夏休みと淫魔が巣くう聖堂
有利書:作

■ 第1章5

深月と呼ばれた少女は、ファリナの横にチョこんと座りさっそくファリナと話しかけた。
「どうして、深月さんがここに?」
ファリナが栞に訊ねてきた。
「え、お腹すいたから、何か食べようかと思って店に入って来たんだけれどまさか、立て篭もり事件が起きていたとは思いませんでした。」
と、ファリナの問いかけに答えた。
「それにしても、立て篭もりとはねえ。」
栞がつぶやいた。
「店長は、どこだ!」
男が大声を上げた。
そうとう、気が立っているのか男はライフルを天井に向けて1発発射し威嚇をしたが店長は姿を見せず何処かに姿を隠して出てはこなかった。
「店長・・いないの?」
茉莉が1人のウェイトレスに訊ねた。
「はい、店長はいい加減な店長でしてこのような事に巻き込まれるのが嫌いですので、おそらくは店長室から出てこないと思います。」
と答えた。
「そう・・では、私の出番かな?」
とだけ、茉莉がつぶやいた。
「出番って、どうされるのです?」
栞が茉莉に向かって呟いた。
茉莉がポケットから取りだしたのは、1枚のタロットカードであった。
「・・・・ファイアボール!」
と呟き、タロットカードを投げた。
「うぎゃああっ」
タロットカードは、男の銃を弾き飛ばした。
「光牙惨殺破斬!」
続いて、茉莉の剣が吠えた。
男は、吹っ飛び壁にぶつけ気絶した。

「流石です、けど厄介な存在です。」
ファリナがポツリと呟いた。
「あの子は、ファリナさんにとって厄介なのですか?」
栞がファリナに訊ねた。
「はい、結城茉莉さんは私達にとって危険分野です。」
ファリナが呟いた。

「どうして、危険分野なのですか?」
栞は、改めて茉莉の事をファリナに訊ねた。
「結城茉莉は、占い師でありながら剣の使い手です。
それに、巫女と来ています。しかも、彼女の占いはほぼ当たって来ています。」
と、呟いた。


「でも、それがどうして危険なのですか?」
栞は、改めてファリナに訊ねた。
「だって、それ以上活躍されたら私達魔導師の出番が無くなってしまうじゃないですか・・。」
と、ファリナが呟いた。
「ファリナさん、あなたって人は・・。」
栞が、やや呆れ顔で呟いたのだが・・・。
「しかも、カメラの前でパンチラと来ているわ。
これじゃ、まるで人気取りではないですか・・・。」
と、涙を流しながら栞に訴えた。
「ようは、あの子が羨ましかっただけじゃ・・。」
頬を掻きながら、栞が呟いた。
「それでは、ファリナさんもパンチラするのですか?」
と栞がファリナに訊ねた。
「え? それは、ちょっと・・ねぇ」
頬を染め、その頬を指で掻きながら呟いた。
男は、数分後駆けつけた所轄の刑事によって署に連行され銃刀法違反及び監禁罪で逮捕された。

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