Netに舞う女
羽佐間 修:作

■ 第2章 恥辱の命令3

−素敵なプレゼント−

(いいですよ、 藤堂さん。 まどろっこしいけどちょっと面白そうですね。 あの香に関われるんだから喜んでお手伝いしますよ)
「そうか! ありがとう」
(まず明日の朝、早川が現地に来ないようにすればいいんですね?!)
「ああ、そうだな。 石ちゃん、よろしく頼むよ」

   ◆

 時計を見ると7:00を少し回ったところだ。
 藤堂は徹夜でルポの原稿を書いて朝を迎えた。
「う〜ん… そろそろ行くか…」
 大きな伸びをすると身体の節々が鳴った。

 香の出勤時間の30分前にいつもの駅前のコンビニで見張るつもりで駅に向かう。
 コンビニに到着し店内に入ろうとしたとき、石野から携帯に連絡があった。

(藤堂さん、OKです。 早川を脅しておきましたから、もう香の言う事は聞きませんよ)
「ああ、ありがとう。 だが脅したっていうのは?!」
(あははっ。 藤堂さんは暴力的な場面を想像されたみたいですけど、安心してください。 あんな青瓢箪、ちょろいですよ。 信金に勤めるサラリーマンがいやらしい行為のお先棒を担いでいていいのか? お前の上司の課長に言うぞ! って言ったら泡を食って土下座せんばかりの勢いで勘弁してくれと泣きついてきました。 あははっ)
「ふふっ。 そうか。 普通のサラリーマンってそんなもんだわな」
(ええ。 それと早川のメールアドレスを分捕りましたよ。 ログイン情報をメールで送っておきましたから、早川に成りすまして香にメールを送ることが出来ますよ)
「そうか。 それは面白いな。 ご苦労さん。 また連絡するよ」

 電話を切って暫くすると香らしき女性が駅に向かって歩いてきた。
――来た! 香だ。
 図書館の司書らしくシックな紺のタイトスカートに白いブラウスに身を包み、ローヒールのパンプスの踵を軽やかに鳴らしながら颯爽と歩いてきた。
 真介が固唾を呑んで見守っていると案の定、香は写真BOXを素通りして駅へと吸い込まれていった。

――ふふっ。 香さん、、、 逆らってくれますねえ
 香の後ろ姿を見届け家路に向かう道々、香に送るメールの内容を考えワクワクしている自分に気付き思わず声をだして笑ってしまった。

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