桜怜ちゃんグラマラスデイズ
わたる:作
■ 24
「いやっ! 終わっちゃう……!」
更衣室の中にも男性教師の声が聞こえる。
「だめ……戻ってきちゃう……!」
桜怜は急いでタオルでカラダを拭くものの、汗がとめどなく噴出してなかなか落ち着かない。
ドアの外ではガヤガヤと男子の話し声が聞こえる。もう泳ぎ終えた者もいるらしい。
「だめ……! もう脱がなきゃ……!」
桜怜は思い、やや体は濡れているが、水着を脱ぎにかかることにした。
「んっ……! 脱げないっ……!」
汗で体に張り付いた水着は簡単に降りてくれず、さらにパンパンの胸も邪魔をする。
「よーし、全員終わったな」
外で教師の声がする。
「いや……来ちゃう……!」
桜怜は焦り、無理やりスクール水着を引っ張り、どうにか引き降ろす。
「気をつけ、礼!」
外で男子が言い、補習が終わる。
桜怜が足から水着を抜き取ったのと同時だった。
「ダメ……だめ……!!」
全裸の桜怜はパンツに手をかけるが……
「ま……間に合わない……!」
男子の声が近くなってくる。すぐに入ってくるだろう。
「もうダメ……!」
とっさに桜怜は判断し、荷物を抱え、タオルを前に当てながら裸のまま更衣室から転がり出た。
男子が入ってくるのとほぼ同時のことだった。
「はぁ……はぁ……」
全裸で外へ出た桜怜はすぐさま更衣室の裏へまわった。
「ちっ……もう着替えて出てったのか……」
「惜しいことしたな……」
中から男子たちの落胆した声が聞こえる。
「はぁ……はぁ……いや……」
ギリギリ見られなかったことの安心感より、野外に全裸でいることの恥ずかしさに耐えれず、桜怜は大急ぎで下着を着け、制服を着た。
そして髪を振り乱し、胸を揺らしながら桜怜は一目散に校門へ走った。
「早く……帰らなきゃ……!」
もう少しで裸を見られるところだった、という羞恥心から、桜怜は少しでも男子たちと離れたかった。
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