夢魔
MIN:作
■ 第28章 暗雲21
翌日稔が学校に着くと、首輪教師が5人増えていた。
黒首輪と赤首輪が2人、青首輪が1人であった。
これでそれぞれの合計は、黒首輪が5人、赤首輪と青首輪が3人づつである。
終業式に登校して来た生徒達は、皆この首輪の教師の姿を見てギョッとしたが、教師達が何も触れない事を知り、質問する事も出来ず遠巻きに見ていた。
そんな中、稔は黒澤グループと主立った教師を集め、昨日の事件の事を知らせる。
用務員の玉置が事故に遭った件は、皆平然と聞いていたが、庵が暴漢に遭って入院した件は、かなり驚いていた。
稔は話を終えると、黒澤グループに2体目の奴隷をチョイスさせ、黒澤グループの教師達は3人の候補者を選ぶ。
用件を終え解散したが、黒澤は庵が怪我を負った細部について興味を示し、個人的に稔に質問しに来た。
その庵の話を、稔と黒澤が話し込んでいる所、廊下の隅で春菜が偶然耳にする。
春菜の耳には断片的にしか情報が入って来ず、細部は解らないものの、稔が最後に言った[と言う訳で庵は6ヶ月リタイアです]と言う言葉に、愕然とした。
(6ヶ月…6ヶ月も経ったら、マジックの字が消えてしまう…そうしたら私、あの方の前に出られない…。そんな…私はどうすれば良いの…)
呆然として俯いている春菜を、教頭が見つけ
「おお、霜月先生お早う、今日も楽しませて貰いましょうか」
春菜の腕を掴んだ。
諦めた表情の春菜は、スッと教頭に身体を寄せ
「はい、教頭様、今日も屑女でお遊び下さい…」
教頭にだけ聞こえるように小声で囁くと、教頭の後ろについて行く。
教頭は昨日1日で、3度春菜を捕まえ、その度に趣向を変えて春菜を犯した。
だが、春菜の疑似男根の意味を分かって居らず、未だ手を着けていない。
春菜にとっては、それが唯一の救いでも有った。
[このまま行けば、3日間我慢出来る]春菜は本気でそう思っていた。
しかし、庵の入院のためその光明も見出せ無くなり、春菜の心は絶望に包まれる。
そんな春菜とは裏腹に、にこやかな美貌で笑顔を振りまき、生徒達に注目される一人の女教師が居た。
稔により昔からの誓約を永遠に解消して貰い、心から尊敬出来る男性に出会い寄り添い、その男性の婚約者からも認められ、愛人の地位を手に入れた、新庄美由紀である。
美由紀は何の不安も無くなり、昨夜は自宅で心から安らいで、英気を養ったためその美貌は輝くようだった。
心機一転、身につけている物は、全て昨日購入した物ばかりで、清々しい朝を迎え明るい笑顔を振りまいている。
その美由紀を火の出るような視線で、睨み付ける女教師。
稔により美由紀に対する全ての権限を剥奪され、今後一切の関与を禁止された、白井良子だった。
白井は昨日、美由紀を奪われながらも、新たに奴隷を一人堕としていた。
だが、その手口は強引な[脅迫]で有るため、白井の性癖を満たす迄には、まだ時間が掛かる。
そのため目はつい昔の奴隷に向くが、その姿を見る度に、屈服した屈辱が込み上げた。
そして真の登場で、白井の視線は更にヒートアップする。
真の姿を見て、嬉しそうに微笑み頬を赤らめる美由紀、その美由紀に優しく微笑みかける真。
その光景を見て、白井は我慢成らなかった。
白井は自分が、極度の淫乱だと自覚している。
そのため、今まで男と関係を持っても、ただの一度も満足した事など無かったのだ。
それが、真に抱かれて初めて、自分が一方的に絶頂に押し上げられ、あまつさえそれは技術の片鱗だと言う。
白井にとって、神の配剤とも思える、出会いだったのだ。
所が、当の真は自分を振り返るどころか、蛇蝎のごとく嫌い、自分の所有物であった美由紀を気に入ってしまった。
憤怒の嫉妬心を燃やし始めた時、自分は2人から遠ざけられ、蚊帳の外に追いやられてしまう。
解消する事の出来ない憤怒の嫉妬心は、地獄の業火さながら燃え上がり、白井の心を歪めて行く。
職員室の扉が開き、朝の儀式を終え主人のもとから戻って来た、恵美と光が現れた。
今日は体育教官室で、同姓の光子に見られながらの、陰毛の処理だったが、仲間が2人増えていた。
それは体育科の教師2人だった。
この学校には、男性体育教師2名、女性体育教師3名が居て、それぞれの女性教師は1年から3年の女子を担当し、男性教師は1・2年の男子を担当している。
新しく増えた奴隷教師は一人は青い首輪に銀色の鍵、もう一人の奴隷教師は赤い首輪に白の鍵をしていた。
4人の奴隷教師は、それぞれ机の上に開脚して座り、自らの手で1本1本産毛まで毛抜きで引き抜いた。
恵美と新入りは頬を羞恥に染めて、陰毛を抜いていたが、光は肌のお手入れと言わんばかりに、平然とした表情で引き抜く。
そんな儀式を終えた2人は、自分の席に座りモジモジと足を摺り合わせ、お土産に付けられた、両穴に刺さるバイブの感触に頬を染めていた。
別の場所では、一見葬式会場かと思うような、黒の集団が居た。
黒いスーツに黒のタイトスカート、その中に黒い首輪をした女教師が5人。
明るい茶色のタータンチェックのジャケットを着た、黒澤の周りに屯している。
黒澤が何か一言二言話すと、先頭にいた大貫と大城がペコリと頭を下げ、4人の首輪教師を連れて行き、一人残った由香がチョコチョコと給湯室に走って行って、黒澤に紅茶を淹れ戻って来た。
黒澤はその紅茶を一口飲んで、微笑みながら何かを告げると、由香は嬉しそうに顔を綻ばせる。
その光景を面白くなさそうな顔で、井本がジッと見詰めている。
井本は昨夜黒澤達のヘルプを受け、自分の第1奴隷を堕としていたのだが、自分に服従する事を頑なに拒み、黒澤に服従を捧げてしまった。
黒澤の説得も効をそうさず、結局黒澤が大貫と大城の薦めを受け、井本に断り主従関係を結んでしまう。
実質黒澤は全く悪くないのだが、井本に取っては、腹が立って仕方がなかった。
井本と黒澤の人間的な厚みや、サディストとしての資質の違いが原因なのは、井本自身解っているが、井本の苛立ち不満は募り、ついに黒澤自身の存在のせいにしてしまう。
井本は黒澤に対して、暗い炎を燃やし始める。
朝の雑然とした雰囲気と、別世界の雰囲気が混じり合う職員室で、ある女教師達は中心にいる教師を見ながら、コソコソと頬を赤らめ話し合い、ある女教師達は俯いて視線を逸らし見ないようにして、ある女教師達はあからさまな嫌悪感を表情に浮かべる。
そんな中、春菜が職員室に入って来て自分の席に座ると、一斉放送が流れ出し、教頭の声で終業式を講堂で行う連絡放送が流れた。
職員室の教師達は、皆それぞれ立ち上がり、殆どの者が重い溜息を吐きながら、講堂に向かう。
この計画の本質を知るものだけが、ほくそ笑みながら講堂に向かった。
歯車は回り始め、プログラムが動き出す。
様々なバグを新たに生み出し、それらを孕んで行きながら。
■つづき
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