Netに舞う女
羽佐間 修:作

■ 第2章 恥辱の命令1

−TODO−

――な、何、これ… はっ!こ、これは…
 TODOから送られてきたメールに添付されていた画像ファイルは、写真BOXで撮ったはずの香の放尿写真だった。

【件名:素敵なプレゼント】

亜久里 香 様
TODOです。お久しぶりですね。
いつも貴女の小説、楽しませていただいております。
しかし驚きましたよ〜
まさか香さんが俺の近辺に住んでいるなんてね!
そして香さんの小説の中に貴女自身が”麗香”として登場してくるなんて思いもしませんでした!
自分で自分に恥ずかしい命令をして、駅前でションベン垂れ流して、しかも〜写真に撮るだなんてね!
そんなに淫らな命令が欲しいなら俺が命令してやるよ。 
そんなにハシタナイ姿を見られたいなら俺がみてやるよ。
あ〜〜〜! 今、ばれちゃった! って戸惑ってるかい? かおるちゃん^^
今回の君の小説の環境があまりにも俺の住環境に似てるので、小説の命令時刻に駅前まで行ってみたら…な、な、なんと(爆)
勘違いしてもらっちゃ困るよ!
俺は君を脅してなんかいないぜ。
悦ばしてやろうっていうんだよ!
自分で考えて命令するなんてドキドキが中途半端だろ?!
俺が麗香に素敵な命令をしてやるよ!

あんたに面白い小説を書いて貰う為に俺が面白いネタを提供してやろうって言うんだよ。
分かったかな?!

理解してくれたなら、麗香に最初の命令だ!
香さん^^ 麗香にむさ苦しいアンダーヘアを短くカットするように命じてくれ。
う〜ん、そうだなぁ… 麗香が出勤する時にあの証明写真機で刈り込んだアンダーヘアの証拠写真を撮ってもらおうかな^^
ショーツの生地からチクチク毛が飛び出るくらい短く刈り込ませてちょうだいな^^
おっ! そうだ。 どうせなら証明写真BOXの中でジョキジョキ陰毛をカットさせて欲しいなぁ! 麗香ちゃんにね(爆)
そしてね、切り取った陰毛は写真BOXの床に巻き散らかしておくように!
小便を撒き散らす事が出来るんだからそれくらい出来るよね?!
麗香への命令が書かれた小説の更新、楽しみにしているぞ!
別に無視してもいいよ。
それはそれで次はどんな事を言ってくるんだろうってドキドキするだけさ。
事実は小説より奇なり! ってよく言ったもんだねぇ〜 き・く・ち・か・お・る さん^^

――ひっ! いやっ… どうしよう… 知られていた… 誰? TODOって…
 本名を知られている事、そして麗香を演じていた事もすべて知られている。
 ショックで香の頭は混乱していた。

――このTODOが早川より先に来てこの写真1枚だけを持ち帰ったの? そうならどうして全部持っていかなかったの? はっ!もしかして早川が麗香が私だと感付いて”TODO”を名乗って…

 しかし自分の身分を明かしている早川が香の素性を探り当てたのだとしたら、もっと直接的に迫ってくるだろう…
 やはり読者の一人”TODO”が小説の仕掛けに気付いて現場を見たと考えるのが自然だと香は思った。

 名前を知っているという事は、後を尾行られこのマンションも知られている可能性が大きい。
 亜久里 香が麗香で、そして菊池香なのをこの男は知っているのだ。
 悔やんでみたが今更どうしようもなかった。

――あそこの毛を刈れだなんて…

 3年前まで、香は毎日自分で剃刀を当てて陰毛を処理していた。
 少しでも残っていたら、(鈴木)陽一の激しい折檻が待っていたからだ。
――今更そんな事…

 TODOの人物像をあれこれ想像してみた。
 香は不安な気持ちを拭えないが、”TODO"の文章からは生活を崩壊させるような無茶な事はしないのではと何となく感じていた。

――とりあえず言うとおりに書いてみるしかないの…

 香は、既に書き上げていたちなみに対する命令と、麗香に対する命令を書き加えてUPした。

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