縄奴隷 あづみ
羽佐間 修:作

■ 第3章「高倉由紀ビューティクリニック」3

−#麻耶−

陽子は、店を閉めると急いで家に帰ってmasterkojiからの連絡を待った。
いつもより少し、帰宅が遅くなったのは、今日は夕方からあづみが所用で博多に出かけた為、閉店後の売上の集計まで店の事を任されていたからだ。

あづみから少し遅くなるけど、博多から戻ったら、食事を一緒にどう? と誘われたが、masterkojiとの約束があったので、適当な理由を付けて断った。
あづみからの食事の誘いを断ったのは初めてで、申し訳ないと思いながらも、すごく残念そうな子供のような素振りを見せるあづみに可愛い人だと感じ、可笑しくて仕方がなかった。
―(お仕置きよ!^^ これも先生がイケナイ事をしてるからでしょ?!)
今日、確かめる事が出来るはずだが、やっぱり思い過ごしなのかも知れないなぁ?!とあづみを見ていて陽子は思った。

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#麻耶 これが陽子がアトランティス倶楽部に入会申請した時に作ったIDだ。
大阪在住の刺激がない日常に飽き足らず、SMはまったくの未経験で、入会して刺激が欲しい主婦、という設定にしていた。

11時頃にmasterkojiと連絡が取れ、面接と称するチャットが始まった。

ウソがばれないか、ドキドキしながら文字を打った。
程なく陽子が拍子抜けするほどあっさりと『入会OK!』の文字が届く。
『無理しなくていいからさ、貴女の恥かしい事を皆さんに披露して貴女のドキドキを楽しんでね〜! side"S"の方はもちろん、先輩のMっ子さん達にも可愛がって貰うんだよ』の文字の後にサークル専用のURLとPWが記してあった。

―(ふんだ。私はそんな女じゃないもん!)

心臓が音が聞こえると思うほど、大きく鼓動を打つ。
内緒で、あづみの秘密を覗くのだから悪い事をしているといえなくも無い。
送られてきたURLとパスワードを入力しさっそく開いてみた。

局部のアップ写真がたくさん載っていた・・・
―まぁ・・・いやらしい・・・
陽子は晩熟(オクテ)というわけではないが、あまり過激な性表現をしたものには、接してこなかった。
セックスが嫌いというわけではないが、直接的でグロテスクな表現に嫌悪感を持っている。

命令されて、携帯電話で撮ったものだと書いてある。
裸で股を開いた格好で座り、白いメモ用紙が置かれているカットだった。
―これがあづみ先生の・・・
日付と名前を書いたメモで辛うじて秘部が隠れている・・・
筆跡もあづみのものと言われればそう思えてしまう。

―ん?・・・
あづみの秘密部屋の入り口と書いてあり、パスワードが必要と案内されている。
あづみに聞くように書いてあるが、このIDに成りすましてあづみとチャットやメールをするのは、いかにも辛い・・・。

masterkojiに聞いてみようと思い探してみると、幸いまだチャットルームいたので、教えて欲しいとお願いしてみた。

「男の人には、自分でチャレンジしなさいって断るんだけど、女の子の貴女にはいいかな!?
参考にしたいって貴女の熱意に敬意を表して教えてあげるわ^^ 
その代り、貴女も頑張って早く自分をさらけ出せるようになるんですよ!」

以外に簡単に教えて貰えたパスワードを早速入力してみた。

―えっ・・・あづみ先生・・・ うそでしょう・・・ 信じられない・・・
縄で縛られたあづみの淫らな姿が画面に映っている・・・
顔は細工してあり、今と髪型は違うが、輪郭とか全体の雰囲気から、あづみであることは間違いなかった。

陽子を覆うショックは、どんな意味を持つショックなのか陽子にも分からない・・・
ただ、無性にあづみに腹が立っているような気がしていた・・・
ふしだらなあづみに対する怒り?
変態的な行為に対する軽蔑?
陽子に秘密で、見ず知らずの人に痴態をさらすことへの嫉妬?
自分でもこのイラだった感情を説明できない・・・

パソコンの中のあづみは、縛られて無様に足を開いているのに『美しい!』と感じた。
あづみの緊縛写真を見て、陽子の秘貝が熱くなり、潤いを帯びている事に自分で気付いた時は、驚いてしまった。

陽子は、画面に映るあづみの痴態を凝視し、初めてあづみを愛撫する自分を想像しながら、ショーツの中に手を忍び込ませる自分を止められなかった。

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