夢魔
MIN:作

■ 第28章 暗雲38

 明日香は車に向けていた視線を狂に戻し、無言で大きく頷くと、黒塗りのベンツを指差して
「トランクに入れて、連れ出しました…。でも、そう長く置いておく事も出来ませんし…、屋敷に連れ帰ると、どこにも隠す事が出来ません…。あの屋敷内では、私達は声を上げる事を禁止されています。ですから、赤ん坊の泣き声なんか、直ぐに響き渡ってしまいます…」
 狂に告白すると、狂は驚きながら車に近づき、明日香にトランクを開けるように指示する。
 狂の指示に頷いて、明日香がトランクを開けると、中にバスタオルでくるまれ顔だけ出し、口をガムテープでしっかり閉じられた、赤ん坊が出て来た。

 見た目はかなり酷い対応だったが、明日香にすれば全て意味が有る物だった。
 着ていたベビー服は、生肉を中に詰め犬の檻に吊るし、赤ん坊の身代わりにして、ベビー服の代わりにバスタオルを何枚も重ね、体温の維持と衝撃を吸収するために巻いた。
 赤ん坊が暴れて、バスタオルが取れないように、外側からガムテープを巻き、泣き声が出ないように、口を塞ぐ。
 狂が赤ん坊を抱え上げ、口のガムテープを丁寧に剥がすと、弱々しい鳴き声が口から漏れる。

 狂は直ぐに赤ん坊の身体に巻かれたバスタオルを解き、数枚だけ軽く巻き付けると
「危ねぇ所だった…。後数分で、多分この赤ん坊、障害を持つ所だった…。覚えときなよ、赤ん坊は鼻だけで呼吸出来ない…。それに、体温調整も上手くできないから、寧ろ少し寒いぐらいで置いていた方が良いんだ…。夏場だったら、裸で充分だ。これだけくるんだら、体内に熱が籠もりすぎて、簡単に脳細胞をやられちまう…」
 赤ん坊を器用に抱き上げ、明日香に微笑んだ。
 明日香は狂の手慣れた動きと、説明した言葉に驚き、何度も頭を下げる。

 狂は優しい笑顔を浮かべ、赤ん坊をあやしながら
「何で、俺にこの子の事を告げた?」
 明日香に問い掛けると、明日香は俯きながら
「は…い…。あの〜…、失礼な物言いかも知れませんが…。今日来られた方…。いいえ、あの館に来られた方の中で、一番…その〜…まともに…お見えした物ですから…。いえ、あの、決して変な意味ではなくて…どう言って良いのか分かりませんが…とても、お優しい方だと…あの…上手く言えなくて…本当に済みません…」
 しどろもどろに、狂に説明した。

 しかし、明日香の言葉は裏付けを持って、立証される。
 狂が抱き上げ、あやしていた吉松の娘は、いつの間にか安らかな寝息を立て、狂の腕の中で眠っていた。
 その安らかな寝顔が、狂の本質を表している。
 狂はその赤ん坊の寝顔を[ケッ]とバツが悪そうに言いながら、優しげに見詰め
「こいつは、責任持って俺が然るべき処置をする…。お前はもう心配するな…」
 明日香に静かに告げた。

 明日香は10歳も年の離れた狂が、遙かに大人に見え、頬を染めながら何度も頷く。
(この、男の子…凄い…。外見はお人形さんのように、華奢で儚そうだけど…。男性…、ううん…どんな、男の方より魅力的な男性…。不思議な程心が落ち着いて…頼れる…男性…。本当に、凄い方…)
 明日香は狂の態度、仕草、雰囲気、その全てに強く惹かれるが、高校を出て直ぐに伸一郎に囚われ、自我を殺し続けた明日香には、その気持ちが[恋慕]だと気付かなかった。

 そんな明日香に、狂が赤ん坊を木陰に寝かせ、近づいて無造作に告げる。
「取り敢えず、スカートを捲って、パンティーをおろせ。降ろしたらサッサと車に入れ。余り時間を掛けると厄介になる」
 明日香は余りに唐突な、狂の言葉に耳を疑ったが、命令される事に慣れた明日香の身体は、直ぐに反応しパンティーを取り去った。

 狂はベンツに明日香と共に乗り込むと、シートをリクライニングさせ、いきなり明日香を貫き
「出来るだけ、大きな声で反応しろ…。こんなに長い時間、お前がここに居座ってるのは、佐山達もおかしいと思う筈だ。お前は、俺にここで犯されて、時間を食った事にしろ。声を出せば、自然とマイクが拾って裏付けに成る…」
 小声で明日香の耳元に告げる。
 明日香は狂の心配りに驚き、狂の言う通り声を上げ始めた。

 声を上げ始めた明日香は、全く別の事で驚き始める。
 狂を受け入れたオ○ンコが、異様に気持ち良いのだ。
 演技で上げ始めた声が、全く止まらないのだ。
 明日香は、快感を演じているのでは無く、自分の身体の奥底からドンドン溢れて来る事に、驚きながら翻弄され始める。
 明日香は今まで、男性を受け入れながら、感じた事がない感覚に捉われ、小さなサディストにしがみつき、命令通り身体の求めるままに嬌声を上げた。

 狂は数分で明日香の中に精を放つと
「お前のオ○ンコの具合、気に入ったぜ…。携帯の番号を教えろ…。また遊んでやる」
 明日香に少し大きな声で告げる。
 明日香はドキリと胸を高鳴らせ、モジモジとしながら上着に手を伸ばし、狂の言葉の意味に気付く
(あ、これも、芝居なんだわ…)
 明日香は狂の思慮の深さに驚きながら、携帯電話の番号を教えた。

 狂は携帯電話のメモ機能に文字を打ち込むと、明日香に見せる。
[恐らく帰ったら佐山に、お前は俺に近づいて、スパイしろと命令される筈だ。その時は素直に頷け、また会える筈だ、赤ん坊の結果はその時に教えてやる]
 狂の打った文字を素早く黙読すると、大きく頷いて了承した。
 狂は携帯電話をポケットに片づけると、車を降りて赤ん坊の所に行き、顎をしゃくる。
 明日香はその仕草に頷き、衣服を整え帰りの挨拶をして、車を走らせた。

 明日香は数分車を走らせると、膣奥からドロリと狂の精液が流れ出る感覚を感じる。
 ブルブルと身体を震わせた明日香は、頬を赤く染めスカートを捲り、パンティーの中に手を入れ、狂の精液を指ですくい取り、ジッと見詰めた。
 明日香は潤んだ目でそれを見詰め、唇を震わせながら開いて、舌を伸ばし指に絡んだ精液を舐め始める。
 ウットリとした表情で、明日香は夢中になって、パンティーを汚す狂の精液を、全て舐め摂ると[ホゥ]と熱い吐息を漏らした。
(私はあの方に命を救われたも同然…あの方に、ご恩をお返ししたい…)
 明日香は自分に理由を付け、その行動を正当化する。

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