夢魔
MIN:作

■ 第28章 暗雲5

 学校で職員会議が開かれている頃、竹内邸に一人の来訪者が有り、竹内本人が相手をしていた。
 竹内はソファーに浅く腰を掛け、両足を開いてその来訪者と対峙し、来訪者もまた浅くソファーに腰を掛け両足を開いて、竹内と会話を交わしている。
 二人の股間には、メイド服を着た女性がそれぞれ跪き、股間に顔を埋めて奉仕を行っていた。
「で、どうなんだ? 竹内…儂の申し出を断るか? 悪い話じゃないだろ…」
 そう言った来訪者は、年の頃は竹内と同年代の50代前半で、中肉中背の老紳士と言った面持ちだった。
 柔和そうな顔の真ん中にある目は、炯々と輝きを放ち、その本性を露わにしている。
 老人の名前は田口洋一(たぐち よういち)以前キサラと共に、稔の野外輪姦調教に参加した老人だった。
 田口は、都内や関東近辺に、多数の土地を所有する土地成金で、キサラのクラブの大口出資者である。

 田口の申し出に、竹内は何も答えずジッと考えていたが
「確かに、お前のコネクションと金は魅力じゃが…、お前の考えが解らん…。マムシの田口を、腹の内に抱え込むリスクを考えると、その魅力もかなり色褪せざるをえんだろ…」
 爛と瞳を輝かせて、田口を見詰め渋い声で答えた。
「おいおい、そんな何十年も前の呼び名で、儂を呼ぶなよ…。今は、引退して趣味に生きる、ただの爺なんだからよ…そりゃ、昔は阿漕な真似もした。だが、今はそれなりに上り詰めたから、そんな事してねぇよ…。それにそれを言うなら、今のお前の方がよっぽど悪どいぜ」
 田口は鼻で笑うと、股間で奉仕し続ける女の髪の毛を掴み、喉奥にチ○ポを差し込む。
 女は嗚咽を漏らしながらも、懸命に口淫奉仕を行い、刺激を送り続ける。

 田口の言葉を聞いた、竹内はニヤリと笑いながら
「確かにそうかもしれん…。かなり、悪どい事だな…」
 ボソリと呟いた。
「学校一つ買い取ったと思ったら、とんでも無い事に使いやがる…。儂もサディストじゃが、学校一つ丸々を奴隷農場にしようなんて、普通考えつかねぇぞ…。そこ迄、鬼畜になってるとは、思いもよらなかったぜ…」
 田口が呆れ果てて、竹内に言うと
「それをどこからか嗅ぎ付けて、一枚噛もうと考えるのは、同じ穴のムジナと言わんのか?」
 竹内がすかさず突っ込む。
 竹内の突っ込みに田口がニヤリと笑うと、2人とも声を上げて笑い始める。

 竹内はひとしきり笑った後、真顔に成り
「良いだろ…お前の金とコネクション使わせて貰う。先ずはそうだな…、今まで使った金の半分7億用意しろ、そうすれば、お前は俺の共同出資者だ。だが、計画は儂の物だから権利は3割で、当然利益も3割だ。昔からのよしみだから、これでも、大盤振る舞いだぞ」
 田口に条件を伝えた。
「フン、強突張りが…。だが、お前の言う通りかもしれん、お前にしては大盤振る舞いだな。良し、その条件で乗った! 但し、柳井の育てた奴隷、5人の権利は儂が貰うぞ、儂の方の条件はそれが最低条件だ」
 田口は竹内の条件に納得して、自分の条件を竹内に告げる。
「ふん、5人ぐらい呉れてやる。好きにすれば良い…」
 竹内は鼻で笑って、田口に梓達5人の身柄を、譲り渡す事を約束した。

◆◆◆◆◆

 町外れの小さな病院の病室に、一人の男が見舞いに現れた。
 男は受付を通り、入院患者の名前を告げて病室を聞き、廊下を歩いている。
 男は中肉中背で、何の特徴もない顔をして、手にケーキの箱をぶら下げていた。
 男が目的の病室を見つけると中に入り、ベッドで横に成った男に声を掛ける。
「東君…具合はどうかな?」
 男が問い掛けると、横になっていた男は暫く、見舞客をジロジロ見て、不意に目を大きく開けて
「さ、佐山さん…どうして、俺なんかの所に…。俺、クビに成ったんじゃ無いんですか?」
 東は驚きながら掠れた声で、見舞客佐山に問い掛けた。

 佐山はにこりと微笑むと
「君は何か勘違いをしていますよ。君は、元々私達と雇用関係には無かった、そんな契約書は無いし、君が私達のために何かをした事など無い。君が今までした事は、あくまで君の判断で、行ってきたんだ…。そこをはき違えて貰っては、困るね…」
 佐山が東にそう告げると、東はグッと言葉を飲み込み頷く。
 東が黙り込むと、佐山は更に話を始める。
「所で一つ聞くが、君をこんな病院に押し込んだ原因を作った、垣内という少年…彼をどう思う?」
 佐山の真意を測り兼ねながら
「あれは、化けモンですよ…」
 東はボソリと呟く。

 佐山はそれを見詰め、東に近づくと
「その垣内に、復讐するチャンスが現れたら、どうする?」
 ソッと耳元に囁いた。
 東はその言葉を聞いて、目の奥に鬼火のような光を宿らせ
「殺す! 全身ボロボロにして、二度と立ち上がれないように、ズタズタにしてやる!」
 込み上げる怒りで、身体を震わせたが、直ぐにそれは別の震えに変わり
「だが、あいつには、何十人居ても、何百人居ても勝てる気がしない…」
 直ぐに目の光を、負け犬のそれに変え、ボソボソと呟いた。
「その垣内が、もし無抵抗な状態に成ったら、君はどうしたい?」
 負け犬の目に成った東の、両の目が大きく見開き、佐山の顔を見詰め
「そ、そんな事、出来るのか? もし出来るなら、俺は何でもする! いやさせて下さい!」
 東は佐山の身体を掴んで、必死の形相で訴えた。

 佐山は東に力一杯腕を握られ、顔を不機嫌に歪め
「放しなさい!」
 強い声で命じる。
 東はその声で我に返り、佐山の腕を放して謝罪した。
 佐山は身体を東から離すと、東に向かって
「私が電話したら直ぐに人数を集めなさい、きっと君に取っても、私に取っても有意義な結果が、現れるでしょう」
 能面のような表情で、静かに告げた。
 東は何度も頷いて、必ず人数を集め、指示に従う事を約束する。
 佐山は東の言葉に頷くと、見舞いのケーキをテーブルに置いて、帰った行った。

◆◆◆◆◆

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