夢魔
MIN:作

■ 第27章 誓約11

 小室が車を走らせ出した頃、体育教官室では全裸に成った恵美が、項垂れて立っていた。
 山孝は姿勢を正し、立ちつくす恵美の裸身を、黙って見詰めている。
 恵美はその沈黙が堪らなく成り、顔を上げ泣きそうな表情を山孝に向けると
「な、何かお命じ下さい…。この貧相な身体を…マジマジと見詰められるのは…私には…耐えられません…」
 身悶えしながら、必死に懇願した。
 山孝はユックリと立ち上がると、恵美の前に立ち
「何を言っている…お前にそんな権利は無い。お前に、一切の自由は無い。選ぶ事も許さん! お前は俺の命令に従う事だけを考えろ」
 恵美の少し小振りだが美しい形の乳房を、握りつぶしながら低い声で命じる。

 恵美は眉根に苦痛の皺を作り
「は、はい…申し訳御座いません…」
 その痛みに耐えながら山孝に謝罪したが、恵美は心の中で全く違う事を思っていた。
(放って置かれるのは嫌…、まだ苦痛を与えられた方がまし…。痛みに集中出来るもの…、余計な事を考えなくて…済むもの…)
 恵実が山孝に意見を言ったのは、叱責や恥辱を与えられる事を承知で、切り出したのだった。
 自分が何も考えず、ただ与えられる事柄に、単純に反応する事で不安を埋める。
 恵実はそんな思いの中、山孝の叱責と与えられた痛みにホッとしていた。

 恵美は自分の性格が、嫌いだった。
 思慮深いと言えば聞こえは良いが、マイナス思考で、常に悪い方へ物事を考え、動け無いだけの自分の性格が、心底嫌いだったが、それを直す術も無くただ漫然と嫌悪していた。
 そこに、圧倒的な指示力を持つ山孝が現れ、自分の行動を全て指示し、考える暇を与えない強制力で、恵美を押し流した。
 屈辱も苦痛も恵美にとっては、忌避すべき事柄であったが、それ以上に強制力のある言葉に、恵美は知らず知らず惹かれていく。
 恵美は自分で気付かないまま、山孝の支配を望んでいたのだった。

 山孝は恵美の乳房を掴んだ右手を強く引き込み、左手で頭を押さえ、恵美の脱ぎ捨てた服に押しつける。
 恵美は山孝の無言の行動を察し、自分の洋服を口にくわえた。
 山孝は恵美が洋服をくわえた事を確認すると、足先で軽く恵美の横っ面をこづき方向を示す。
 山孝が示した方向には、ドラム式の乾燥洗濯機が置いてあり、恵美はそこに進むよう促された事を理解する。
 恵美は一瞬迷ったが、そのまま四つん這いで這い進もうとすると、いきなりアナルに指を差し込まれ、強く上に引き上げられた。
「がひぃ〜〜〜っ!」
 余りの痛みに、恵美が悲鳴を上げ、洋服を取りこぼすと、すかさず山孝の足が、恵美の後頭部に乗り、床に押しつける。
 恵美はお尻を高く上げたまま、床に落ちた洋服の上に顔を縫い止められた。

 山孝は恵美の下半身を、アナルに突き刺した指で、持ち上げながら
「俺の指示した事は、どんな事があっても、途中で止めるな…。絶対にだ!」
 恵美に命じ、足を後頭部から下ろすと、更に腕に力を入れる。
 恵美の足先が完全に宙に浮き、ブラブラと揺れた。
 山孝は恵美のアナルに差し込んだ指1本で、恵美の下半身を完全に吊り上げる。
「ぎひぃ〜、はぁ〜、ぐぅ〜〜〜っ…は、はい…わかり…わかりました…以後…、肝に銘じ…ます〜〜〜っ!」
 恵美は目を大きく見開き、余りの激痛に、全身に脂汗を流しながら、必死に返事を返した。
 山孝は恵美のアナルから、指を引き抜くと恵美の顎の下に、足を差し込み軽く顎を蹴り上げる。
 [カツン]と恵美は歯を鳴らし、顔を跳ね上げさせられると、山孝は左手で恵美の髪の毛を掴み、アナルに差し込んでいた指を、恵美の口の中に無造作に差し込んだ。
 無造作に差し込まれた山孝の爪で、恵美の舌が軽く抉られ、血が滲み出す。

