夢魔
MIN:作
■ 第27章 誓約24
大貫は鞄の中から金属の棒を取り出し、2人の目の前に放り投げる。
カランカランと音を立て、その棒が2人の頭のすぐ前に止まった。
「それ、何する物だか解る?」
大貫の問い掛けに、直美と奈々は顔を上げ、すぐ前に有る鉄の棒を手に取った。
その鉄の棒は長さ50p程の棒の先に、同じく鉄で作られた漢字が付いている。
その漢字は10p四方の大きさで[奴]と読み取れた。
「その文字は、まだまだバリエーションが有るの[隷]でしょ[豚]に[牝]、[変態]や[便所]なんて物もあるわ」
大貫の質問に、2人はそれがなんに使われる物だか、ハッキリと理解した。
直美と奈々は顔を引き痙らせ、鉄棒を見詰めていると
「後、こんなのも有るわよ。これ、何するか解る?」
大貫はそう言うと、9本の細いしなやかなワイヤーを一本にまとめ、そのワイヤーの先に5o程の大きさの鉄球が付いた鞭を見せた。
直美と奈々がその鞭をマジマジと見詰めると、鉄球にはそれぞれ、3o程の牙のように曲がった鉄棘が、放射状に付いている。
「これで打たれるとね、皮膚はズタズタに引き裂かれ、下手をすれば筋肉まで切っちゃうのよ…。勿論この鞭の跡は一生涯消えない…。何せ傷口は平行に付くから、お互いの傷口が引っ張り合っちゃって、グスグスに崩れちゃうの…」
歌うように嬉しそうに告げた。
大貫の言葉を聞いていた直美は、顔面を蒼白にしながら、大貫に頭を下げ
「お好きな罰をお与え下さい〜。どんなに、痛くても、一生消えなくても構いません! 私に謝罪と服従するチャンスを頂けるなら、どんな事でも堪えます〜」
固い決意を大貫に示した。
「わ、私も同じです。どんなに酷い仕打ちでも、それは私の犯した罪に対する、大城様の寛大な罰として、この身体に刻みます。どうか、罰をお与え下さい」
直美に引き続き、奈々が平伏して決意を口にする。
大貫は大城の方を見ると、コクリと頷く。
大城は大貫に頷かれると、両手を上に差し上げ、ユックリ背中に回しジャケットの襟首に手を差し込むと、ユックリ引き上げた。
大城の引き上げられた両手には、一本ずつ騎乗鞭が握られており、右手に持った鞭を恭しく、大貫に差し出した。
大貫は鞭を受け取ると、跪いた直美の頭に足を乗せ
「良い、鞭打ち50回よ。貴女達は、一発撃たれる毎に、その不遜な態度と、お馬鹿な行動を、私達に心の底から詫びなさい! 解った?」
直美に命令する。
直美は床に額を擦りつけ
「はい、心の底から謝罪させて頂きます!」
大貫に大きな声で返事をした。
直美の横で奈々が同じように大城に頭を踏まれ、同じように返事を返す。
直美と奈々の謝罪と罰の鞭打ちが始まった。
2人は50回心の底からの謝罪を述べ、みみず腫れを背中とお尻に刻みつける。
大貫と大城は満足そうな微笑みを浮かべ、その謝罪を受け容れた。
黒澤は大貫と大城の鞭打ちを眺めながら、携帯電話を取り出し、電話を掛ける。
数度のコールで、直ぐに相手が電話を取ると
「私だ、今小会議室にいる。来なさい」
用件だけ告げ、さっさと電話を切って、ポケットに入れた。
黒澤が携帯電話を切り終わると、大貫と大城の鞭打ちも終わり、直美と奈々は感謝の言葉を告げている。
すると小会議室の扉が一度動き、鍵が掛かっている事を知った、扉の向こうの人物がノックをした。
黒澤が頷くと、大城が素早く近づき、室内が隠れるような位置に立って内鍵を外す。
扉を開けて外に立っている人物を確認すると、大城の身体から緊張が抜け
「お入りなさい…」
優しい声を掛け、招き入れた。
小会議室に小さい影が現れ、ちょこんと頭を下げ
「ご主人様〜、牝奴隷の由香お召しにより、参上しました〜」
嬉しそうにニコニコ微笑んで、黒澤に告げる。
黒澤が手招きすると、由香はチョコチョコと駆け寄り、黒澤の足下にペタンと正座し、頭を下げて足先に口吻をする。
黒澤がスッと手を伸ばし、直美と奈々を指さすと、由香は今気付いたような表情を向け、2人を見た。
「今から、由香のお友達に成る、直美と奈々だ…。仲良くして、礼儀を教えて上げなさい」
黒澤がそう告げると、
「はい、ご主人様〜。これから仲良く致します〜」
由香は嬉しそうな舌っ足らずの口調で、黒澤の指示を受け取った。
直美は大貫にひれ伏し、奈々は大城にひれ伏すと
「町田直美はこの身体の所有者を、大貫紗英様とし服従を誓います〜」
「鈴木奈々は大城洋子様を所有者とし、服従する事を誓います」
それぞれ誓いを立て、首輪を与えられる。
2人はそれぞれの首に、黒い犬の首輪を嵌ると、それぞれの主人に銀と白の南京錠を掛けて貰う。
由香が黒澤の足下から、直美と奈々の元に進んで、2人に抱きつくと
「へへへっお揃いだね〜」
ニコニコ微笑みながら、首輪を撫でる。
直美と奈々は嬉しそうに微笑み[はい]と答えを返した。
そんな中、由香が有る事に気が付き
「あ〜っ! ご主人様の指輪〜。どうして、大貫先生がしてるんですか〜?」
大貫に素っ頓狂な声で、質問する。
大貫は由香に微笑み
「私も黒澤様に服従を誓い、奴隷の一人に成ったの、これは首輪の代わりなのよ」
黒澤に服従した事を教えた。
「あ〜っ、良いな〜…大貫先生、特別な奴隷さんなんですね〜…。羨ましいです〜」
由香がそう言うと、大貫は頬を真っ赤に染め
「そ、それはそうよ…。だって、私は…ほら…サディストだし…。調教する身だもの…。もう、イヤな子…」
しどろもどろに成りながら、プイッとそっぽを向く。
黒澤がそんな大貫に
「紗英、その程度で狼狽えるな…、主人は、何時如何なる時でも、揺らいではいけない…」
静かに優しく注意を与えると
「はい、以後気をつけます…」
シュンとした表情を浮かべ、謝罪した。
黒澤は大貫の謝罪を受け取ると
「ここにいる者は、全員私の奴隷だ。私の指示に無条件で従え」
低い声で全員に宣言した。
小会議室に居た5人の女性達は声を揃えて
「はい、解りました。ご主人様」
黒澤に返事を返した。
■つづき
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