ですが、それは私の無知な思い込みで…、自分の偏見が産んだ、只の決めつけだと、山本先生の言葉でハッキリと理解しました。光ちゃんが私に相談できなかったのは…当たり前ですね…、こんな偏見でしか見ない私に、光ちゃんの世界が解る訳無い…」
 恵美はポツポツと自分の心情を語り、自分の非を認める。

 山孝は腕を組み、ジッと恵美を見詰めて、話に耳を傾けていた。
 恵美は山孝を見詰めていた瞳を伏せると
「お手間を取らせて、申し訳有りませんでした…。私は、帰ります…、これが取れた時には…山本先生の所にお持ちします…」
 掴んでいた山孝の服を離し、深々と頭を下げた。
 山孝はそんな恵美に、近付くと髪の毛を掴み、力任せに引き上げると
「俺は…舐めるなと、言わなかったか…。お前は、このまま自分で帰るのが、今のお前に取って、正しい事だと本気で思っているのか?」
 低い声で問い掛けた。

 恵美は瞳に涙を浮かべ
「思いません…思っていません…。ですが、私は…」
 そこまで言った時、山孝が恵美の頬を掴み、言葉を遮る。
 顎の関節が外れそうな程の力で、頬を掴まれた恵美は、ジッと山孝の瞳を見詰めた。
「そんな事はどうでも良い…。俺はお前の心に聞いている…お前の心は…どうしたい…?」
 山孝も恵美の瞳の奥を覗き込み、静かに低い声で問い掛ける。
 お互い真っ直ぐに瞳を見詰めながら、立ちつくした。
 山孝は恵美の瞳から視線を逸らさず、スッと手を離すと
「はい…。経験して…理解したいです…」
 恵美は山孝に真剣に告げた。

 山孝は恵美の髪の毛を放し、身体を離すとポケットに手を突っ込み、ピンクの錠剤を取り出す。
「こいつは…、俺の知る中で最も強い媚薬だ…。こいつを飲んだら、発情するのは勿論、体中が敏感になる。今のお前の状態で飲んだら、間違い無く一晩中電撃を食らう。お前はそれを知っていて、これを飲めるか…。いや、その電撃に堪えながら、今の自分の考えが、揺るぎない物だと言い切れるか?」
 山孝の質問に、恵美は山孝の手から薬を受け取り、躊躇無く薬を飲み込む事で答えた。
「私の思いは…一時の気の迷いじゃないと思います…。でも、私にはソレを示す方法がありません、認めて頂けるなら、私は何でもします…。でわ、失礼いたします…」
 恵美は深々と頭を下げると、踵を返して立ち去ろうとする。

 山孝の手が恵美のブラウスの襟足を掴むと、グイッと引き寄せ、バランスを崩した恵美の身体が、山孝の腕に抱き止められた。
「馬鹿! 可愛気のない事をするな。お前は意地を張って、酷い目に有ってんだろ? そんなのもわかんねぇのか」
 山孝の言葉に恵美は涙ぐむと
「ですが…ですが、私は…」
 反論しようとする。
 山孝はそんな恵美の舌を掴んで、引き出すと
「俺は、馬鹿は嫌いだが…。言い訳する女も嫌いだ…。ましてや、俺に嘘を吐く女は論外だ! お前は俺に対して、どんな女を見せる?」
 低く静かな声で、問い掛けた。

 恵美は今迄山孝に見せていた、凛とした表情を崩し、泣きそうな顔に成る。
「光はよ…、あいつは自分の欲望を素直に認め、俺達が教えてやって、今の姿を晒せるように成った…。あれが、あいつも知らなかった、あいつの本当の姿だ…」
 山孝は恵美に告げると、掴んでいた恵美の舌を離した。
 恵美は泣きそうな表情のまま、山孝に縋り付き
「反省した私を…。本当の私を…見て頂きたいです…。そして、出来る事なら…、私にも本当の姿を見せて欲しいです…。私の知らない…私の本当の姿…」
 山孝に懇願する。

 山孝は恵美の右手から、テグスのリールを取り上げると
「おい、ブラウスのボタンを外して、胸を差し出せ…」
 恵美に静かに命令した。
 恵美は驚きながらも、直ぐに山孝の命令に従い、ブラウスのボタンを全て外して乳房を晒した。
「こ、これで宜しいでしょうか…」
 人目に付き難いとは言え、路上で自ら乳房を晒すのは、恵美にはかなり勇気の要る事だったが、躊躇う事無く命令に従う。
 山孝は恵美の髪の毛を掴み、少し前屈みにさせると、素早く乳首の根本にテグスを巻き付け
「スカートの前を持ち上げろ…」
 次の命令を恵美に与える。
 恵美が命令に従い、スカートを持ち上げると、適当な長さでテグスを歯で噛み切り、クリ○リスの根本に結びつけた。

 恵美の敏感な肉豆は、テグスで根本から括り出され、赤く色付いている。
 山孝は犬の首輪を取り出し、恵美の首にきつく嵌めると、アナルに大きな釣り針状のフックを掛け、細いチェーンで首輪に留めた。
「良し、良いだろう…。服を整えたら手を後ろに組め…」
  少し前屈みで結ばれたテグスは、身体を起こすと強く引き合い、チェーンで留められたフックは前屈みになると、アナルをほじり首を絞める。
 恵美は前後を襲う様々な痛みに堪えながら、洋服を整えて手を後ろに組んだ。
 山孝はカードリモコンを取り出すと、リングの振動を最大にし、恵美に刺激を送り込む。
「ほぅう〜〜〜っ…、ぎひっ、くぅ〜〜〜っ…」
 恵美は身体をくねらせ、快感に堪えながら痛みに晒される。

 山孝はそんな恵美の髪の毛を掴むと
「行くぞ…」
 短く告げて髪の毛を前後左右に振りながら、歩き始めた。
 恵美の全身を襲う複雑な刺激は、山孝の手の動きで予想外の強さに変わる。
 そしてそれは、胃袋に飲み込まれた、媚薬によって全て陶然とする快感に代わり始めた。
 恵美の身体に電撃が流れ、ビクリと震える。
 恵美はそれでも固く手を背中で組み、山孝の横に付き従う。
 山孝に引き摺られるように、恵美は夜の町に消えていった。

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