夢魔
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■ 第27章 誓約1

 春菜は朝、腕の痺れと痛みのために、目を覚ます。
 春菜は腕をタオルで縛り上げ、ベッドの上部に固定した状態で目を覚まし、身体を起こした。
 昨晩の事を思い出し、春菜はうなだれ、にじみ出した涙を拭う。
 自ら縛り上げたタオルを歯でくわえて外すと、布団を捲り上げる。
 布団の下から現れた股間には、疑似男根をタオルで丁寧に覆い、覆ったタオルをテーピングで固定していた。
 庵の手によって取り付けられた、疑似男根の性能に、春菜はこうせざるを得なかったのである。
 無防備な状態で男根に触れると、その刺激は容赦なく直接オ○ンコ内に届き、官能を掻き立てた。
 少しでも刺激を和らげるため、タオルを巻き付け保護したのだ。

 だが、それも意識が有るうちは効果があったが、眠ってしまうと駄目だった。
 意識がなくなると、手が自然とまさぐってしまい、快感に驚き目を覚ます。
 春菜は仕方なく、自らの手をタオルで結び、そのタオルを更にベッドの端に固定し眠りについたのだ。
(身体の疲れが…取れていない…。ボールを受けた所が、あちこち痛むわ…)
 春菜は立ち上がると鏡の前に移動し、パジャマの上を脱いだ。
 昨夜からパンティーも着けられず、下半身は剥き出しのままで有った。
 パンティーを穿き固定されると、腰の動きだけで布が疑似男根を刺激し、快感が込み上げて来るからだった。
 全裸の姿を鏡に映し、あちこちに散らばる青痣赤痣を見て、昨日の試合を思い出しガックリと肩を落とす。
(屑女って…言われた…。恥知らずな事も…身体の隅々も…情けない格好も…全部見られたって言ってたわ…。恥を晒せ…屑女として生きて行けって…命令もされた…。私は、それを守るの…? 守らなければ、成らないの…)
 春菜は鏡に映る自分の姿を見て、昨日の出来事を思い出し、心の中の声に耳を傾け唇を噛む。

 だが、どんなに取り繕おうが、春菜は屈辱の中であり得ない程の快感を経験した。
 それも、厳然たる事実である事を、春菜は深く理解している。
(あの人は…何者なの…。私より9つも下なのに、あの迫力…あの威圧感…、傅いていた前田さん…凄く綺麗だった…私も、前田さんみたいに…成れるの…? 成りたいの…?)
 春菜は胸の前で手を組み、鏡の中の自分に問い掛けた。
 暫く鏡を見詰めた春菜は、スッと視線を外し流し台に向かう。
 コップ一杯の水で口を漱ぎ、軽めの朝食を摂って、洗面台に向かった。
 歯を磨き口を漱いで顔を洗うと、春菜の表情は答えを出した物に変わっていた。
(命令に従うしかない…。それしか、道は無いのよ…。あの試合の様子はビデオにも撮られている筈だし、従わなければ、きっと公開されてしまう…そうなったら、私はどこにも逃げ場所が無く成ってしまう…。きっとそう成ってしまうわ)
 春菜は自分が納得する理由を付けて、決意を固める。

 鏡の前に戻って来た春菜は、疑似男根に巻き付けて有るタオルに手を伸ばし、テープを外す。
(これも、取っておかなくちゃ…絶対、こんな物でカバーする事を、あの人は許さない筈…。絶対そうよ…)
 春菜は自分でそう決めつけ、疑似男根を晒した。
 春菜は自分で気が付いていない。
 疑似男根を見詰める自分の瞳が、妖しく濡れ光り頬が紅潮している事を。
 春菜は素肌の上に、ブラウスを纏い、男根が目立たないように、フレアーのスカートを穿くと、化粧を始める。
(あの人は命じられた…。屑女として恥を晒せって…。屑女には下着なんか要らない…。ううん、着けちゃ駄目なの…)
 春菜は鏡に向かい、念入りなメークをすると、仕上げに赤いルージュを塗った。

 春菜の顔は、いつもの溌剌とした女教師の顔では無く、発情した牝の顔をしている。
(そう、これが屑女の顔…イヤらしくて…発情した…女の屑の顔なのよ…)
 春菜は自分で自分を蔑み、オ○ンコからジクジクと愛液を滲ませた。
 疑似男根の底部には、いくつかの穴が開いており、通常時はオ○ンコに溜まった愛液は、何の障害も無く体外に排出される。
 つまり垂れ流し状態に成っていた。
 春菜のスカートには、直ぐに愛液のシミが広がり、腰掛け椅子をベトベトにする。
 しかし、春菜はもうそんな事、気にもしなく成っていた。
 春菜は立ち上ると、直ぐに学校に向かう。
 庵の命令通り、屑女として恥を晒しに行くのだった。

 春菜が学校に着くと、驚いた事に早朝にも係わらず、数人の女教師が登校していた。
 国語科の町田直美と鈴木奈々、社会科の坂下恵美と牧村光、それに同じく社会科の叶志保里の5人が、昨日と同じ服を着て、机に座っている。
 5人は皆、一様に普段と態度が違っていた。
 直美と奈々は項垂れながら、時折ボソボソと小声で話をして溜息を吐き合い、何かを相談している。
 光は腕や足に縄の跡をクッキリと残し両手で頬杖をついて、蕩けたような表情で視線を宙に漂わせ、時々ニヤニヤと思い出し笑いをして、身体をくねらせた。
 恵美は真剣な表情でジッと机の一点を見詰め、光が笑うとそちらをチラリと覗き、また元に戻るを繰り返し、志保里に至っては、真っ赤に紅潮した顔を泣きそうに歪め、俯きながらブツブツと口の中で何かを呟いていた。
 そんな異様な雰囲気の、5人の女教師は扉が開く度、弾かれたように視線を向ける。

 職員室に教師の数が増え始めると、直美と奈々が立ち上がり、そそくさと職員室を出て行く。
 2人は職員室を出ると、人気の無い教室棟の階段室に移動し、会話を続ける。
「ねぇ、どうするの? 本気で直ちゃん大貫先生に、従うの? 昨日のあれ、絶対変だったわよ!」
「でも、奈々ちゃんは逆らえるの? あの、大貫先生と大城先生に…。ううん、それだけじゃない…、あの黒澤先生に…奈々ちゃん逆らえるの?」
 2人は昨夜の誓いを本当に実行するかどうかを、真剣に話し合い、何度目かの同じ結論に達する。
「無理…黒澤先生に逆らうなんて…、絶対に無理よ…」
 2人は項垂れ、溜息を吐き合った。

 溜息を吐いた奈々が、ボソリと呟く。
「いっその事…この学校辞めて…、逃げ出そうか…?」
 奈々の呟きに、弾かれたように顔を上げた直美は
「そんな事したら、もう二度とあんな事出来ないじゃない!」
 思わず本音を奈々にぶつけてしまう。
 奈々は驚いた顔で、直美を見詰め
「な、直ちゃん…貴女、昨日のあれ…忘れられ無く成ったの…」
 直美に問い返した。
 直美は両手で口を押さえ、[しまった]と言う顔をして、奈々を見詰めコクリと頷いた。

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