夢魔
MIN:作

■ 第28章 暗雲45

 稔が黒澤に教師をまとめるように依頼し、狂が伸一郎の一味に入って、2日後。
 補習が始まった次の日の朝。
 京本と迫田グループに、8人の奴隷教師が揃った。

 稔は連絡を受け、それぞれのグループに集合を掛けると、総勢36名の教師が集合する。
 稔は24名が床に正座し、12名の教師が思い思いの格好で待機する中、話を始めた。
「僕が規定した、それぞれ2名の奴隷を手に入れ終えた事で、一度意思確認をしたいと思います。これは、主人になられる教師の方の試練と、奴隷に成られる方の気持ちを知るための物です」
 稔はそう切り出し、サディスト教師達を見渡すと
「この場で決まった事、示された意志、それらについて一切の不満、不平、確執は今後持たないで下さい。この結果が、貴方達の主人としての現在の資質です。今後はこの結果を踏まえて、努力して頂く事を僕は希望します」
 そう締めくくった。

 稔の言葉を聞いて、サディスト教師の一部に動揺が走り、奴隷教師もざわめき始める。
「先ず、現在まで貴方方が手に入れた、あらゆる情報の公開を禁じます。現在公開されている情報も含めて、一切の情報公開を停止して下さい」
 稔の言葉に、数人の教師が歯噛みしながら俯き、それとは逆に、口を押さえ喜びの表情を浮かべたり、目頭を押さえる教師が現れる。
「次に、直接関係の無い者への干与も、一切禁止します。先生方の家族、知人に対する如何なる行為も、接触も禁止します」
 この宣言によって、稔は脅迫による支配を禁止したのだ。

 稔は36名の教師を首を巡らせ見詰め
「今の言葉を聞いて、首輪を外したいと考えられた方は、居られますか?」
 奴隷教師に問い掛けると、8名の教師が手を挙げる。
 手を挙げた教師は、それぞれ小室、白井、森の奴隷2名共と光子と迫田の奴隷1名ずつだった。
 この結果を受け、小室と、白井、森は項垂れ、光子は驚き、迫田は苦虫を噛み潰し舌打ちする。

 稔は8名の教師に
「貴女方の意思を尊重し、今までの誓約は破棄します。もし、この中で、忠誠を捧げたいと思われる方が、お有りでしたらその方の元へ移動して下さい」
 にっこり微笑みながら告げると、4人の奴隷教師が京本、迫田、山孝、山源の元へ、フラフラと進み寄りペタリと床に正座して、頭を下げた。
 それを受けて、京本は微笑み、迫田は安堵し、山孝と山源は哄笑を上げる。
 そして残った4人は全て、黒澤の元に進み出て、平伏して頭を下げた。

 稔が結果に頷き、口を開こうとすると
「あ、あの…申し訳御座いません!」
 2人の奴隷教師がにじり寄り、稔に申し出る。
 稔が首を傾げて、2人の奴隷教師に問い掛けると
「あ、あの…。私達の忠誠をお受け頂けませんか?」
 2人は口を揃えて、稔に懇願を始めた。

 その奴隷教師の言葉で、途端に会議室はざわめき始めるが
「済みません。僕には現在、貴女達を迎えるつもりは有りません。貴女達を奴隷に迎え入れ、バランスを崩したくないと言うのも有りますが、僕には現在調教中の奴隷が2匹居て、それで手一杯なんです。言い方は悪いかも知れませんが、レベルの低い者を相手にする暇がないんです」
 稔の明確な回答と拒絶で、誰1人口を開け無く成った。

 2人の女教師は項垂れながらも、更に食い下がり
「でわ、首輪を替えずに、鍵を替える事は可能でしょうか?」
 稔に問い掛けると、井本の顔面が蒼白に変わる。
 稔に服従を申し出た2人の女教師は、井本に宛がわれた女教師だった。
 井本が蒼白な表情で、女教師を見詰める中、稔は大きく首を縦に振り
「ええ、構いませんよ。首輪を替えるという事は、主を替えるという事です。自分が服従出来ない者に、従う必要はありません。従えさせる事が出来ない者は、奴隷を持つ資格など端から有りません。それが僕の持論ですし、真理だと思っています。強制や強要は認めますが、脅迫は論外です。それは支配では絶対にありません」
 全員に告げた。

 その言葉を聞いて、有る者は納得し、有る者は睨み付け、有る者は項垂れた。
 稔は申し出た女教師に、服従したい者の所へ行くように勧めると、2人は大貫と大城の元へ進み出る。
 それを見ていた井本は、肩をガックリと落とし、自分の元から離れて行った理由を捜し始めた。
 2人が揃って女性の主人に付いたという事は、自分のSEXはそれ以下であると、烙印を押されたような物である。
(俺は、独りよがりなのか…)
 井本は項垂れ、自問自答し落ち込んで行った。

 だが、井本にはそんな落ち込む暇など無かった。
 稔が次に言った言葉に、小室、井本、白井が愕然とした表情になる。
「それでは、これで先生方の技術がお分かり頂けたと思いますので、今を持ってグループは一度解散します。これからは、それぞれのお考えで、調教・籠絡に励んで頂きたいと思います。勿論グループを作るのも、単独で行うのも構いません。次の査定迄に奴隷を多く持っていた方、若しくは換算ポイントの高い方から、ランクを決めたいと思います」
 稔は[実力無き者は去れ]と言わんばかりのルールを告げ、会議室を出て行く。

 黒澤はこの話し合いで、一挙に6人の奴隷教師達の主人となり、大貫と大城の奴隷教師達を加えると、総勢17人のグループに成った。
 そんな黒澤の元に、山孝と山源が歩み寄り
「黒澤先生。私達もお仲間に入れて下せぇ。黒澤先生の支配の仕方は私達に、とても勉強になりそうなんで、学ばせて貰えませんか?」
 黒澤に依頼する。
 黒澤は山孝と山源を、諸手を挙げて歓迎すると、それに光子が付いてきて
「わ、私もグループに入れて下さい」
 黒澤に懇願し、黒澤は光子の加入も認めた。

 黒澤のグループは、あっという間にサディスト教師6人、奴隷教師19人の大所帯になる。
 京本の元に小室と白井が歩み寄ると
「仕方が有りませんね…私が面倒を見ましょう。ですが、もう暴走するのはゴメンですよ」
 京本は溜息を吐きながら、2人に向かって釘を刺すと、2人は項垂れて首を縦に振る。
 森は迫田と組む事になり、1人残った井本は、黒澤グループに近づいた。
「何しに来たの。こちらのグループには、働きの悪い者は要りません」
 近づいてくる井本に、ピシャリと大貫が叱咤したのだ。

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