 恵美は侵入して来た山孝の指に、丁寧に舌を絡めて舐め清める。
 山孝は指を引き抜くと、再び恵美の頭を踏みつけ、洋服に押しつけた。
 恵美は何も考えず、山孝の行動に全て従った。
 従順に山孝の示す通り、その身体を行使する。
 恵美は高足の四つん這いで、自分の洋服をくわえ洗濯機に進み、扉も歯で開け洋服を放り込むと、思わぬ場面に出くわす。
 山孝が無言で、洗剤を放り込み、柔軟剤まで量って注いだのだ。
 恵美が呆気に取られていると、山孝の足が飛び恵美の脇腹を蹴り上げる。

 恵美は直ぐに洗濯機の蓋を閉め、操作パネルを覗き込むと、鼻の頭でタッチパネルを操作し、洗濯を開始させた。
 この時恵美は、全て理解した。
 山孝の無言の暴力的な行為のタイミングは、常にワンテンポ間が空いている事に気付く。
(これは…教育…。孝三様の教育なんだわ…私が、一瞬でも躊躇したり、意図に反した事をすると、孝三様の行動は荒く激しくなる。でも、正しい事をすれば、孝三様は何もしない…ううん…手助けすらして下さる…。これは、私に行動を考えるように…促されてるんだわ…)
 恵美は高足の四つん這いの姿勢で、山孝の顔を見詰めると、山孝も恵美を見ていた。
 恵美は山孝と目が合った瞬間、ぺこりと目を伏せ目礼する。
 山孝は恵美が自分の意図を理解した事を知り、にやりと微笑んだ。

 恵美は山孝の微笑みを見た瞬間、自分の身体の反応に驚いた。
 恵美の心臓はドキリと高鳴り、子宮の奥が熱く成って、膣壁がビクリと大きく震えたのだ。
 当然その反応を、恵美の身体の奥に仕掛けられた機械が、見逃す訳も無く、その機能を発揮し始める。
 乳首とクリ○リスと言う最も敏感な部分に、振動が加えられ快感を増幅され、体奥に付けられた機械が同調を始めた。
 恵美はドンドン広がる快感で頬が紅潮し始めても、山孝が視線を外さないため、ジッとその顔を見詰める。
 恵美の高く掲げたお尻が、ビクビクと震え、体中の力が抜けそうになっても、山孝の視線を受け止め続けた。
 恵美はジッと山孝の顔を見詰め続けながら、ビクリと大きくお尻を跳ねさせ、電撃を受けた事を山孝に知らせる。
 山孝はそんな恵美を見下ろし、にやりと笑うとポンポンと恵美の頭を軽く叩いて、視線を外した。

 恵美は自分の考えが正しかった事に、喜びが込み上げてきた。
 山孝が椅子に戻り始めると、恵美は誇らしげに顔を上げ、その後に従った。
 心の奥底で、自分を強く引っ張ってくれる者を求めていた女の前に、それを具現化する者が現れたのだ。
 恵美の場合それが、サディストと言う形を持った、圧倒的支配力を行使する雄で有っただけだった。
 恵美は自分の心落ち着く場所を、サディストの対に成る、マゾヒストという場所に決める。
 その場所は知らず知らずのうちに、自分の中に用意されていた。
 後は知覚し、認め、のめり込んで行くだけだった。

■つづき

■目次3

■メニュー

■作者別


おすすめの100冊