夢魔
MIN:作

■ 第26章 開幕35

 真は白井との約束の時間に遅れそうだったため、廊下を小走りで走っていた。
(まさか初日から、依頼が有るとは思いませんでした…。折角、弥生との時間が作れると思ったのに…。でも、仕方が有りませんか…、彼女には、苛立ち紛れに酷い目を合わせてしまったし、こちらの方が優先順位が上ですから…はぁ〜っ、弥生の落胆の声が、思い浮かびます…)
 真は項垂れながら、小走りに約束の場所へ移動した。

 真が2−Bと書かれた教室に着くと、中から人の声がしていた。
 真が耳を澄ませると、その声は侮蔑する光子の声と、嬲るような小室の声と、謝罪し辱めを認める美由紀の声、それに白井の嬌声だった。
(ふぅ…。あまり、人が嬲られているのを見るのは、好きじゃ無いんですがね…。特に、陵辱されている所は、胸が張り裂けそうになりますし、汚いのはイヤです…)
 真は教室の扉一枚隔てて行われている調教に、大きく溜息を吐き、[自分の苦手な事じゃ、有りませんように]と祈りながら手を掛け開いた。

 突然開いた扉に、白井達が驚き振り向くと
「いや、すみませんね…。白井先生と約束がありまして…」
 真はにこやかな顔で、頭を掻きながら入って行く。
 真の見た物は、教室の床に仰向けになり、顔を光子に馬乗りされ、小室に貫かれる美由紀と、お尻を高々と突き出し、京本に貫かれる白井の姿だった。
(あ〜ぁ…良かった…。まだ、調教って感じじゃ無いですね…)
 辺りを見渡し、乱交パーティーの様な雰囲気に、思わずホッとした。
 稔達の調教を見慣れた真にとって、白井達の行為は極々ノーマルに映る。

 真の登場に真っ先に反応したのは、白井だった。
 京本に貫かれていた姿勢のまま、真に向かって這い進み、真の前でピタリと止まると、ペタリと身体を平伏させ
「ご足労をお願いしまして、申し訳御座いません…」
 真に感謝の言葉を告げた。
「いえ、いえ…。大丈夫ですよ、で、どの方です? 私に見て貰いたい方は?」
 真がにこやかに問い掛けると、白井が立ち上がり
「こちらで、使われている美由紀で御座います…」
 真を美由紀の方に案内しながら言った。

 真が美由紀の横に立つと、光子も小室も美由紀の身体から離れ、真剣な表情で真に会釈する。
 真は微笑みながら会釈を返すと、美由紀の身体を見て微笑みを消した。
 急に解放された事と、白井達の態度に不安を覚えながら、真の立場を知らない美由紀は戸惑った。
 だが、習い覚え込まされた、美由紀の身体は直ぐに反応し、素早く平伏すると
「便女で御座います…。どうか、お好きなようにお使い下さい…」
 恭しく頭を床に擦り付け、真に挨拶を行った。

 真はジッと美由紀を見詰めながら
「この人の身体に、こんな事をしたのは…誰ですか…」
 静かに問い掛ける。
「はい、私がズッと手がけて、作り上げました」
 白井が進み出て、自慢げに微笑んで言った。
 白井は真がノーマルで、陵辱や人体改造等を嫌っている事を知らない。
 真の目が静かに白井に向けられ
「そう、ですか…貴女が…こんな事を…」
 小さな声で、白井に問い掛けジッと見詰める。

 白井はその真の表情を見て、凍り付いてしまう。
(あ…、この表情は私を校長室で、乾涸らびさせた時の目…、いいえ、この雰囲気を入れたら、それ以上だわ!)
 真の胸中を理解し、パッと地面に伏せると
「はい、この人は、私の中学時代からの知り合いで、私がズッと虐めてきた人です。物の分別も付かない私は、この人をいじめ抜き、こんな身体にしてしまいました。取り返しの付かない事をしてしまったのですが、もしや真様ならと思い、こうしてご足労を願ったのです…」
 白井は真の怒りを和らげるために、口から出任せと事実を織り交ぜ、真に告げる。

 真は白井から美由紀に視線を戻すと、スッとしゃがみ込み美由紀の肩に触れ
「少し身体を見させて下さい…。その上で、方針を決めさせて貰いますね…」
 優しく美由紀に語りかける。
 美由紀は何の事だか全く解らず、真の顔を見つめ曖昧に頷いた。
(源先生は…私を使われる訳じゃないの…? 私は、一体源先生に何をされるんだろう…。でも、この雰囲気…とても落ち着くわ…源先生に触れられている肩が、とても気持ち良い…ああぁ〜…。安心って…これの事なのね…)
 美由紀は真の手の温かさと優しさに、頬を染めながら気分が落ち着いて行った。

 真は目を静かに閉じると、口の中で真言を唱え、掌に意識を集中する。
 美由紀は不思議そうに真を見詰めて、首を傾げた時、いきなり真の左手が右の乳房に触れた。
 美由紀はその感触に、目を大きく見開き驚いた。
(あ、熱い! …オッパイが…オッパイが溶けちゃう!)
 物理的な熱量では無い、不可思議な熱さを感じ、身体から力が抜ける。
 右腕をソッと回して、崩れかかる美由紀の身体を支えながら、真の左手が美由紀の右の乳房をまさぐり、左の乳房に移動して、下腹部を撫で回す。
(くふぅ〜〜っ…何…何、これ〜〜…。身体が、身体が熱いの〜…溶けちゃう…溶けちゃう…溶けちゃう〜〜〜っ…)
 美由紀は頬を真っ赤に染めながら、身体をくねらせ、瞳を大きく見開いて驚きを現す。

 真は美由紀の身体を10分程[気]を使って触診し、ソッと美由紀を床に置き、身体を離す。
 美由紀は目を潤ませ、荒い息を吐きながら、ガクガクと身体を震わせていた。
 その光景をジッと見詰める4人は、口をポカンと開け、真の怪人振りに驚嘆している。
 真はスッと白井に向き直り、真正面から見据えると
「貴女は酷い事をする人ですね…。右の乳房に異物が5つ…、大きさ形から判断すると、縫い針ですね…。それと、お尻の刺青は、黒鉛を突き刺したんですね…、どの穴も真皮に迄達していましたよ…。それ以上に内臓が酷いダメージを受けている…、一部の機能が完全に損なわれています…」
 触診結果を能面のような顔を向け、白井に告げた。
 真の表情を見て、白井の顔が一瞬で引きつる。

 真は美由紀に視線を向け直し、優しく問い掛けた。
「貴女は、毎日のお通じを浣腸に頼ってますね? それと、偏頭痛と腹痛、胃痛が酷いと思いますが…間違っていませんね…」
 美由紀は真の優しい声に顔を上げ、驚きの表情を浮かべてコクリと頷く。
 真は美由紀の顔を真っ直ぐ見つめ、痛ましげに目を伏せると
「不感症とお聞きしましたが、この状態では仕方がないですね…。気脈がかなり乱れています。これを元に戻すと、貴女の身体も様変わりしてしまいますが…構いませんか?」
 美由紀は、全く意味が解らない事を問い掛けられ、真の言葉の意味を問い返した。
「あ、あの…私には良く分かりませんが…この身体が更に変わってしまうんですか? それって…私の身体が…どう成るって、事なんですか?」
 美由紀は自分の身体が、更におぞましく変化すると感じたのか、ブルブルと震え始めた。

■つづき

■目次3

■メニュー

■作者別


おすすめの100冊