縄奴隷 あづみ
羽佐間 修:作

■ 第5章「魔手」6

陽子が何やら、楽しそうにあづみに喋りかけているが、相槌を打っていてもまったく耳に残らない…

陽子は、キッチンでてんぷらを揚げながら、しきりにあづみに語りかけていた。
懸命に聞こうと努めるが、頭がぼうっとして唯、微笑んでうなずいているだけだった…

やがて、陽子がテーブルに用意していてくれた料理を並べはじめた。
何か手伝うべきなのはわかっているのに、身体が動かない…

『なんか変なせんせい… どうしちゃったのかしら?! 疲れているのかしら?』
陽子も、いつもと違うあづみの雰囲気を、少し怪訝に思ったが、後に重い話題を持ちかけるつもりだったので、精一杯明るく振舞うつもりだ。

「さあ、頂きましょう! せんせい^^ 一足早い女だけのクリスマスパーティにかんぱ〜い!」
「あっ、乾杯^^」

「さっ、先生 召し上がれ^^」
「いただきます^^」
「いっただっきま〜す^^」

「美味しい〜! 陽子ちゃん!」
「ホントですか? う嬉しい^^」
「うわっ! ホントだ! 我ながら美味しいですね アハッ^^*」

「陽子ちゃんをお嫁さんにする人は、幸せね^^」
「そのとおりです! うふふ^^」

「あはは^^」用意してくれた料理は、どれもこれも美味しかった。

「このけんちん汁なんて絶品だわ! 懐かしいって言うより始めてだわ! こんなに美味しいのは^^」

「でしょ! 森家オリジナルです^^」
陽子との会話は、球磨焼酎の酔いも手伝い、弾んできた。
あづみは、ようやく少し落ち着いて、淫らな気持ちで陽子を訪ねた事を少し悔いていた。

「うっ…!はぁ…」

「どうしたんですか? 先生…」

「う、ううん^^ なんでもないの^^」
股間のバイブレータがいきなり振動しだしたのだ。

−ど、どうして…スイッチが壊れたの?
慌ててバッグのポケットのリモコンを探す。

「どうかしたんですか? せんせい…」
慌てる素振りのあづみに陽子が不思議そうに尋ねる。
あづみは顔を伏せたまま、身体を小刻みに震わせている。
肩が上下に揺れ、大きな息をしている…・

「せんせい…?」

「ううん… 何でもないのよ… 大丈夫よ^^」と顔を上げて陽子を見る目は潤んで、下唇を少し噛み、赤い舌先が覗く。

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