縄奴隷 あづみ
羽佐間 修:作

■ 第5章「魔手」20

新規事業発足直前に困った事をしてくれたものだと、散々嫌みをいわれた。
今からでも遅くないから、あづみを責任者から外してしまおうかとも考えたと木島は言う。
恥かしくて死にそうな思いの中で、陽子の一番の気掛かりは、高倉由紀が既にこの事を知っているのかどうかだった。
あづみを引き抜いた総帥である高倉由紀が、あづみの一番の庇護者で、木島がいくら常務取締役といえども、由紀の信用さえ失わなければあづみは大丈夫だと思った。
自分のせいであづみに迷惑が掛かる事だけは、絶対避けたい。
それに、あづみにも嫌われたくはなかった。

木島にその事を、恐る恐る尋ねてみると、こんな破廉恥なことを、由紀社長に報告出来る訳ないじゃないの! 組織上は貴方達は私の部下になるんだし、貴女達をスカウトした由紀社長の顔に泥を塗ることになるのよ、貴女達は! と怒鳴られてしまった。
由紀に伝わっていない事には安堵したが、二人の危うい立場は何も変わっていない。
木島はこの件を、内々で処理するつもりらしく、今は未だあづみには知らされていないが、500万円の件があるので、近々あづみを呼んで叱責するつもりだという。
「貴女にしても、麻木さんにしても、こんな変態のくせに、恥かしいからイヤだ何てよく言えたもんだわ!」
「貴女が無理なら、高倉ビューティが、お金を掛けて磨き上げた広告塔の麻木さんにモデルになって貰うのが筋ね!」と木島がいった。
「それは……」

自分があづみにあんな事さえしなければ…と、陽子は自責の念にかられる。
ご主人も子供もいるあづみに、こんな事をさせる訳にはいかない。
あづみの秘部を、指と舌で愛撫する陽子の顔がアップで写った写真を目の前にして、陽子に選択の余地はなかった…

「やります!」と木島に答えた。

「そう^^ 良かった。印刷が間に合わないところだったわ。
じゃさっそく用意して!
そうそう この事は、写真をネタに貴女を無理やり脅して強制させている訳じゃないんですからね! いいこと? 誤解しないで頂戴!」

「はい…」
「それとね、森さん! 貴女が誰と恋愛してもいいけど、これからは私生活の事で、会社には迷惑は掛けないで頂戴! いいわね!!」

「はい… 申し訳ありませんでした…」
「もうあづみ先生とはこんなことはしませんから、どうか由紀先生にもあづみ先生にも、写真の事は言わないでください!
お金は、私が何とかしますから… お願いします! 木島常務!」

「ふ〜ん^^ 全部貴女が背負い込むって言うの?! ふふ^^いいわよ。
私だってこんなこと、二度と口にするのも汚らわしくて恥かしいわよ!
貴女が私に逆らわなければ、誰にも喋らないわ!
それにしても貴女、500万揃えられるの?」

「そんな…すぐにはとても…・」
「ほほほ^^ それはそうね^^ 貴女のような駆け出しには無理でしょうね^^
まっ、返済の仕方は、相談しましょ^^」

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