夏休みと淫魔が巣くう聖堂
有利書:作

■ 第1章4

呟いた時、ファリナの目は座っていた。
「苦手なんだよねぇ・・ファリナのあの顔は。」
とファリナ本人に、聞こえないように呟いた。
ファーナは、その後町を徘徊した。

一方その頃、茉莉とファリナは

「ファリナさんは、あのファーナさんをどう思ってるのですか?」
ファリナと茉莉は、駅前にある喫茶店に来ていた。
「あの子は、勝気で明るい子で憎めない子なんだけれどどうしてかほっておけない・・。」
俯きながらファリナが呟いた。
ファーナとファリナは同じ魔術結社に属しており茉莉たち巫女組織とは対立する組織である。
「彼女が、私の監視をする為に私に近づいているのはなんとなく、わかっていたけど公にはしたくない。」
茉莉がファリナに。
「結城さんは、ご存知だったのですか?」
とだけ、ファリナがつぶやいた。
「けれど、監視の件で私はファーナさんには何も言わないつもりでいるつもりよ。」
「結城さん・・。」
ファリナがポツリと。
「けれど、ファーナさんは良い生徒だよ。私が、困っている時でも随分と助けられたしね。」
茉莉がファリナに。
「あの子は、困っている人を見るとほっておけない性格の持ち主なんだけれど一度前を向いたら絶対に後ろには振り向かないので心配です。」
ファリナが呟くも、俯いたままであった。

「ファーナさんって、羨ましいな。」
沈黙を守り続けていた茉莉が呟いた。
「ファーナさんが、羨ましい?」
キョトンとした顔でファリナが呟いた。
「私、ファーナさんみたいに自分の暴走を止めてくれるような友人はいないから・・。」
茉莉がそう呟いた。
「私は、小さいころから一人前の巫女になる為に、厳しい手ほどきを受けていたから。」
とだけ、呟いた。

「巫女さんの終業って、そんなに厳しいんだ。」
ファリナが呟いた。

「お客さん、いかがいたしました?」
店員の1人が、大声を上げた。
「うっせえ! ごちゃごちゃしゃべんな!」
大声をあげ、威嚇するように男性客が大声を上げた。
男は、ナイフを取り出しては店員を人質に取った。
「おらぁ、全員こっちへ来いよ。」
こうなれば、もはや立て篭もりである。
店員を始め、茉莉やファリナも同じ場所に集められては床に座らされていた。

この事は、隣の下着売り場の女性店員から警察に通報されたのだが犯人はおろか茉莉達も知る由はない。
「お腹すいたから、何か食べよう。」
そう呟き、1人の少女が店内に入って来た。
「あ、あれは・・深月さん」
ファリナが呟いた。
「深月さん?」
茉莉も呟くや、深月と言う名前の少女を見た。

「な、なんやてめえは?」
立て篭もり犯は、少女を見るや大声を上げた。
「何って、ただの客。」
とだけ、少女は呟いた。
その少女の右手には、細身の剣が握られていた。
これは、明らかに銃刀法違反である。

「ええ。私と同じ学校に通っていて占い師として名の知れた女子高生なんだけど・・・。」
ファリナがつぶやいた。
「おらぁ1こっちこいや。」
立て篭もり犯は、少女に向かって叫んだ。
「はいはい。」
少女は呟き、茉莉の横にちょこんと座った。

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