Netに舞う女
羽佐間 修:作

■ 第1章 投稿小説「ちなみ 陵辱」10

 夜になって早川からメールが届いた。

【件名:ちなみの写真を送ります】
亜久里 香 様
本当にいましたね。ちなみちゃん
この子は、香さんとどんな関係があるんですか?
物凄く興味がありますが、聞くのは野暮ですかね?!
僕もこのストーリーの中にどんな風に組み込まれていくのかドキドキしています。
次の指令をお待ちしております。

――えっ… 凄い あの子…
 スキャナーされた証明写真がメールに添付されていた。
 白い小さなショーツはフロントレースで微かに陰毛が透けて写っている。
――綾ちゃんの一番セクシーなショーツなのね
 卑猥さで言えばどうという事はない画像だが、あの可憐な本城 綾の写真となると話は別だ。
――あの子も私と同じなのかな…
 更新すべき小説の内容が香の頭をよぎった。

   ◆

 夕方、探偵の石野からの電話で目が覚めた。
「分かったのか? 石ちゃん」
「はい。 あれっ?! 藤堂さん、寝てたんですか?!」
「ああ、、、 徹夜だったんでな」
「起しちゃいましたね。 すんません。 じゃ報告します」
「ああっ、まだ頭が回らん… メールで送ってくれ」
「分りました。 それとマンションの住人の件も分りましたからそれも一緒に送りますよ」
「ああ、頼むよ。 相変わらず仕事が速くて助かるよ、石ちゃん」
石野からのメールは直ぐに届いた。

●プレートNO:「多摩3×9さ1○3△」
車種:トヨタ クラウン シルバー2.5ロイヤルサルーン 
所有者:早川 武明 29歳 独身
住所:小×井市○△町3-4-7
両親と同居 車は1年前に新車を現金で購入
多摩武蔵野信金・田無支店勤務 渉外担当(主任)
*藤堂さんから聞いていた風貌と一致しました

●秋津ロイヤルマンション[
501号:菊地 香(30歳) 未婚独身 豊△区立池袋図書館勤務
505号:佐藤 洋三(42歳) 独身 損保ニッポン本社勤務
*女を調査しろって事でしたので、佐藤は人物確認はしていません

「くくっ。 面白くなってきた」
 石野に、ジョギングスーツの女が戻ったマンションの5階の住人の調査も依頼していたのだが、思いの外早く分かったようだ。
――菊池 香かぁ 間違いない!今朝、ジョギングしていたのは、501号の菊池 香だ。 そしてあの女が”亜久里 香”だ!
「後は、香と早川との関係だな」
 真介は携帯を取って石野に電話した。
「あ、藤堂だ。 石ちゃん、ありがとな。 菊池 香の事、もう少し詳しく調べてくれないか。 礼ははずむからさ」
(いいですけど、急ぎですか?)
「特急じゃなくてもいいがそこそこ急いでくれ。 男関係を特にな。それとさあ、菊池 香のパソコンに侵入できないか?」
「ええ〜?! 何しようっていうんですか、藤堂さん」
「ははっ、ちょっとな。 君にも楽しんで貰えるかもしれんが、今はまだ言えないな。」
「まぁ、ちょっと環境を調べてからですね。 また連絡します」
「ああ。 頼むよ。」

 恐らく今夜、更新されるだろう小説の内容が、凄く楽しみになってきた。

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