縄奴隷 あづみ
羽佐間 修:作

■ 第5章「魔手」23

−陽子・変貌−

陽子が、父親の看病の為に、実家に戻って1週間が過ぎた。
一度だけ病院から携帯で連絡があり、まだ意識が戻らない状態だと言う。
仕事の事は、気にせず看病に専念するように伝えたが、陽子の沈んだ声は細くか弱い感じで、あづみの胸を締め付けた。

セレブエステのオープンまで後1ヶ月に迫り、開店準備のかなりの部分を任せていた陽子が抜けているのは、いかにも痛い事だった。
今は、脳梗塞で倒れた、彼女の父親の快癒を祈るのみだ。

東京の研修所でランチを一度一緒に摂って以来、もう2週間も顔も見ていない。
アトランティス倶楽部を退会し、他の人に恥ずかしい姿をさらさないと、陽子と約束していたが、先日その誓いを破り、無毛の恥丘を見て欲しくて、魅入られたように再びアトランティス倶楽部に戻ってしまっている。

「あづみ。」というハンゲームのIDでは、アトランティスのメンバーとの再びの交流が陽子にばれてしまうので、ゲームにはログインせず、専用ホームページのBBSや、Hotmailでメンバー達に指令を受けたり、嬲られたりして、被虐に濡れる身体を慰めていた。
別に♪マリコ♪と張り合ってるつもりはないのだが、心の底では、そうなのかも知れないとも思う。

しかし2日前に、二人以上に、強烈なキャラクターが出現していた。
以前からいた会員の摩耶が、現実のご主人様に出会い、調教を受け始めたらしく、その様子がホームページに掲載されるようになった。
特に綺麗に剃毛された恥丘が輝き、乳首とラビアにピアスが飾られているその画像は、驚くべきものだった。


この人、主婦なのに大丈夫なのかしら?! と他人事ながら心配になる。
私もされてみたい…と思ったが、あづみには望むべくもない。

ホームページで初めて見る摩耶の裸身は、スレンダーで足が長く、今どきの女性らしい体つきでとても綺麗だ。
それにしても、いきなりハードな調教を受けているようで、何故かモヤモヤした複雑な心境だった。
―羨ましいのかしら?…

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