縄奴隷 あづみ
羽佐間 修:作

■ 第2章「ゲーム・サークル アトランティス倶楽部」2

―いた!
ID:「masterkoji」
『ハンゲを漂うMっ子のみなさん。貴女の気持ちを、身体を優しく包むサークル「アトランティス倶楽部」を主催しています。
一人で恥かしい貴女を持て余している貴女^^ 貴女に潜む”虐められた女”を抱きとめて差し上げます。 恥かしい貴女を安全にさらけ出してご覧!^^』
この人のプロフィールを読みながらあづみは思い出していた。
5年前を・・・。

逃げるようにして東京を離れたが、約2年の間、みっちりと縄で縛り上げられ、怪しい快感を叩き込まれた身体は、未だに忘れる事を許してはいなかった。
見知らぬ他人に、背徳の行為で快楽を感じてしまって狂態をさらした自分を思い出してしまう。
もうこれ以上の深みにはまると、まともな人間ではいられなくなってしまう・・・もう絶対抜けられなくなってしまう… 姓の奴隷に堕ちてしまうのが怖くて、逃げ帰ってきたのだ。

夫、健一のSEXはいたってノーマルなもので、背徳の快楽を知ってしまったあづみにとっては到底物足りないものだった。
が、それは健一のせいではなく、自分のせいなのだし、不満を口にしたことは一度もない。
健一に合わせて逝くふりをする事も、結婚以来、彼に対する愛情表現だと思っていた。
しかし、未来が生れてからは、そんな偽りの営みも、数えるくらいの回数しかなく、最後に健一があづみの身体を求めたのは、もう1年以上も前の事だ。
近頃では、身体の奥底から溢れ出る性欲を、時々自分で慰めるのが習慣のようになっていた。
健一には内緒で、バイブレーターなどの淫具を、時々買っていたレディスコミックの裏表紙の通販会社で購入し、自慰をする為に、タンスの奥に密かに隠し持っていた。

時折家族が寝静まるのを待って、引き出しから淫具を持ち出しては、性の炎を一人鎮めていたのだった。

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―アトランティス倶楽部かぁ…
Net上で、匿名だし、いつでも辞められると書いてある。
この案内通りのサークルなら無茶な事はしないだろうと思えた。
夫も知らない、とても淫らでいやらしい本当のわたしを誰でもいいから知って欲しかった…
ここでなら出来るかも知れない?! とあづみには思えた。
そうであって欲しいという方が近いのかもしれなかった。
かすかに震える指で思い切ってチャットルームの参加ボタンをクリックした。

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