縄奴隷 あづみ
羽佐間 修:作

■ 第6章「大阪出張」4

列車は、新大阪(18:29)発、博多(20:55)着「のぞみ25号」のグリーンだった。
座席は、出張帰りのビジネスマンらしき人達でほとんど埋まっていた。
用意された席は、車両の中ほどの右側の窓際席だった。
あづみの出張の手配は、いつも秘書室の横田真二がやっていてくれる。
こういうことが不得手なあづみには大助かりで、以前、横田に礼を言うと、『麻木先生^^ セレブの憧れになるべき人が、自分でチケットを買っちゃダメですよ!^^ いい加減”高倉ビューティのシンボル”ってポジションに慣れてくださらないと^^』と笑いながらたしなめられた事がある。

新大阪を定刻通り出発し、新神戸を過ぎたあたりで、股間に呑み込んでいるバイブが突然動き出した…
(うっ、ぅぅぁぁああ…)
シートの肘掛を強く握りしめる。
隣の座席の中年の上品そうなサラリーマンが怪訝そうにあづみを見た。
「どうかしました? 大丈夫ですか?」
「はい… あっ、いいえ。何でもないです。 ありがとう…」

微かな振動が暫く続いてあづみの性感を、チロチロ燃え上がらせていく。
物足りなくもあり、新幹線の中でこれ以上は止めて欲しいとも思う…
突然、強い刺激が襲い、声を出してしまわないように、ずっと身構えて、窓の夜景を眺めている風情を装っていた。

岡山を過ぎ、隣の席の男性がトイレにでも行くのか、席を離れた直後に、再び股間の淫具が、暴れだした。
(うっ、あっ、あっ、イヤ…ぅぅぁぁああ…)
何段階かある中の最強モードで震え続けるバイブは、発火する直前まで昂ぶっていたあづみの身体に一気に火をつけた。
肘掛けを思い切り握り締め、唇をかみ締め、声を殺す…
(ぅぅぅああああ…… ぁぁぁぁぁぁああ  う〜ん …)
通路を隔てた席の老紳士が、怪訝そうにあづみを見るが、知る由もない。
懸命にこんな場所で逝くまいと耐えていた。

(もう、ダメ…逝っちゃう…)
何処を走っているのか…
(ああああ…… ぁぁぁぁぁぁああ  逝く…)
逝くまいとしても、休むことなく振動し、快感を送り込むバイブに弄ばれて周りの事も忘れてしまいそうになる。

隣の席に男性が戻ってきた。
堪えても、堪えても声が漏れてしまう。

(ぁぁあっ んぁぁぁ〜ん)

「本当に大丈夫なの?」
隣の席から男性が、あづみを覗き込むように声を掛けてきた。

モジモジ股を擦り合わせながら、窓の方を向き、コクリ、コクリと頷きながら大丈夫ですとささやくように答えた。
(んんんぁぁぁ〜ん!)
窓に顔を押し付けたまま、あづみは口に手を当てて、身体を痙攣させながら逝ってしまった…
隣の席で男性が、呆れ顔で口の端に、微笑みを浮かべていた。

■つづき

■目次

■メニュー

■作者別


おすすめの100冊