悠美、大騒動
木暮香瑠:作

■ プレゼントは何?2

 真由美が鋭いところを付いて来た。
「しょ、処女よ。なにか変?」
「私たち、もう、18よ。まだ、処女ですってのもねぇ……」
「オナニーならしてるわよ」
「ナマとオナニーは違うわよ。そう、温かさが違うのよね。愛されてるって感じ?」
「へぇーー」
 悠美は、真由美の夢見るような語り口にあきれてた。
「ねぇ、悠美。なに使ってんの?」
「なに使うって」
「オナニーによ」
「指使うこともあるし……、最近はこれ、あんま機、これ、すごいよ」
 悠美は、ポータブルのあんま機をカバンの中から取り出して見せた。OLたちの間で流行っている、親指くらいの太さのあんま機だ。手軽に肩に当てて、凝りを癒せるところが受けている。
「これにね、ゴムかぶせて挿入するの」
 そういって、ゴムことコンドームの入った銀色の包みを見せる。
 それを見て真由美は、
「やばいよ、それ……。結構きついでしょう。そんなに刺激したら、本番で感じなくなっちゃうよ。せめて、きゅうりくらいにしておきなさいよ」
「最近、それじゅぁ、まどろっこしくて……。きゅうりは動いてくれないんだもん」
 真由美は冗談のつもりで言ったのだが、悠美には冗談は通じなかった。
「えっ? きゅうりもやったことあるの?」
 呆れ顔の真由美だが、これはいつものことである。気を取り直して真由美は話を続ける。
「でも、それくらいがいいのよ。男がそんなに速く動けるわけないじゃない。
 要は、愛よ。愛されてるって想いが感じるのよ」
 経験者にそう言われると、未経験の悠美にはそんなものかなと思うしかなかった。それから、しばらくは下ねたで盛り上がっていたが、また、悠美の彼の誕生日プレゼントの話に戻った。
「今年の誕生日プレゼントは、わたしよって言ってみたら? いまどき、処女です、なんて流行らないわよ」
 真由美が冗談めかしていった。悠美は、
「やだぁー」
と、言ってはみたものの、誕生日プレゼントのいい案は無かった。

 真由美とは、しばらく他愛の無い話をして別れた。分かれ際に、
「がんばって……」
と、真由美からウインクをされ励まされた。悠美には、がんばって処女を賢一くんにあげたらって言ってるように感じた。

 家に帰った悠美は、ミニスカートとTシャツに着替えて、賢一へのプレゼントを探しに出かけた。

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