人身御供
非現実:作

■ 処女巫女6

「ンぅっぅ!?」
「臭いのぅ…ワシの涎じゃ、臭いかぁ?」
「んぅ〜〜んぅ」

顔を背けるように左右にイヤイヤをする琴乃姫だが、御党首の責めは執拗だった。
魏志四郎に顔を抑えさせて、いきなり。

「んっふっ、ンッグゥ!!」

琴乃姫の鼻に突っ込んだのだ。

「どうじゃぁ〜〜んん〜〜、臭うかぁ?」
「ぁぐっぅぉぉぉ〜〜ぐっぅぷぅっ!!」
「そうかそうか、芳しい臭いか〜〜」

グイグイと左右に回される、鼻を嬲る人差し指。
美しいかの姫の顔が醜く崩れた。
(やれやれ、総布様はこういう責めには天武の才がおありじゃ。
政も戦も、コレ位の才があれば良いものにのう。)

「くっくっく…はぁっはっはっ、琴乃姫よ」
「はぁっはぁっはぁっぁ…ぁぅ」
「尻は好きか?」
「ふぇ?」



「其の方……身体は大丈夫なのか?」
「何がで御座いましょうや?」
「いゃ、その」
「如何致しました?」
「いや、そのな、何でも……」
「…… …… ……眠くならないとお聞きで?」
「なっあ!?」

私は両膝立ちの姿勢から刹那。
かんざしを抜き取り、声を掛けた足軽の左踵に突き刺した。

「あっ、あっぎっぃいいいぃっぃ!!」

崩れ倒れる足軽には見向きもしない。
あの者はこれで一生立つ事が出来ないから……。
そのままの低い体勢で、持ったかんざしを右へと振り抜いた。

「うっがぁっぁーーーっ!!」

槍を持ち直そうとした右足軽の顔面にかんざしの一閃。

「おのれっ、貴様っぁ!?」
「と、捕らえろっ!」

残る4人が槍を持ち替えた……。

「面白い……お相手つかまりましょうや」

ようやく立ち上がった私は、かんざしを持ち替えて構える。

「き、貴様……何奴っ!」
「私か?」
「侍女ではないっ、只者ではないなっ!?」
「私はな、忍……くのいちの者じゃ」

言い放ち、私は敵に向かって疾走した。

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