縄奴隷 あづみ
羽佐間 修:作

■ 第8章「縄奴隷」19

− 禁断の交わり −

縄で縛られたまま、コートだけを羽織ってタクシーに乗せられた。

マンションで、いきなり命じられるまま服を脱いでいる時、昌也に今日の家族との幸せな時間の感謝を言った。
「ほう^^ じゃその感謝の気持ちとやらを今から態度で見せて欲しいものだな!」
それが今からの外出だという。
きつく上半身を縛られた。
プレゼントだ! と、久しぶりに丸1日ピアスが付いていなかった身体に、新しいボディピアスを付けて貰った。

中州の東京第二ホテルの向かい側でタクシーを降りた。
1Fから階段であがる昌也に付いていく。
中二階の踊り場で、いきなりコートを剥がされた。

「あっ… 許してください……」
顔を黒い布が覆った。
顔全体を覆うマスクを被らされたようだった。
薄い生地から、少しは周りの様子が分からなくもなかった。
「おまえは、今から俺の牝犬だ! 名前はない! 俺に従順な、淫乱な牝犬なんだ! 判ったか?!」
「は、はい…」
こくりとあづみは頷いた。
昌也は、皮製のアイマスクを装着した。
裸のまま、階段を上ると昌也は、ある店の前に立ち、重厚な扉を開けた。
あづみは、オズオズと付いていく。
電飾看板には、会員制ハプニングバー「鍵」と書いてあった。

昌也に付いて、「鍵」の中に入っていった。


−デジャヴ…

だだでさえ薄暗い店内が、マスクでよく見えないが、淫靡な空気が伝わってくる。
五年前、知らない人に恥を晒すのが嫌で、これ以上、堕ちるのが怖くて逃げ出したきっかけになったのは、会員制のこんな雰囲気のパーティだった…
昌也も含め、何人かはアイマスクを着けて変装しているのが目に入った。
店中の視線が、すべてあづみに向けられていた。
それは、当然かも知れない。
たとえこんな店でも、最初から縄掛けされた裸の女が、いきなり入ってくることは、めったにあることではない。
しかも、すこぶるいい身体の女だから尚更だった。

カウンターの席に昌也と並んで座った。
昌也は、馴染みらしく何も言わないのに、バーボンベースのカクテルが出てきた。
「あっ! こいつは一汗かいてからだ!」と昌也があづみにオーダーを聞こうとしたバーテンを制した。
昌也は一口飲んで、あづみを立ち上がらせ、縄尻をとってステージらしき台に連れて行った。
「牝犬! みなさんの前で、いやらしくオナニーして、淫らに逝く姿を見てもらうんだ! 本気で逝くんだぞ! いいな!!」
そう言い捨てて、昌也は席に戻っていった。

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